※本記事はPL投票の投票期間確保のため先行公開されています。978年6月下旬まではRP上は存在しないものとして扱ってください。
978年6月27日付〈中央通信〉
26日に投開票が行われた大統領選挙一般投票の結果、35.3%を得票したチジノ・ジャスパー生産搬送配給委員長が1位となり、34.8%を得たテハネ・ヘリオトロープ内務公安委員長とともに12月に行われる上院投票への進出を果たした。アドリアン・ビニェス・ガルドス動力委員長は28.8%の得票にとどまり、僅差ながら一般投票段階で落選となった。憲法上の規定で978年末をもって退任するトーネ・ユーファストーン大統領の後継者としての地位を争うこととなった今回の大統領選挙であるが、人民党が連合党内の公認争いに敗れたテハネ内務公安委員長を擁立するという異例の展開によって連合党系の2候補に南の風から擁立されたガルドス動力委員長が挑む構図となっていた。
テハネ内務公安委員長は世論調査で「次期大統領にふさわしい」候補として972年の内務公安委員長就任以降一貫して人気を集めており、当初トーネ大統領の後継者と目されていたテレト・ブラッドストーン外交委員長がセニオリス・クーデター以降任期を落とすと一時は「トーネからテハネへの禅譲」が囁かれるようになっていた。しかしながら、連合党本部は「権威主義的に過ぎる」「内務公安委員会出身の大統領は共和国を警察国家に変貌させかねない」などといった自由主義系の派閥のテハネ公認への猛反発に配慮した結果、最終的に党内では比較的中庸な候補であるチジノ生産搬送配給委員長を公認した。この経緯には18年の政権を経ても未だに国民人気の高いトーネ大統領自身の意向が働いたともうわさされている。
チジノ生産搬送配給委員長は自由主義者を自認しており、党内のサンディカリストへの配慮のため社会主義自体を明確に否定することこそしないものの、現状の委員会社会主義には「経済への国家統制が様々な経済活動を困難にしている」として批判的な立場を取っている。国内の委員会社会主義勢力を代表する人民党はこれに反発を強め、委員会社会主義自体の信奉者かどうかは疑わしいものの国家の経済統制それ自体は支持するテハネ内務公安委員長の出馬を後押しし、最終的に「連合党系委員長を人民党が公認する」というねじれた形でのテハネ内務公安委員長の出馬が表明された。この結果、長年大統領選挙には自主投票の立場を取ってきた南の風がほぼ初めて独自候補として擁立したガルドス動力委員長と合わせて3人の主要候補が大統領選挙に登場する展開となった。
3候補の選挙戦とセニオリス・クーデター
トーネ・ユーファストーン大統領が圧倒的な連合党支持を背景に簡単に当選を果たした960年、972年の大統領選挙とはうってかわって、今回の大統領選挙は3候補の「強さ」に大きな差はみられなかった。テハネ・ヘリオトロープ内務公安委員長は個人的な支持を、チジノ・ジャスパー生産搬送配給委員長は連合党の支援を、アドリアン・ビニェス・ガルドス動力委員長は「セビーリャ系として初めての大統領」という看板をそれぞれバックに選挙戦を戦ったが、このようなバックグラウンドと同じくらい結果を左右したのは各候補の外交政策面での差異であったと言えるだろう。
3候補の選挙戦の大前提として、セニオリス・クーデター以降は国内世論の「FUNへの回帰」が進んだことが指摘できる。連合党の同盟国重視主義を代表して18年間の大統領職を務めあげたトーネ大統領であったが、セニオリス・クーデターへの対応に際して加烈天協調を「すっぽかした」ために安保理での対応に失敗したとみなされた同盟国重視政策への支持は衰え始めており、FUNに対する姿勢は当然にして選挙の主要な争点となった。
チジノ生産搬送配給委員長は連合党内のFUN重視派を代表して「FUN憲章の国際法上の意義」を選挙戦で強調し、経済制裁決議に違反したFUN加盟国である秋津国、ヘルトジブリール、ヴェールヌイ各国の行為を「等しく問題である」という立場を取った。テハネ内務公安委員長はこれに対して法的枠組みよりも、経済制裁破りが実質的な問題をもたらしたか否かを重視すべきであるとし、「経済制裁破りが結果的に軍事制裁を正当化し『スラヴ国』体制の早期終焉を導いた」として天別秋3ヶ国の決議違反は「些細な問題とは言えないが、『遺憾の意』以上の対応は過剰である」と主張した。ヘルトジブリールへの批判は加烈天協調体制にダメージを与えると懸念する人民党の立場と、同盟国秋津国に対する「処分」に消極的な連合党内の同盟国重視派の意見のバランスを取ったと言えよう。ガルドス動力委員長は「FUN加盟国が非加盟国より重い『義務』を負うことを強調することは、FUNに対する非加盟国の忌避感をもたらしかねず、フリューゲル中央銀行をはじめとした経済協調の余地を減衰させる」「フ中銀の機能低下は安保理がクーデター対応に忙殺されたことと関連している」などといった南の風の立場を代弁する形の主張が目立ち、経済的な側面から安保理のクーデターに対する介入それ自体を過剰であると批判した。
そして、結果的には、世論の外交に対する意識がFUNに向かっていたことがチジノ・テハネ両候補の勝利とガルドス動力委員長の敗北をもたらしたと言える。「FUN非加盟国」に焦点を当て、また「フ中銀の機能低下」というセニオリス・クーデターに比べてインパクトに欠ける論点を提示したガルドス動力委員長の態度は支持の広がりを欠いた。もともと国際経済への関心が強いガーネット州やユーファストーン市などでははともかく、閉鎖経済思想の根強いエライ州などではセビーリャ系初の大統領候補の主張はほとんど無視されることになり、これが勝敗を分けることになった。
上院はテハネ内務公安委員長に有利な情勢
一般投票の結果が明らかになり、大統領を最終的に選出することとなる上院議員の動向が注目されている。9つの委員会それぞれから5名ずつが委員長により任命され計45名からなる上院を制するには23名の上院議員の支持を得ることが必要であるが、一般投票を終えた時点で18~20人の上院議員は既にテハネ・ヘリオトロープ内務公安委員長への投票を決めていると見られており、チジノ・ジャスパー生産搬送配給委員長は不利な立場に立たされている。
人民党系の情報筋によれば、いわゆる人民党の「三大城塞」の中で現在でも人民党が根強い基盤を有している中央処理委員会、内務公安委員会から選出されている上院議員のうちトロン・アゲート上院議員(内務公安委員会)を除いた9人はテハネ内務公安委員長への投票意思を固めたとされている。軍部、住環境、研究設計、技術、外交の各委員会内にも合わせて9人の上院議員がテハネ内務公安委員長への支持を明言するか、しないまでも確実に支持すると見られており、テハネ内務公安委員長は「流動票」の中からわずかに5人程度の支持を集めれば大統領の地位を得られる状況だ。
チジノ生産搬送配給委員長は生産搬送配給委員会内の上院議員のうち4人の支持を固めており、他に「三大城塞」以外の5つの委員会からも各1人が既に支持を明らかにしている。これらを合わせても9人の上院議員を押さえているに過ぎず劣勢は否めないが、態度を明確にしていない上院議員が未だ15人程度いることからこれらの票を頼みの綱としている状況だ。しかしながら、一般投票で党としてチジノ生産搬送配給委員長を支援した連合党内からもいわゆる「中道系」の上院議員を中心にテハネ内務公安委員長を支持する動きが出ており、一般投票の際のような明確な支援は期待できない状況となっている。
【国際】新ミルズ代表、FUN総会特別会期で対瀬制裁解除に反対も、安保理の制裁解除議論に大きな影響はなし。
【貿易】対瀬制裁解除を受け、食料の定期輸入再開。市民「ようやくまともな味のするものが食べられる」
【社説】対天「処分」は加烈天協調を損なうか。