セニオリス共和国より、議題の内容につきまして説明させていただきます。
・憲章改正に関わる憲章規定の改正
さる956年7月、A/RES/8/2に基づくフリューゲル国際連合初の憲章改正が発効しました。
この改正によって971~980年のフリューゲル国際連合一般理事国は4カ国の推薦に基づき選出されることになるわけですが、一方で同時に、改正を定める憲章39条の問題点が露わとなったことを指摘せねばなりません。
A/RES/8/2は920年代の第8回通常会期における決議でした。憲章39条に従い総会構成国の3分の2の賛成を受けた改正案でしたが、結果として国連加盟国3分の2の批准を受けるまでには約30年もの期間を要しました。
ここで総会構成国の3分の2の賛成は最長10年内の総会期間において決まるわけですから、原因が批准手続きにあることは明らかです。
現在発効にあたって加盟国3分の2の批准が求められている理由を推察するのであれば、それは国際条約としてのフリューゲル国際連合憲章の改正が、その加盟国により合意が得られていることを担保するためと推察します。
また二段階の手続きを求めることで、国際組織としてのフリューゲル国際連合憲章の改正にある程度の慎重さを要求する目的もあると考えられます。
しかし、憲章第7条第1項により総会の構成国は「全てのフリューゲル国際連合加盟国で構成する」と定められております。この総会で構成国3分の2の賛成を得られた時点において、改正案に加盟国の合意は既に得られているものと解釈すべきと考えます。
また慎重さの観点で言えば、第二段階の各国の手続きは上述のような長い年月を要したわけですが、この約30年という期間は総会通常会期3回分にあたります。その内容が議論中なのであるならばともかくとして、既に総会を通過している憲章改正案が30年に渡る期間を要するのは慎重さとしてもいささか行き過ぎと言わざるを得ません。
従って共和国としては、この3分の2の批准手続きを変更する以下の決議案を提案させていただきます。
憲章改正に関する憲章改正決議 案
フリューゲル国際連合総会は、
・憲章第39条、A/RES/8/2を想起し、
・A/RES/8/2に基づく憲章改正草案の発効に約30年の年月を要したことを留意し、
・フリューゲル国際連合の憲章改正が組織の柔軟な運用に資することを認識し、
・現行の憲章第39条による改正手続きが憲章改正を過度に難化させていることを認識し、
・憲章第15条、第16条を想起し、
1.憲章第39条を次の通り改正する;
第39条 改正
この憲章の改正は、総会の構成国の3分の2の多数で採択され、且つ、安全保障理事会がその憲章改正草案を承認する決定を行った時に、すべてのフリューゲル国際連合加盟国に対して効力を生ずる。
2.フリューゲル国際連合のすべての加盟国に対し、上記の改正を各国の憲法上の手続に従って批准するように促す。
改正案では新たな手続きの第二段階に安全保障理事会による承認の決定を求めました。共和国としては改正にあたって求められるべき慎重さは「安全保障理事会の通過」によって十分に担保されると考え、改正案もそれに従った形となっております。
ここで「安全保障理事会が (中略) 承認する決定」としたことについて具体的に説明します。
まず各国の批准手続きを安全保障理事会の承認決定で代替する、あるいは元には記述がない安全保障理事会が憲章改正に介入することの正当性については、憲章第15条に定める権限、あるいは憲章第14条に定める任務によって十分に正当化されるものと考えます。
前述のように、加盟国3分の2の批准による発効は総会通常会期複数回分以上の長き年月を要しました。この2段階目の手続きを安全保障理事会が「フリューゲル国際連合の迅速且つ有効な行動を確保するために(憲章第14条第1項)」代わって担うことは、安全保障理事会の任務の趣旨に沿います。
また批准手続きの代替が安保理による同意となる点についても「加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾しかつ履行することに同意(憲章第15条)」しているわけですので十分な正当性を有すると考えます。
次にその第二段階の安全保障理事会の同意が「憲章改正草案を承認する”決定”」となっている点について、第一に”決議”という文言とする場合の問題点を指摘します。
安全保障理事会の”決議”という単語は憲章本文には無く、付属書IIにおいてのみ登場しています。この付属書II第5項第3号によれば「同盟理事国が反対票を投じる際 (中略) 拒否(Veto)の投票を表明することもできるが、これは反対票として扱う。」とあり、決議にあたっては同盟理事国の賛成を必ずしも要しないことが記されております。
現行の憲章第39条では第二段階での各国の批准において「安全保障理事会のすべての同盟理事国を含む」ことが条件とされており、”決議”とした場合においてはこの条件を実質的に変更することとなります。
憲章改正において同盟理事国の同意を求めることが、改正にあたっての慎重さを担保することに資することは論を俟たないでしょう。従って、ここで”決議”と示すことは必ずしも適正ではないと考えます。
一方で”決定”については、憲章第16条第2項において「同盟理事国の同意投票を含む過半数の理事国の賛成投票によって行われる。」とされており、同盟理事国の同意を条件とする現規定を引き継ぐこととなります。
この決定が憲章第15条に定められた権限に基づく決定でありいわゆる事務的決定事項に当たらないことは、憲章に記載されるという特殊性によって十分に担保されるものと考えます。
いずれにしても、現行の憲章第39条に従えばまず第一段階として「総会の構成国の3分の2の多数で採択され」る必要がありますので、各国の皆さまの意見を得ることが出来れば幸いです。