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連合党大勝、ダブル選双方制す

960年12月27日付〈中央通信〉

 26日に行われた共和国大統領選挙・共和国議会下院総選挙は劇的な結果を迎えた。大統領選挙では有効投票数の68.1%の得票を獲得したトーネ・ユーファストーン住環境委員長(連合党・革新党)が31.0%にとどまったコンナ・モリオン中央処理委員長(人民党)にダブルスコア以上の差をつけての当選を果たし、共和国議会選挙でも連合党が前回議席を3倍以上上回る単独過半数である347議席を獲得した。一方、現職のケンラ・アゲート大統領の与党である人民党は議席を4分の1以下に減らしわずか46議席と、結党以来最悪の結果だった900年の134議席をはるかに下回る「崩壊」と言っていいレベルでの大敗を喫した。大統領選挙では連合党と共同でトーネ住環境委員長を支援する一方で議会選挙は独自に戦った選挙前の第1党・革新党も連合党の勢いに押されて議席をすり減らし、157議席と前々回並みの水準に逆戻りした。
 今回の選挙は社会主義憲法下で初めて「大統領・議会ダブル選挙」となった。6年任期の大統領と10年任期の共和国議会は30年に一度選挙が重なるが、900年や930年はどちらも時の大統領が憲法で定められた「自動再選」を果たす年であったため実際にダブル選挙が行われることはなく、また、社会主義連邦共和国時代初期の大統領制では大統領は議会が任命していたため選挙は行われなかった。我が国で大統領選挙と議会選挙が同時に行われるのは旧共和国時代最後に行われた700年(既に死亡していたリヨネ・アメシスト旧共和国大統領がそれを隠した当時の大統領府メンバーの手により「出馬」し、革命の英雄レンデ・アゲートに対して不当にも「勝利」したあの選挙である)以来、実に260年ぶりであった。このような状況下であるため、各党は大統領選挙と議会選挙を同時に戦うための策を手探りし、それが図に当たった形となったのが連合党であった。
 連合党は革新党と合同で予備選挙を開催、結果革新党系のイファン・アメシスト技術委員長を押さえて連合党系のトーネ住環境委員長を革連両党の統一候補として大統領選挙に送り込むことに成功した。両党の統一的な選挙支援はさすがに強力であり、トーネ住環境委員長は現行憲法下で初めて50%を超える得票を一般投票で獲得し、人民党の巻き返しがあり得る上院投票をスキップしての大統領当選となった。大統領選挙では革連両党が共同で勝利を得た一方で、議会選挙では両党は明暗が分かれる形となった。連合党は長年続けてきた親瓦的な外交政策の訴えを抑え、近年加盟国が拡大したWTCOを強調する形を取った。また、「共和国議会選挙における比例代表制の導入」を目玉政策として掲げ、小選挙区制のみで行われている現行制度が人民党・革新党の「両党迭立」―現行憲法下で行われた最初の880年共和国議会選挙以来、常に第1党・第2党は人革両党によって占められている―の原因となっているとして批判した。これらの政策が世論に対して「新味のあるもの」として映り、人民党批判層に対して「いつも通り」のFUN中心主義や委員会社会主義体制の擁護を唱えるのみであった革新党よりも連合党への投票を促す形となった。
 一方、このような連合党の戦いぶりは思わぬ副産物を生むことになった。トーネ住環境委員長が連合党と連携して現在の共和国議会制度を批判した結果、長年続いてきた「共和国の民主主義」に対する信頼が揺らぎつつある。共和国の政治制度を「より民主主義的にすべき」と考える有権者が急増し、「民主主義」を政策の理念に掲げる民主前進党が23議席を獲得した。同党は共和国議会選挙において議席を獲得すること自体910年以来半世紀ぶりで、「共和国の政治体制は民主主義的ではない」という過激な主張が一部の有権者に受け入れられたという事実は特に現体制を強力に支持する人民党・革新党にとっては大きな打撃となっている。

瓦国におけるBT兵器実験に国際社会から批判殺到

 960年1月上旬、神聖ガトーヴィチ帝国は同国内辺境の無人島に対してBTミサイル15発を発射した。同島は全域が汚染土壌に覆われ、各国は汚染物質の周辺海域への流出の恐れがあるとして公式・非公式に反応している。セニオリスやロシジュアなどは民間報道機関が懸念を表するにとどまっているが、ヘルトジブリール政府はガトーヴィチ産食品の輸入規制を発表、普蘭合衆国は「8月下旬までに除染が行われなければ”除染介入”」するとガトーヴィチ政府に通達した。共和国政府は当初は「汚染が我が国に到達することはあり得ない」(アンク外交委員長)と静観の構えであったが、国際社会から懸念の声が相次ぐ中最終的には烈天路3ヶ国と共同でガトーヴィチ政府に汚染物質の除去と使用されたBT兵器の詳細公表を求める声明を発表、ガトーヴィチに対応を求めることとなった。
 ガトーヴィチ政府はこの声明を受け衛星レーザーで汚染土壌を焼却除去、963年末までに実験の「成果報告」というかたちでBT兵器の詳細公表にも前向きとみられる態度を取ったためひとまずこの問題は収束に向かうとみられるが、一方で普蘭合衆国は「我々が行動を起こすまで路烈天加は事態解決に向けた対応を国際社会に対してなんら提示していなかった」として4ヶ国声明に対して「憂慮」を表明した。同国はさらに4ヶ国声明が普蘭合衆国による対瓦通達より後に議論されたものであれば「惰弱」であると主張、共同声明の発出に至るまでの協議の議事録が存在するなら公表するように4ヶ国に求めた。4ヶ国を代表してロムレー政府から「議事録は存在しない」との返答が行われたことでこの問題も幕引きとなるとみられているが、普蘭政府がこのような過激な表現を用いて加烈天路4ヶ国を非難した理由は不明瞭なままとなっている。

【社会】「衛星レーザーでは汚染土壌は除染できない」を持論にしていた資産数百億Vaの実業家、一夜にして破産。
【国際】FUN総会第12回通常会期、憲章第39条の改正を議論される見通し。憲章改正手続きの簡略化成るか。
【政治】共和国議会選挙で南の風躍進も、権威主義的な右派と自由主義派の間で党内の主導権争い発生か。

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