873年3月9日付
第61回人民院選挙実施 各政党概ね現状維持
労働党の大敗と社民緑連立政権の発足という怒涛の展開となった第60回人民院選挙から5年が経ち、873年2月に任期満了に基づき選挙が行われた。
前回選挙からわずか5年ということもあり選挙戦は主にイスラフィル政権の評価如何に終止し、ゆっくりと進められている憲法改正論議が争点となることは無く低調な選挙戦となった。
政党 | 改選議席数 | 議席数 | 増減 |
社会民主党 | 134 | 134 | 0 |
共和人民党 | 48 | 48 | 0 |
緑の党 | 40 | 40 | 0 |
トルキー労働党 | 128 | 129 | +1 |
共産党 | 23 | 25 | +2 |
公正党 | 25 | 23 | -2 |
無所属 | 2 | 1 | -1 |
選挙結果は低調だった選挙戦を表すかのようにほとんど代わり映えのないものであり、僅か5年での選挙戦に判断を迷った有権者の心理が色濃く表れるものとなった。
イスラフィル内閣総理大臣は会見で「概ね満足の行く結果であり、信任を改めて受けられたものだと判断する」とし、野党第一党のトルキー労働党のスレイマン・イルテギュン代表は「引き続いて、政権が社会主義共和制を破壊することがなきよう強く監視を続けていく」と話した。
「任期一桁の議会は機能しない」CHP系教授著書に騒然
873年2月、低調な選挙戦だった第61回人民院選挙に合わせる形で出版された著書『民主主義のフラストレーション』は政界、そして国民を震撼させた。
著書は共和人民党の論客として知られるアンカラ大学のギゼム・ディンチョズ教授によるものだ。
世間を大いに賑わせたのは著書の中の「フリューゲルでの選挙考察」の章だ。この章は残存する旧世界での各選挙の資料とフリューゲルでの各国での選挙を観察し、観察結果よりフリューゲルにおける民主主義の成す形を見出そうとするものである。
前半部分においては残存する旧世界の資料が「多くの議会の任期は一桁に収まり、任期前に解散する例も多かった」ことを示しており、「旧世界における政治のスピードが著しく速かったことで、短い間隔で民意を問うことが必要だったのだろう」と結論づけている。
後半部分ではトルキーを含んだ各国の選挙について観察されている。それによると「有意義な観察が可能な議会の任期は10年以上であるのが基本で、また任期一桁で創立された議会が大幅に延長される例も確認された」としており、また短い間隔において選挙が行われた例においては「全体的に低調な選挙戦が繰り返され、『とりあえず前回と同じところに入れる』のように思考を放棄したかのような投票理由が数多く見られた」としている。
事実、旧世界における速度感とフリューゲルにおける速度感に大きな差異があることは政治に限らない多くの研究において指摘されている。例として各国の平均寿命について「旧世界より長くなる傾向にあり、栄養失調等の体調が万全でない状態においても同様だった。」との結果が示されている。
これら全ての研究において共通しているのは、フリューゲルにおける速度感は旧世界における物より著しく遅いということである。
これらを踏まえた上で著書では観察結果より「ライフスパンが長く政治スピードが遅いフリューゲルにおいて、任期が1桁の議会は国民の選挙疲れを生み出すことで著しい機能不全に陥り、民主主義が形骸化する自体を生む」と結論付けている。
実際の選挙においても、国政政党で最もリベラル的とされる公正党幹部が「選挙疲れした国民が大政党に適当に票を投じてしまう」などと漏らす例が知られ、今回の著書は少なくともトルキーにおいては事実を表しているものと言える。
この著書が話題を読んだことで、政界においても議会の選挙制度改革が急激に叫ばれるようになった。各会派の議論では任期を延長する方向で一致しているものの、より踏み込んだ改革を求める声も多く議論は長引きそうだ。
羅連合、椅王国に宣戦布告
862年10月頃に活動を活発させたと言われる「ラス・アノド海賊連合」が872年9月、871年2月に建国し”ルッコラ主義”を唱えて極端な孤立政策を取る「イスタシア王国」(以下椅王国)に宣戦布告していたことが判明した。
情報筋によれば同連合は、椅王国が国防努力を放棄したと見做されていることを利用し「有する資金全てを要求した」とのことである。
これに対し椅王国は「新たな要求には応じないこと」を条件に要求に応じたとのことで、実際の紛争は回避された模様だ。
これらの紛争に外務大臣は「ラス・アノド地域、イスタシア地域、双方に何かしらの集団組織が形成されていることは認識している。政府としてイスタシア地域の集団組織に対し『建国を祝する』メッセージを送った事実は存在するものの返答は無く、両地域の集団が国家であるかどうかについて把握していない。また現状において把握に向け行動する予定は特にない。」と根本的な認識を話した上で、「政府としては両地域間の紛争に関し一切関知にない」とした。
その他
共産党派閥争いが激化。指導部を掌握する守旧派は急進派の除名も検討。
共和人民党党首投票に二大政党制研究会「候補出さず」 党の分裂懸念か
【局説】地方院選挙、各党は足元を固めて望むべし
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