975年5月14日付
【国際】天別二国、我が国に宣戦布告 対話無き戦争に正当性疑問
<ヤドラスコ・ニュース>
975年1月、ヘルトジブリール社会主義共和国、ヴェールヌイ社会主義共和国の2国は我が国に対し宣戦を布告した。この直前にフリューゲル国際連合安全保障理事会は「サンサルバシオン条約機構加盟国により構成される多国籍軍に対して、憲章第28条に定める国際の平和及び安全の維持または回復に必要な戦争行為として承認することを決定する」などとする第34号決議を採択していた。政府は今決議に関わる会合において正当な代表者の参加を認めるよう事務局を通じ要請していたが、要請は無視され対話無きまま武力衝突へと発展する事態となった。
マーヤ・カティッチ首相は宣戦布告を受け緊急で救国評議会の会合を開き、軍の総動員を指令した。首相は直後の会見において「かかる安保理決議及び宣戦布告は国連憲章第2条第4項に記された『平和的手段』の趣旨とは真っ向から背くものであり、本紛争は憲章同条第5項に記されるいかなる『正当性』も有さない」と評価し、「安全保障理事会は、その責務を真っ向から否定し、自ら国際平和を乱している」と非難。その一方で人道的観点から「我が国からの攻撃は軍事関連施設に留められる」とも言明し、また国民に対しては「厳戒区域への侵入はこれまで通り罰せされるが、接近についても控えて欲しい」と注意を呼びかけた。
対話プロセスを排除した戦争状態突入に国民からは疑問の声が相次いでいる。アンドリア・コソル救国評議会議長は「他国の主権を踏みにじったわけでもない我が国がなぜ『平和に対する脅威』と評価されたのかが理解できない」と困惑。アナ・トムリャノビッチ外務長官は「我が国の『正統性』を疑いながら『正当性なき戦争行為』に手を染めるとは理解に苦しむ」と批判した。安保理、条約機構の暴走により我が国は未曾有の危機に瀕している。国際社会が正道に立ち返ることを願ってやまない。
【社会】大統領、4年振りに公の場に 総動員により警備事実上解かれ
<イグナイト・タイムズ>
ヘルトジブリール、ヴェールヌイによる宣戦布告は、市民にとっての一筋の光となるのであろうか。975年5月1日の第27回メーデーでは、イグナイト郊外の広場における大会にてミラ・イェリッチ大統領が登壇し、参加者から大きな歓声が上がった。大統領は「この4年間、私は大統領として何も果たせない無力感を抱き続けていた」と打ち明けると、「私達は未だ不条理の中にいるが、決して希望を捨てないで欲しい」とエールを送った。紛争に関連した話題として「『救国評議会』は国際社会の批判に耳を傾けようともしなかった」と非難し、また参加者らに「攻撃の対象区域は概ね『救国評議会』が指定する厳戒区域とも重なっている。ヘルトジブリール軍からの通告も参考にし、危険な地域には絶対に近づかないで欲しい」と呼びかけた。
今回の第27回メーデー大会はここ3回続いていた衝突を伴う”血のメーデー”から脱却し、第23回以来久しぶりに労働者らが自由闊達に意見を表明する環境が整えられた。このところ大会では武装した兵士による介入が常態化していたが、今般の警備は軽武装の警官があたり、中には警官が参加者に混じり拍手を送る姿まで見られた。
こうした環境の変化は、紛争に伴う総動員令が理由と分析されている。これまで大統領は軍の警備の元で自宅軟禁状態にあったが、攻撃を前にした3月に警官に切り替わったことが確認されていた。4月後半頃には大統領と現地警察官との交渉と見られる場面も目撃されており、救国評議会直轄の軍組織から内務省管轄の警察組織へ担当が移ったことが状況の好転をもたらしたものと見られる。
しかし、これは救国評議会の変容を意味しないと識者は警鐘を鳴らす。専門家は「この事例はあくまで紛争によって生まれた救国評議会の”隙”と見るべきであって、国際社会での決議や勧告の趣旨に沿うものではないことは明白だ」と指摘した。状況の変化が4年に渡る暗雲を晴らすことが出来るかは不透明だ。
その他
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