リブル代表は、外交部がケチなため長距離バスで西へ出張することとなり、乗車時に「失礼なことをうかがいますが、男性で予約されていますが大丈夫ですか?」といった気まずいやりとりをこなしつつ、事故渋滞もあり10時間以上かけて到着した梅●(くにがまえにメ)で困っていた。夕食は「そこらのうどん屋で天ぷらうどんを食べる」という算段だったのが、地理不案内のため「そこらのうどん屋」が見つからないからだ。
リブル人は、成人してからこの方上海と東京、あとちょっと東北にしか住んだことしかないが、大阪人なので、「大阪のありふれた味」に飢えている。しかるに、心斎橋あたりの出身なので、梅田はわからない。うどん屋を探すのも面倒になり、阪急神戸本線に乗り込むと、「新機構・BCAT誕生」との報が飛び込んできた。
このタイミングで来たかあと動揺しつつ、こういったことも協議しなければなるまいなどと考えながら、王冠聯合・ローテン先生のご提案で一席設けられるとの指定の駅で降り、旧知の王冠聯合両名が迎えに来るのを待っていると、目つきの男前な男性が近づいてきた。
「リブルさんですか?」
誰やこいつ、初対面、関西、ぼーはこ民……。
「ヴェールヌイです」
やっぱり!オフ会レポやSlackの雰囲気では「一緒に飲んだら楽しそう」と思っていた反面、「先だっての国連総会でボロクソにやったけど大丈夫か」「新機構やんけ」「何をどこまで喋ったらええんやこれは」などと色々考えながら、そこは十年ぶり二回目の二十四歳なので、「いやぁー、こら嬉しいサプライズですわぁ」とか全力で親愛の情を示しつつ、別府先生いきつけのお店へご案内いただく。
なかなか広いバーを貸切状態。この待遇に別府飲兵衛ヴェールヌイ先生の面目躍如たるところを感じる。旧知のオーヴァリア先生と、えーと、なんだっけ、ショッテン=ローテン先生は、先に一杯やられていた。オーヴァリア先生は一ヶ月ほど前に会った気がするが、ローテン先生は二年振り。
「いやぁ、新陣営誕生でSLCNは大騒ぎですわ」
「その大騒ぎ、いうんもなぁ」
おどけた感じで別府先生に水を向けてみたが、おっと、どうやらいきなりこういった話題はよくないようだ。まずは箱庭参加歴や、「誰と勘違いしてた?」のような話をしているうちに、別府先生の年齢が気になったので不躾ではあるがお伺いすると、ローテン先生、リブル、◯◯゛○◯と同い年であることが判明、昭和平成◯◯年会が結成された。
そこに、これまた近所に住んでいるラ・フローリド先生が合流。6年振りくらいだろうか。
「雰囲気変わったなぁ」
「それは自分やろ」
などと言い合い、再会を喜ぶ。箱庭思い出話や、リブルが「うどんが食べたかった」とまだ拘っていると、「ラーメン食べたらよかったやん」とフローリドが応じたのに対して「ラーメンだけは東京のほうが美味いのに何が悲しゅうて大阪のラーメンなんか食べなあかんねん」とリブルが興奮、別府先生に「落ち着け」とたしなめられる一幕も。なお、別府先生は油そばロスに苦しんでいるらしい。
共産主義思想への拘りや、自民、公明、維新での選挙運動のやりかたといった、ごく普通の成人が交わすようなとりとめのない雑談を交わし、翌日の再会を約して、宿舎であるオーヴァリア外交官公邸へ、フローリド公用車で送ってもらう。
オ「あ、ここ左行ってください、やっぱり真っすぐで」
フ「ちょ、もう左折レーン入ってんけど」
リ「道交法しらんのかこいつは」
オ「バイクは路上教習ないんですよ」
などとワイワイやって車を降りて歩道に入ると、フローリドが呼び戻すので何だと思ったら、ドアを閉めるのを忘れていたようだ。
さて、散々「散らかっている」「風呂は洗っていない」と脅かされていたので、どんな蛮地かと思っていたが、モノが散乱していながらも通路は確保されており、まずは人の住めるところだった。
盗聴対策のため「シン・ゴジラ」を流しながら外交の話をしていると、石動先生から「明日新大阪で落ち合えませんか」との通信が来たので、「落ち合うもクソも新大阪なんか通るかいな」と言いながら拒絶の返電。来客用の布団があったことに感動しながら、関西オフ0日目の夜は更けていったのであった。