890年7月31日付革新党機関紙〈赤光〉
レテン政権は連合党に骨まで抜かれたと言わざるを得ない。人民党が888年に発表した政策綱領において「FUN安全保障理事会を重視する立場」が表明されたことについて、我が党はこれまでも繰り返し批判を行ってきた。それにもかかわらず行われた、先のロムレー紙へのインタビューにおいてレテンが「軍事演習禁止条約(平時における居住施設に対する軍事演習禁止条約)第1条に定められた義務の履行を各加盟国に要求する決議案を提出する」との言明は、いよいよその総会軽視の姿勢が極まったと言え、我が党はこのような暴挙を決して許容することはない。
そもそも、かつてユハル・ツァボライトがフリューゲル国際連合を構想した際において、「戦争の正当性」を判断するための根拠となりうるような、国際法の基盤を整備するための機関として、総会が設けられたという事実に立ち戻ると、フリューゲルにおける国際法基盤の整備はまず第一義的に総会が担うべきであることは間違いない。その理念に基づいて、我が国は総会第1回通常会期において常設国際法委員会(PILC)を設置し、第3回通常会期においてPILCが作成した軍事演習禁止条約を採択したのではなかったのか。総会の議論が低調であることは、総会の活性化に向けた対策を我が国が打つべきことを示しているのであり、総会を軽視することの根拠としてとらえるのは明らかな誤りである。トルキー議会で同国共産党代表が主張したように、「安保理重視なら国連は不要」と多くの安保理非理事国が考えるようになればFUNの枠組みそのものが損なわれることを人民党は忘れている。
人民党が安全保障理事会重視の皮を被って行おうとしたことは明白である。安保理の理事国、特にガトーヴィチ民主帝国との関係を強めようとする連合党の動きを与党として正当化しようとしたのであろう。連合党がガトーヴィチとの関係を重視しFUNを軽視しているのは以前から知られている通りであり、今更考えを正すように求めるのはもはや時間の無駄であるが、人民党が連立与党としての関係を重視するあまりその政策に引っ張られ、安保理理事国であるところのガトーを重視するのはFUN重視に矛盾しないという言い訳をつけて親瓦方針を取ろうとしたと考えるのが妥当だろう。
もちろん、ガトーヴィチとの関係向上を図ること自体については悪いことではない。しかし、先の北海騒動において明らかにフリューゲルが危機に準ずる状態に陥ったことは明らかであり、そのような状況に陥った原因にはレテン政権と国連大使の過剰な「ガトー贔屓」があることは否定しえない。特定国の優遇ではなく、国際法とそこから形成されるべき国際正義に立ち戻ることこそが、フリューゲルが真の正義に基づいた安定を享受するためには不可欠である。
幸い、第5回通常会期に対して久々に我が国以外の国から議題が提出された。我が党はトルキーによる総会における議論対象の形成を歓迎するとともに、「法規範形成の総会、個別的な判断を決定する安保理」というユハルの掲げたFUNの大目標に我が国ー少なくともあと4年は続くレテン政権ーを含めた各国が立ち返り、総会の議場で有意義な議論が行われることを期待する。
【特集】一般理事国の任期
891年から900年までの一般理事国もガトーヴィチ・ロムレー・ローレルの3ヶ国となった。これで、ガトーヴィチとロムレーは安全保障理事会が発足した852年から5期連続、ローレルについても871年から3期連続で一般理事国を務めることになる。各同盟組織の代表者として基本的に頻繁な変更を予想していない同盟理事国と異なり、一般理事国については平和原則条約起草委員会の時点から流動性を有すべきとされていたが、この状況はこの立場に著しく反する事態となっている。以下では、一般理事国に関する過去と未来について検討する。
平和原則条約起草委員会においての議論を振り返ると、この時点では任期10年案と20年案が提示されていた。当時、理事国任期を長く(20年)取ろうとしたのがトルキー代表で、繰り返し10年の任期を支持したのがガトーヴィチ代表であったという事実は少々皮肉ではあるが、ともかく最終的に10年の任期が定められたという事実は、一般理事国が比較的頻繁に交代する可能性についても考慮されたものであった。一般理事国の任期については憲章第13条において定められている。
平和原則条約起草委員会においてほとんど議論がなされることはなかったものの、一般理事国制度においてもう1つ重要な要素は付属書III、一般理事国推薦手続規定である。この規定は推薦手続の明確化と「任期切れ直前の推薦取り消し」という行為によって生じる混乱を回避するためのものであったが、結果として推薦先を硬直化させ、理事国を固定する原因を生み出していると言える。
我が党は、FUN加盟国の中で一般理事国の席にふさわしくない国家は存在しないと考えている。かつてのミルズ皇国であってもだ。特に、長い歴史と安定した国家体制を持つトルキー社会主義共和国、近年先進国入りを果たした新洲府共和国、成長著しいロシジュア平和連邦や、未だ経済指標では途上国の域にいるとはいえ国際社会への影響力の大きいサンシャ独立国のような国家が、安全保障理事会において一度も理事国として投票する機会を得られないのは嘆くべきことであり、これらの国々が一般理事国入りを可能とするための方策について議論することはーもちろん、多数国の推薦がある国家こそが理事国の席にふさわしいという原則を損なわない範囲でー今のFUN総会においてまさに期待されていることであると言える。