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第7回大統領・議会選挙実施 他

993年11月5日付

【国際】国連事務総長に共和国出身者 981年時点での合意に基づき

<北方セニオリス新聞>

ドゥブラフカ・ハルクステン=エルステイン新国連事務総長

991年1月、フリューゲル国際連合事務総長に共和国出身のドゥブラフカ・ハルクステン=エルステイン氏が就任した。

同氏の就任は、981年で行われた事務総長選挙において、神聖ガトーヴィチ帝国出身のアレクセイ・アレクセーエヴィチ・アルカゴーリ前事務総長との間で票差が生じなかったことにより行われた合意に基づく。

ハルクステン=エルステイン氏は本紙の取材に対し「国際連合のつつがなき運用のため微力を尽くしたい」と語った。

ドゥブラフカ・ハルクステン=エルステイン氏の略歴

女性 51歳(991年時点)

経歴
937年 セニオリス共和国ハルクステン県生まれ
959年 聖ラウリス女子大学国際法学部卒
964年 ハルクステン大学博士課程修了
965年 共和国外務省に入省
969年 国連常駐代表部
971年 クーデター事件受け、国外避難民の支援に当たる
973年 国連常駐代表部大使(社会担当)

人物評
寡黙な人物として知られる。幼少期より語学の英才教育を受け多国語話者となり、この知識が外交分野でのキャリアにも繋がった。
972年にスラヴ国からの帰還命令を受けるもこれを拒絶し、「共和国政府代表部」の立場を貫きアシュネル常駐代表を支えた。救国評議会体制の崩壊にあたっては、国外避難民の帰還支援にも当たっている。
ルッコラを用いた料理の研究を趣味としている。体質のため、外出時には日焼け止めを欠かさない。
同年代には、ミラ・イェリッチ元大統領、ブランコ・レコ海軍大将、オリーヴィア・ヴラトコヴィチ大統領などがあり、これについて氏は「不思議な縁がある」と語っている。

【政治】第7回大統領・議会選挙実施 社会党が大勝

<イグナイト・タイムズ>

大統領・議会の任期満了に伴う第7回選挙が991年5月に実施された。

半大統領制導入直後に行われた本選挙では、与党内の主導権争いも持ち越され、念願の改憲を目指すセニオリス社会党、与党第一党の社会民主党、現職大統領所属の自由民主党の3党間の争いが主軸となった。大統領選では第二共和国市場初の2期目を目指すオリーヴィア・ヴラトコヴィチ大統領に加え、社会民主党のイヴィッツァ・トゥジマン財務長官、そして社会党からアンドレイ・ヴィドヴィチ議員の3氏が主要候補であった。

ヴラトコヴィチ候補は左派系候補に対抗すべく市場経済重視の姿勢を示したが、「弱者切り捨て」などの批判を覆すことが出来ず選挙戦序盤より苦戦を強いられた。代わって話題を集めたのが左派系2候補のトゥジマン候補、ヴィドヴィチ候補であり、第5回・第6回選挙の構図と同じく選挙戦のテーマは「社会主義改憲の是非」に移り変わった。

しかしながら、改憲の是非というテーマにおいて、社会民主党のトゥジマン候補にはいささか中途半端さが否めなかった。社会民主党は前回選挙において「穏健な路線での社会主義理念導入に反対しない」と表明していたが、今回の選挙を巡っては「反社会党」票の吸収が有力な選択肢として浮上し、路線を継承するかに結論を出せずにいた。この結果としてトゥジマン候補及び社会民主党の議会議員候補らは、選挙戦のテーマについて一様に言葉を濁す対応を取らざるを得ず、これが大きな失点となった。

一方のヴィトヴィチ候補及び社会党は「社会主義改憲の実現」を全面に打ち出し、また社会民主党支持層に向けても「971年の失敗(=同年4月のクーデター事件)を繰り返さぬよう知恵を貸して欲しい」と呼びかけるなど積極攻勢に出た。中途半端な印象を植え付けた社会民主党に対して、社会党は争点に対し「わかりやすい」回答を示したとの印象を残し、終盤にかけてリードを広げた。

この結果、最終的な選挙結果は大統領選を社会党のアンドレイ・ヴィドヴィチ候補が制し、議会でも社会党は47議席増の127議席を獲得して再び改憲への挑戦権を得た。ヴィトヴィチ新大統領は「社会主義実現の夢を諦めなかった市民の声が示された」と勝利宣言を行った。また議会での社会党過半が実現していることを受け新たな内閣が「社会党単独政権になる」と明言した。改憲については「971年の失敗を繰り返さぬよう、より広範な声を聞く」とし、野党勢力に協力を呼びかけた。

社会民主党は33議席減の24議席、自由民主党は19議席減の8議席に終わり、12年間のつかの間の中道復権に幕が下ろされた。敗れたヴラトコヴィチ候補は「悪しき印象を覆せなかったのは私の力不足に他ならない」、トゥジマン候補は「中道の理念を、国民にとって魅力あるものと出来なかったことを真摯に受け止める」とそれぞれ敗戦の弁を語った。両党の議席減により、野党第一党には3議席増の24議席を確保した超越同盟も並び立つこととなる。その他の野党には4議席増の9議席のセニオリス共産党、6議席を確保した保守党などもあり、両党にとって苦しい時代となりそうだ。

【政治】2代目首相にミラ・イェリッチ元大統領

<北方セニオリス新聞>

アンドレイ・ヴィドヴィチ大統領

991年5月、第7回議会は首班指名選挙を行い、新首相に127票を得たミラ・イェリッチ氏を指名した。

アンドレイ・ヴィドヴィチ大統領は議会の指名に基づき、同氏を共和国の第2代首相に任命した。

なお、同日行われた議長・副議長選挙では、議長にカロラ・ヨシポヴィッチ前議長(セニオリス社会党)、副議長にブランコ・イェリッチ氏(超越同盟)がそれぞれ選出された。

【政治】社会党単独政権 イェリッチ内閣を読み解く

<新セニオリス通信>

第7回選挙を制したセニオリス社会党は、新首相にミラ・イェリッチ元大統領を指名した。

イェリッチ元大統領はその退任後も党内に影響力を保持し、圧倒的知名度と共に党にとっての象徴的存在ともなっていた。今回の選挙においても、社会党内部には大統領選に再びイェリッチ氏を擁立する構想が存在したが、同氏が改憲を強力に推し進めたことによりクーデター事件を招いたとされる反省から、「確実な改憲」のため穏健勢力への呼びかけも重視するヴィドヴィチ氏が擁立された経緯があった。社会党が今回首相職にイェリッチ氏を指名した背景には、大統領時代の政治手法や経験を引き継ぐ以外にも、単独政権を構築するにあたっての党内2派閥のバランサーとしての役割を期待してのこともありそうだ。

そうした役割を表すかのように、イェリッチ氏は首相任命を前にして所属していた社会民主主義派からの離脱を表明した。同派には社会民主党出身者としての流れから所属していたが、共産党出身者が集まる共産主義派への一定の配慮も示した格好だ。

議会ではセニオリス社会党が単独過半を確保していることから、新首相の指名は速やかに施行された。以下に、イェリッチ新首相による新内閣の顔ぶれを示す。

役職名前所属
首相ミラ・イェリッチセニオリス社会党(無派閥)
外務長官アントニヤ・シミッチセニオリス社会党(社民派)
防衛長官イーヴォ・マルティッチセニオリス社会党(共産派)
法務長官アイラ・グレグリッチセニオリス社会党(社民派)
財務長官トミスラヴ・ヴチュコヴィッチセニオリス社会党(無派閥)再任
内務長官ダヴォール・ゴトヴィナセニオリス社会党(無派閥)
国土開発長官ラドヴァン・トムリャノビッチセニオリス社会党(共産派)
教育科学長官イヴァナ・リンドヴァルセニオリス社会党(社民派)再任
経済産業長官ゴラン・グレグリッチセニオリス社会党(社民派)
資源・エネルギー長官ペトラ・ウーシッチセニオリス社会党(社民派)再任
運輸衛生長官エリーカ・マリッチセニオリス社会党(共産派)
農務環境長官スティエパン・イェルコヴィッチセニオリス社会党(共産派)
労働長官ミルコ・ヴライサヴリェヴィッチセニオリス社会党(無派閥)再任
厚生長官イヴィツァ・サナデルセニオリス社会党(共産派)
行政改革長官ダリオ・マテシャセニオリス社会党(社民派)再任

内閣の顔ぶれの中には、イェリッチ首相の大統領時代の政策を踏襲することも意識してか、当時の長官が再任された事例がいくつか見られる。それより以前のオリーン政権期(財務長官、労働長官)や、中にはバルバリッチ政権期(資源・エネルギー長官)から職を務めたベテランもあり、社会党過半の情勢を色濃く反映した左派色の強い内閣だと言える。

一方でイェリッチ大統領期の大統領補佐団人事を完全には踏襲しなかったことには、第5回選挙から24年が過ぎる中で「ポスト・イェリッチ」の育成を行おうとする意図が伺える。首相は周辺に「24年後(第9回選挙)には世代交代していなければならない」と語る。社会党が長期政権を紡ぐことを意識したもので、自身無き後の社会党の安定に向けた布石作りと言える。

大統領・議会選の勝利により、社会党、そしてイェリッチ首相は念願の改憲への挑戦権を再び得た。一方で社会主義体制導入には反対意見も根強く、議席を復活した保守党は「我々は無力だが、国民に可能な限り危険性を伝えたい」と反対運動を展開する意向を示した。首相の大統領時代、改憲をめぐる投票がクーデターに繋がったことは記憶に新しい。アンドレイ・ヴィドヴィチ大統領は「広範な声を聞く」と社会党の独走による改憲を否定する姿勢を示している。社会党は念願の改憲に向け、971年時点のような世論の深刻な分断を再び引き起こすことがなきよう重大な責務を背負っている。

【社会】旧共産党系労組センターが解散 51年の歴史に幕

<労働者ネット1000>

セニオリス社会党が結党される以前の旧共産党を支持する労働組合のナショナルセンターとして知られた「セニオリス労働組合評議会」(VSŠ)は、992年5月に記者会見を開き、組織を解散することを発表した。

同組織は940年8月に当時の共産党を支持する労働組合によって形成され、共和国の最初のナショナルセンターとなった。一方でその後旧共産党は975年12月に社会党へ合流した勢力と「最大綱領主義」の新共産党の勢力に分裂しており、VSŠ内部でも路線対立によって支持政党を明確化出来ていなかった。

今回の解散後、所属労組の大部分は穏健派の「セニオリス労働総同盟」(ŠKS)に合流する見通しだ。本解散に最後まで反対していたというある新共産党系労組の幹部は「時代の流れに抗えなかった」と語った。ŠKSへの合流を否定する新共産党系は独自の枠組みによる連携を模索するが、現在までのところ見通しが立っていない。

専門家は本解散について「労働運動が国政の自由主義者との対峙であった時代の完全なる終わり」と話し、「今後の運動は体制を下から支える基盤として、ますます無視できない存在となることだろう」と予想した。

その他

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