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第8回大統領・議会選挙実施 他

1004年9月14日付

【政治】第8回大統領・議会選挙実施 議会・大統領の「ねじれ」

<イグナイト・タイムズ>

議会・大統領の任期満了に伴う第8回選挙は、1003年5月に実施された。

社会共和国成立後初となる本選挙では、セニオリス社会党が議会過半維持、アンドレイ・ヴィドヴィチ大統領再選を目標に掲げ戦った。選挙戦を前にしてはミラ・イェリッチ首相が「セニオリス型社会主義」と銘打つ経済政策を提唱し、大統領もまた社会共和国を成立に導いた実績を強調して他候補に対しリードを広げた。

しかしひとたび選挙戦が始まると、両者は対照的な道筋をたどることとなった。議会選挙ではイェリッチ首相は足しげく候補者らの応援に回り、各陣営の士気高揚を図るとともに社会党の政策の浸透を図った。また公開討論会では首相は36年以上に及ぶ政治家としての経験も武器に他党の代表者らを圧倒し、社会党が次期政権を担うに値する政党であるとの印象を市民らに強く根付かせた。

一方の大統領選では、超越同盟より出馬し社会民主党・自由民主党の一部議員からも支援を受けたミア・ゴトヴァツ候補が、ソーシャルメディアや動画配信などを通じた「空中戦」によって猛烈な追い上げを見せた。迎え撃つ格好のヴィドヴィチ大統領は自らの実績を強調し支持固めに回ったが、大統領候補同士の公開討論会では勢いに乗るゴトヴァツ候補の質問に対し回答に詰まる場面が目立ち、また自己アピールの場面での「イェリッチ首相を支える」といった発言が「大統領候補にふさわしくない」と批判されて次第に失速。止めにゴトヴァツ候補が「『超越』の理解によって社会共和国はその理念をより発揮できるようになる」と提唱したのに対して、大統領は明快な返事を返すことが出来ず、社会党支持層の社民派がゴトヴァツ候補へ、共産派がティホミル・プロシネチキ候補(サンディカリスト連盟)へ離反する最悪の事態を招いた。

最終的に第8回選挙は、議会選においてセニオリス社会党は18議席増の141議席を獲得する大勝を遂げたが、大統領選は超越同盟のミア・ゴトヴァツ候補が制する、「ねじれ」の結果となった。ゴトヴァツ新大統領は「今日この日は、セニオリスにおける超越の始まりの日として記憶されることだろう」と宣言した。一方で敗れたヴィドヴィチ前大統領は「私の気の緩みと無能が招いた事態だ」と謝罪し、「誇りある社会共和国の始まりを少しでも支えられたことを光栄に思う」とコメンとして大統領府を去った。
セニオリス共産党の推薦も受けたサンディカリスト連盟のプロシネチキ候補は、社会党左派支持層からの離反も受けたが伸びきれず、保守党のゴラン・マリッチ候補は「資本主義への回帰」を訴えたが及ばなかった。

「超越の始まりの日」と宣言したゴトヴァツ新大統領だったが、自身の置かれる政治的状況については厳しいものと言わざるを得ない。所属する超越同盟は11議席減の13議席となり、一部が支援に回った社会民主党・自由民主党をあわせても35議席のみと「超越の実現」とは程遠い政治状況にある。第8回議会においてはセニオリス社会党が過半のみならず3分の2をも超える議席を獲得しているために、大統領のリーダーシップは相当に制限されることになる。

社会党は既に大統領とのねじれに関わらず「社会党単独政権への後押しを受けた」と評価し、「当然、憲法の規定によって社会党単独政権を再び構築できるだろうと確信している」と協調した。党内部には大統領選においてヴィトヴィチ前大統領が敗れた責任をイェリッチ首相に問う向きも存在したものの、議会選挙での大勝は首相のリーダシップによると評価する向きが強く、社会共和国を成立させた初の政権はつつがなく2期目へと移行しそうだ。

【政治】ミラ・イェリッチ首相が2期目へ

<北方セニオリス新聞>

ミア・ゴトヴァツ大統領

1003年5月、第8回議会は首班指名選挙を行い、新首相に141票を得たミラ・イェリッチ氏を指名した。

ミア・ゴトヴァツ大統領は議会の指名に基づき、同氏を共和国の次期首相に任命した。

なお、同日行われた議長・副議長選挙では、議長にカロラ・ヨシポヴィッチ前議長(セニオリス社会党)、副議長にはイーヴォ・ゴトヴィナ氏(社会民主党)がそれぞれ選出された。

【政治】首相は二期目に突入 第二次イェリッチ政権を読み解く

<新セニオリス通信>

1003年の第8回選挙の結果、第8回議会はセニオリス社会党が141議席を占める大勝を遂げた一方で、大統領選は超越同盟のミア・ゴトヴァツ候補が制することとなった。

議会を大部分を占める政党に対峙する大統領という、議会・大統領の「ねじれ」の構造は第2回議会前期の情勢を彷彿とさせる。しかし989年憲法の構造は、権力の重みを当時よりも明確に議会寄りにしたものであり、セニオリス社会党は憲法の規定に基づいてイェリッチ首相を指名。首相の任命について形式的な権限のみ有するゴトヴァツ大統領はこれを速やかに履行し、社会党単独政権の2期目の幕開けとなった。

以下に、イェリッチ首相による第二次内閣の顔ぶれを示す。

役職名前所属
首相ミラ・イェリッチセニオリス社会党(無派閥)
外務長官アントニヤ・シミッチセニオリス社会党(社民派)再任
防衛長官ブランコ・オレシュコビッチセニオリス社会党(共産派)
法務長官アイラ・グレグリッチセニオリス社会党(社民派)再任
財務長官ズヴォニミル・ヴィドヴィチセニオリス社会党(社民派)
内務長官ダヴォール・ゴトヴィナセニオリス社会党(無派閥)再任
国土開発長官ラドヴァン・トムリャノビッチセニオリス社会党(共産派)再任
教育科学長官イヴァナ・リンドヴァルセニオリス社会党(社民派)再任
経済産業長官ゴラン・グレグリッチセニオリス社会党(社民派)再任
資源・エネルギー長官ハナ・シューケルセニオリス社会党(社民派)
運輸衛生長官エリーカ・マリッチセニオリス社会党(共産派)再任
農務環境長官スティエパン・イェルコヴィッチセニオリス社会党(共産派)再任
労働長官マリン・リンドロートセニオリス社会党(無派閥)
厚生長官イヴィツァ・サナデルセニオリス社会党(共産派)再任
行政改革長官ダリオ・マテシャセニオリス社会党(社民派)再任

大統領選こそ敗れたものの議会選は制した実績が評価されたこともあり、内閣の顔ぶれはその殆どが第一次内閣のものを引き継ぐこととなった。

一方で選挙戦中にも見られた「多選」批判を意識してか、イェリッチ首相の大統領期より以前から長官を務める古参政治家は交代された。新規に入閣した長官らは概ね若手に位置する政治家といわれ、「ポスト・イェリッチ」を担う後継者の育成を行う意図も伺える。唯一人事を受け継がない例外となった防衛長官は、前防衛長官の「社会主義共和国」への度々の支持表明が社会党公認大統領候補の敗北を招いたと党内で批判されており、この点が今回の交代に至ったと推測されている。内閣府報道官は質問を受け「閣僚人事は、新内閣発足に伴い分野への精通度、政策立案能力などから総合的に判断して決定されており、他意はない」としてかわした。

イェリッチ首相は会見で「我々が提唱し国民の賛同を得た『セニオリス型社会主義』を着実に遂行していく」と語った。社会党の勢力は議会の3分の2をも超えるものとなっており、イェリッチ政権は盤石なものと言える。
一方で、第9回選挙が行われる1015年以降の去就については「党や国民が決めることになるだろう」と明言を避けた。首相周辺は「首相は『78歳の新首相』は高齢過ぎると話している」と明かすが、党幹部は「首相は『ポスト・イェリッチ』の育成に熱心では在るが、具体的に誰が後身を担うのかの有力な見解はこれまでに無い」と話している。ある中堅議員は「国内外にここまで顔が売れたセニオリス人は、第一共和国期を含めても誰も居ない」と首相を評価しており、第二次イェリッチ政権の影ではポスト・イェリッチをめぐる党内での駆け引きも始まっていきそうだ。

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