1002年3月30日付
【政治】社会主義の前進 「社会共和国」憲法が発議
<イグナイト・タイムズ>
第7回選挙において大統領・議会の過半の双方を制したセニオリス社会党は、自党の悲願である社会主義体制の導入に向け議会での審議を主導した。国内世論の分断が971年クーデターを招いた反省から、今般の審議では再度の分断を避けるべく、社会党は11年という長い時を官民での議論に割いた。
社会党が特に長い時間を費やしたのは、改憲容認をより多くの党に広めることだった。特に社会民主党は、前回選挙でこの憲法改正への姿勢を明示できずに社会党に敗れた経緯があり、揺れ動く党の動向に社会党は神経を尖らせた。他方で議会の単独過半という大きなアドバンテージを得た社会党は、前回に破棄に追い込まれた改憲案の理念を維持することも忘れず、審議は妥協よりも野党各党に理解を求める場面が中心だった。現憲法からの主だった変更点をいかに紹介する。
前文に盛り込まれる国家の価値観は「自由かつ民主的な、全ての勤労者の利益を尊重する社会的共和国」となった。970年において反発を生んだ点である「自由」と「民主」が再び導入された点は、一方で970年の草案からの数少ない点の一つでもある。
主要な変更点は財産権に関わる部分に集中し、これらの点は970年草案からの変更点は僅かである。財産権については「法律の規定に基づき保証される」としたものの、その権利は「公衆の健康に供する義務を伴う」との制約が明記された。また現憲法では収用に関し「その公的な必要性が明白かつ適法に確認される場合に」、「正当かつ事前の補償の元で」と条件づけていたが、新憲法では収用は「補償と併せて」行うことが出来ると緩和される。
国有企業の概念も、970年草案から受け継がれている。草案では、「国は、すべての財産や企業について、公共の利益に供させるべきことが明白な場合においては、公共の所有とすることができる」とされており、特に土地については「国は、全ての土地について、公共の利益の必要性のため、法律の規定に基づき監督する」と付記されている。反対論が根強かった土地の利用者に掛かる義務条項こそ見送られたが、これらの新規定は社会主義が掲げるところの「生産手段の国有化」を明確に意識したものと見られる。
最終的に審議は1002年3月に決着し、1000年という節目を跨いだ改憲草案は賛成156反対15棄権29の賛成多数によって議会を通過した。アンドレイ・ヴィドヴィチ大統領は速やかに署名し、新憲法は国民投票に委ねられることとなった。また同時に議論されていた、改憲の成立とともに国号を「セニオリス社会共和国」、国旗をセニオリスの農民と労働者の団結を表す「鍬と槌」を盛り込んだ物に変更する法案も投票入りし、こちらは賛成147反対20棄権33にて採択された。
改正草案及び「社会共和国法」の議会通過を受けてミラ・イェリッチ首相は「労働者の悲願に大きな前進だ」と声明した。首相は引き続いて国民投票での成立に全力を注ぐとし、「私の大統領時代の失敗は二度と繰り返さない」と力強く語った。一方で、社会主義者の一部は、今回の草案の通過及び国旗国号の変更をあくまでも通過点と考えているようだ。憲法草案では賛成に回りつつも「社会共和国法」にて棄権を行ったセニオリス共産党は、「これらの改変はセニオリス革命に向けての小さな一歩に過ぎない」と公言し、「社会主義共和国の建設に妥協は許されない」と述べた。また社会党内部でも共産派のある幹部は「歴代の左派政権の功績を固めたにすぎない。社会党は『社会主義共和国』の建設のその時まで続くだろう」と語っており、社会主義改憲の声はこれから先も続きそうだ。
【政治】セニオリス社会共和国成立 改憲、国民投票通過へ
<新セニオリス通信>
1002年3月、国家の価値観変更、財産権の制約、企業の国有化などが盛り込まれた「セニオリス社会共和国」憲法が国民投票に掛けられ、賛成61.6%によって発効した。積年の議論の集大成だったことから、投票率は89.0%という高水準の物となった。
新憲法の発効によって国号・国旗を変更する「社会共和国法」も発効し、「セニオリス社会共和国(Socijalna Republika Šenioridska / Social Republic of Seniorious)」はここに成立した。
新国旗にあしらわれる「鍬と槌」は、共和国の農民と労働者の団結を表すものとされる。「社会共和国法」の原案では国の標語として「セニオリスの労働者よ、団結せよ!(Proleteri Šenioridska, ujedinite se!)」を採用することが提案されていたが、こちらは「社会主義的に過ぎる」として見送られた。
アンドレイ・ヴィドヴィチ大統領は社会共和国憲法の成立を受けて、「労働者の利益を追求する、共和国の新時代に立てたことを光栄に思う」と述べ、「過去の忌々しき分断から協調へ、新しい時代を皆さんとともに作り上げていきたい」と抱負を語った。
第8回選挙があと1年ほどに迫る中、社会党は国民投票通過による高揚感を勝利に結びつけたいと考えている。ミラ・イェリッチ首相は「セニオリス型社会主義」とあだ名する経済政策を提唱しており、今選挙の話題の中心も社会党となりそうだ。
その他
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