1126年6月8日付
【政治】第19回議会選挙・第18回大統領選挙実施 社会民主党が連勝
<イグナイト・タイムズ>
任期満了に伴う第19回議会選挙・第18回大統領選挙は、1123年5月に実施された。
前回選挙において議会過半を制し単独政権となった社会民主党(SDP)は、前回事実上不戦敗の結果に終わった大統領選挙での勝利と共に、ベルナルダ・トムリャノビッチ首相による第二共和国史上初の3期目という2つの目標を掲げて今選挙に臨んだ。現職でセニオリス社会党(ŠSP)のイヴァナ・マリッチ大統領も2期目に挑戦する意向を崩さなかったため、SDPでは進歩自由党(PSL)、コモンウェルス共和党(KRS)と歩調を合わせるアイラ・グルバッチ候補が公認候補として選ばれ、議会第一党と第二党が全面対決する構図となった。
大統領選挙での有力候補としては、中道左派のアイラ・グルバッチ候補(SDP)、左派で現職のイヴァナ・マリッチ大統領(ŠSP)に加えて、制度的超越党(ITP)から初めての加速派所属となるアロイジエ・コソル候補の三者が注目された。議会第一党と第二党の争いにITPが乗り込んだ形だが、三人の有力候補は全て左派寄りと見られる候補であり、蚊帳の外となった右派のセニオリス民主同盟(ŠDZ)のある議員は「社会主義者お得意の内ゲバにすぎない」と冷笑的に語った。
選挙戦では、強力なSDP単独政権の是非に加え、917年来の友邦ヘルトジブリール社会主義共和国の経済崩壊も話題となった。かねてより指摘されていた影響力低下が顕在化した形であったが、建国以来の外交的転換点ともいわれる状況が、外交政策を選挙戦の議題とする機会を産んだ。
ŠSPとマリッチ候補はヴェールヌイの脱退とヘルトジブリールの衰退によって「現在のSSpactに従前ほどの価値はない」と断じた。ITPとコソル候補は真に超越的な国家の目指す先として「超越的国家との連合形成」を示した。いずれもセニオリスが建国以来取ってきた外交政策から一線を画す主張であり、外交政策の転換を求める声の高まりを示した。
しかし例年でも見ないほどに盛り上がった外交論争の中で、最も支持を集めたのは結局のところ「従来の踏襲」であった。SDPとクルバッチ候補、そしてトムリャノビッチ首相は従来通りの国連・SSpactの「二輪外交」の重要性を訴え、最も支持を伸ばした。
外交路線の転換を求む声は決して小さくなかったが、ŠSPとITPが外交転換を訴えながらも支持拡大に繋げられなかったのは、その展望を示しきれなかったことが大きいだろう。ŠSPは社会主義国家との関係強化を訴えたが、社会主義国家を重視すべき理由やSSpactに代わりうる安全保障のあり方などで詰めの甘さが目立った。ITPの構想はセニオリスの超越的体制実現後という長期的な目標に限られ、短期的には孤立をも容認したために現実的な構想と評価されなかった。
また内政面においても、トムリャノビッチ首相が任期中に天国の経済崩壊の影響波及に見舞われながらも、その影響を最小限に抑えたと評価されて支持を伸ばした。ŠSPや右派政党は「セニオリスの経済規模から来た必然の結果」としてこの評価を不当なものと訴えたが、SDPの伝統的な混合経済政策を取って変えるべきほどの熱意を呼び起こせず、自党の支持拡大に繋げられなかった。
SDPは終始優位に選挙戦を進め、最終的に大統領選ではSDPのアイラ・グルバッチ候補が勝利、議会選でもSDPは議席を更に18議席伸ばし131議席という完全勝利を遂げた。ŠSPは16議席を失って16議席となり、議会第二党は8議席増で35議席となったPSLになった。
この完全勝利を受けてトムリャノビッチ首相は「二期の実績が評価された」とコメントした。大統領もSDPに移ったことで首相は今選挙以前よりもさらに盤石な体制で3期目を迎える形となり、党幹部は「SDPの路線こそがコモンウェルスの道だったと評価されるべくさらに力を尽くす」と12年後より先をも見据えている。
【政治】ベルナルダ・トムリャノビッチ首相が三期目へ
<北方セニオリス新聞>
1123年5月、第19回議会は首班指名選挙を行い、新首相に131票を得たベルナルダ・トムリャノビッチ首相を指名した。
アイラ・グルバッチ大統領は議会の指名に基づき、同氏を連邦の次期首相に任命した。
なお、同日行われた議長・副議長選挙では議長にアイラ・クトゥラ前議長(社会民主党)、副議長にはゴラン・メシッチ氏(進歩自由党)がそれぞれ選出された。
【政治】社会民主党の栄光続く 第三次トムリャノビッチ政権を読み解く
<新セニオリス通信>
1123年5月の選挙によって社会民主党(SDP)は議会の6割超を単独で占め、大統領選も制する大勝を遂げた。ベルナルダ・トムリャノビッチ首相の3期目も問う選挙戦であったが、有権者はトムリャノビッチ政権2期の実績を評価したようだ。
首相の3期目挑戦を巡っては、過去に「高齢」を理由に首相を2期で退いたミラ・イェリッチ元首相(1015年当時78歳)の事例や、大統領では3選禁止が定められていることを引き合いに、「セニオリスの民主制に馴染まない」として野党などから批判を浴びた。しかし選挙を連勝に導き、天国の経済崩壊の影響を抑えたトムリャノビッチ首相の手腕を疑う声は党内にはなく、本人も1035年時点で75歳となることに対する不安に対して「24年前と変わらず健康そのもの、頭はむしろ今の方が冴えているくらいだ」と否定。「イェリッチ元首相も退任後90代を迎えても健康だったという。諸外国を見渡せば100歳を超えてもなお国を導く例さえあり、70代で悲鳴を上げてるようではフリューゲルではやっていけない」と年齢に関わる批判を一蹴し、首相の3期目は大多数に支持される形となった。
以下に第三次トムリャノビッチ政権の顔ぶれを示す。
役職 | 名前 | 所属 | |
---|---|---|---|
首相 | ベルナルダ・トムリャノビッチ | 社会民主党 | 再任 |
外務長官 | カタリナ・サナデル | 社会民主党 | |
防衛長官 | マーヤ・ゴトヴィナ | 社会民主党 | 再任 |
法務長官 | ミルコ・パヴロヴィッチ | 社会民主党 | 再任 |
財務長官 | ブランコ・プレンコビッチ | 社会民主党 | 再任 |
内務長官 | ゴラン・ファブリス | 社会民主党 | 再任 |
国土開発長官 | アロイジエ・コニュ | 社会民主党 | |
教育科学長官 | クリスタ・モホロビチッチ | 社会民主党 | 再任 |
経済産業長官 | ロヴロ・ペルコビッチ | 社会民主党 | 再任 |
資源・エネルギー長官 | カルラ・ラニロヴィッチ | 社会民主党 | |
運輸衛生長官 | ステファン・ホルワート | 社会民主党 | |
農務環境長官 | ドラジャン・クラリツ | 社会民主党 | 再任 |
労働長官 | アンドレイ・マルティッチ | 社会民主党 | |
厚生長官 | ブランコ・マティアヴィッチ | 社会民主党 | 再任 |
行政改革長官 | ヒルダ・モホロビチッチ | 社会民主党 | 再任 |
閣僚の多くは第二次政権時から引き継ぎであり、第二次世間発足時にも増して連続性が強い政権となっている。社会民主党単独政権が連続する強みを活かし政策の連続性をアピールする狙いだが、一方で第一次政権から3期連続で閣僚入りした人員は首相を除くとミルコ・パヴロヴィッチ法務長官に限られることも特徴になっている。
専門家は「政権の連続性を意識しつつも、選挙戦でも行われた多選批判をかわす狙いが見られる」と分析する。SDP一強とまで言える政情の中で、党の中堅議員は「セニオリス社会党(ŠSP)が『セニオリス型社会主義』を打ち出したように、SDPの特色ある政策路線を確立する最高の機会だ」と述べており、3期に渡るトムリャノビッチ政権がコモンウェルスにとっても大きな存在となることが予感されている。
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