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イルト中央処理委員長、シジト大統領を破る

924年12月25日付〈中央通信〉

 人民党が立法行政両府を支配することとなった。24日に行われた大統領選挙上院投票は人民党の支持するイルト・デマンドイド中央処理委員長が30票を獲得し当選、憲法上保証された2期目も含めて936年までの12年間にわたる大統領の椅子を手に入れることとなった。革新党シジト・カーネリアン大統領は世論の人民党支持の波に呑まれて15票にとどまり、ダブルスコアの完敗を喫した。現職大統領が大統領選挙で敗れて地位を失うのは現憲法下では初めて、共和国に大統領制が復活した862年憲法以来では876年にレテン・ウェストカーネリアン元大統領に敗れたキウィク・ムトロライト元大統領以来ほぼ半世紀ぶりとなる。
 一般投票では45.2%の得票で首位となったイルト中央処理委員長であるが、42.9%を確保して上院投票に進んだシジト大統領との上院での支持は拮抗しており、当初はシジト大統領が有利との声も聞こえていた。それにもかかわらず、ふたを開けてみればイルト中央処理委員長の圧勝という結果に結び付いたことには驚きの声も上がっている。長く一般投票で2位であった候補をひっくり返して大統領に指名することを繰り返してきた上院を「共和国の民主主義の障害」とみなす世論に対して上院が配慮したとの指摘もなされている。ただ、実際のところ革新党系の上院議員は一斉にシジト大統領に投票しており、「世論への配慮」が結果を動かしたというより前回シジト大統領を支持した連合党系の上院議員が今回はイルト中央処理委員長の支持に回ったことにより結果が逆転したという方が真実に近いだろう。
 イルト中央処理委員長は「先鋭化した革新党の外交政策を現実的なものに引き戻す」と上院投票の結果が報じられた直後に発表、外交政策の修正を最重要課題と位置づけ、FUN総会で成立した臨時選挙決議に関する態度を変更することも示唆した。

イルト新政権、人民党の思惑はどこへ

925年1月18日付〈中央通信〉

委員長氏名思想政党・期
中央処理委員長ケシス・サードオニクス委員会主義無派閥、新任
内務公安委員長ライア・ヘリオトロープ組合主義人民党系、新任
軍部委員長クルト・ムトロライト委員会主義人民党系、新任
動力委員長チリネ・アメシスト自由主義無派閥、新任
生産搬送配給委員長ヤーシ・トリディマイト中道派革新党系、新任
住環境委員長カシア・アメトリン組合主義革新党系、3期
研究設計委員長トレン・ブラッドストーン組合主義連合党系、3期
技術委員長ヒンド・サードオニクス国家社会主義革新党系、新任
外交委員長タイク・コーサイト中道派連合党系、4期

 イルト・デマントイド大統領の新政権が17日に明らかになった。シジト前大統領期から留任したのは3人で、タイク・コーサイト外交委員長がイルト大統領の外交政策と真っ向から対立するにもかかわらず留任を果たしたことが特に注目される。4期目となるタイク外交委員長は連合党系ながらFUN主義を支持し、シジト前大統領の外交政策を支えてきたことから、イルト大統領は交代を望んだが、外交委員会内の抵抗に屈したとみられている。
 新任の委員長は6人で、驚くほどの思想的多様性がみられる。「三大城塞」中未だ人民党の影響力の強い中央処理・内務公安委員会には人民党に比較的近い委員長が指名されたが、内務公安委員長はイルト大統領と人民党大統領候補の地位を争ったラシア・カーネリアン上院議員を外してライア・ヘリオトロープ上院議員が指名され、内務公安委員会の人民党の強い支持者による「引き締め」を目指していた人民党の思惑とは若干異なる事態を招いている。また、軍部委員長に指名されたクルト・ムトロライト上院議員は革新党系で、人民党とは是々非々の態度を取っていることから軍部委員会の「人民党離れ」の傾向に歯止めはかからなかった。他の各委員会にも革新党系や無派閥の上院議員が中心に委員長が指名され、「人民党による行政府の掌握」は部分的にしか達成されなかった。
 人民党左派からは「ラシア上院議員を候補にしていればこうはならなかった」と嘆き節が聞こえている。イルト大統領が上院で圧勝したことから、「ラシア上院議員が候補でも勝つことはできた」と人民党内の戦略ミスを指摘する声も上がっており、一見順風満帆に見える新生人民党政権も内部は決して盤石とはいえないようだ。

【国際】FUN総会、臨時選挙制度廃止に強い反対なしか。
【政治】連合党、党員の離党続く。支持層崩壊傾向。

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