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低迷する連盟政権に武器なき労働党

【社説】低迷する連盟政権に武器なき労働党

983年から1008年までの人民議会
別府危機以来、外交的安定性に欠いている事とは裏腹に、労働/連盟のパワーバランスは固定化されつつある

1012年10月、ヴェールヌイ労働党(以下労働党)中央委員会は、人事刷新を表明した。
ザラフィアンツの退任、983年から文化自由連盟(以下連盟)に政権の座を明け渡して以来、ヴィシリー・グリンカ党書記長のもとで失地回復を目指してきた労働党だが、議席数で80台から回復することが出来ていなかった。

アレクサンドル・コズイレフ首相率いる連盟は、政権奪取直後から、BCAT結成、宗教指導者の参政権付与などで、目立つ成果や変革をアピールしてきた。特に、BCAT外交は連盟政権の一丁目一番地であり、機構の有力国たる普・瓦との共同は欠かせないものと見られてきた。

ところが1000年以降はそれらのアピールも鳴りを潜め、対BCAT外交に苦慮する場面が増えつつある。特にベロガトーヴィチ滅亡に端を発する別瓦交渉では、両者の立場の違いが再度浮き彫りになった。
再建ベロガトーヴィチへの資本投下や開発指導は「低調だが安定的(連盟関係者)」に推移しているものの、瓦が主導的であった旧時代の水準には到達できていない。
(もっとも、安定性を重視した開発プロセス管理は、共和国の対外開発援助の得意とするところであり、瓦時代の軍事偏重又は全並行開発とは単純に比較できない)
またこれらは結果として、共和国とガトーヴィチ、ベロガトーヴィチという所謂スラヴ三国に関連した問題として、内外から警戒の声もあがりやすい。

本紙の取材に対し、外務省元官僚は以下のように語った。
「連盟は政権党となってはじめて現実を目の当たりにし、国際政治が絵空事ではないことを痛感したのではないか。政権獲得後の数年は、BCAT関係を中心に政府主導の各種計画策定や指示が相次ぎ、省各局の提言は「指導政党(労働党)時代の悪しき習慣」として軽んじられてきた。しかし1000年以降は官僚側の助言にも比較的寛容になったと感じる。その変化は対天、対烈政策に表れているように見受けられる他、ベロガトーヴィチへの開発参与で瓦に対し切り返す政策は、かなり従来寄りの手法と感じる。ただだからといって、数百年にわたって積み重ねてきた安保体制、国際戦略が被ることになったダメージが、すぐさま回復するようなことはないだろう」

連盟政権が、国際外交の分野で上記のような推移を辿っているにも関わらず、労働党が支持を回復できていないのは何故か。
実のところ、これらの外交問題は国内に直接的影響を与えておらず、またこの間に実施された住処・就労・就学場所選択についての一部条件緩和など、連盟の国内向け政策は支持率の維持に一役買っている。完成された社会主義制度の中にあって、可能な限り自由領域を拡大しようという連盟の基本姿勢は、人民からの好感を得ており、対する労働党は、安保や外交政策以外でこれらに対抗する事ができていないのが実情だ。このような謂わば「人気取り」は、労働党にとって、これまでは必要のないものであったし、純粋社会主義の最保守勢力としても、苦手とする分野であろう。

労働党中央委員会が人事刷新を決断した事は、当初の予測を超えて、連盟に(結果として)政治指導力があったことへの焦りが反映されている。
とはいえ、国家と純粋社会主義創建の源として、唯一指導政党であった経験と自負に満ち、そして他のどの政治政党より巨大な労働党組織が、度々このような組織改革や人事を実行できることは、今なお驚嘆に値し、であるからこそ400年以上も分裂なく政権を維持し続けたのであろう。

労働党の人事刷新は、現在ヴィシリー・グリンカが務める最高職の書記長にはじまり、これを補佐する党最高幹部の責任書記クラス、また中央委員会内の各主要委員会(政務/経済/国防等)に及ぶ。
ヴィシリー書記長の後任としては、元外務官僚で駐烈大使経験もあるヴァシリーサ・ヴィウチェイスカヤ(Василиса Выучейская-Vasilisa Vyucheyskaya)が就任する。
また退任以後、党の要職からも退いていたエレーナ・ザラフィアンツが、責任書記の一人として復帰しており、ヴィウチェイスカヤを支えるものと見られる。

1013年1月に予定される人民議会選に臨む労働党。党内きっての外交通をトップに据えた新体制だが、公約は未発表であり、その性格は未知数だ。選挙を控え、ますます熱を帯びるであろう連盟との政策論争に期待したい。

【略歴】ヴァシリーサ・ヴィウチェイスカヤ
西行政区出身
外務省経済安保室事務次官
外務省経済燃料課長(工商計画省出向)
駐カルセドニー大使館公使(次席)
駐ヘルトジブリール大使館公使(次席/経済部長)
駐レゴリス全権大使
外務省退官
同年、ヴェールヌイ労働党人民議会代議員候補者公募に合格、入党、西行政区トップ当選
・人民議会
新興連帯特別委員会委員
国防委員会委員
工商委員会委員長 等
・ヴェールヌイ労働党
外交委員会委員長
自給経済推進部副部長 等


ブルースター紙 発行:フリューゲル暦 36571期1015年11月初旬
※報道内容は1012年10月時点のもの

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