【速報】ヤーカリ大公狙擊せらる
(ポリーナ15年-880年-1月、イヴァングラート通信社電)
ヤルルィーク君帝陛下の皇弟にして事実上の皇嗣であるヤーカリ大公殿下は18日、クミス湖畔におけるガトーヴィチ養殖業組合建国記念大会に行啓されたが、午後0時15分、祝辞を終えて御料車までお歩きになる最中、突如として狙撃され、肩を庇うようにしてその場に倒れられた。ヤーカリ大公殿下は直ちにクミス病院へ搬送されたが、現在も意識不明の重体である。コリツォー県警察は、ヤーカリ大公暗殺未遂事件特別捜査本部を設置し、本件が帝位継承問題を機に発足した「インターリ派」に所属する人間の犯行であると見て、調べを進めている。
大公狙擊 帝位繼承に影響
インビーリェヴァ為政院はポリーナ14年-879年-12月、宮内省に対して帝位継承順の方針を発表し、これによると、君帝陛下の弟で、既に帝位継承順位第一位の称号とされるイヴァングラート大公をお持ちであるヤーカリ大公殿下を第一位とし、君帝陛下の娘で、同じく帝位継承順位第一位と同等の称号とされるイヴァングラート大公女をお持ちであるアカーツィヤ大公女殿下を第二位(初の女性君帝)とする、漸進的な長子相続制への移行が定められていた。
しかし、帝国民の間では、直ちに長子相続制へ移行し、君帝陛下の姉で「帝国の大母」と称えられるインターリ大公女殿下を次期君帝に望む声が強く、一部の帝国民は「インターリ派」を結成し、大々的なロビー活動を行っていた。今回のヤーカリ大公殿下暗殺未遂事件は、ヤーカリ大公殿下を帝位継承者から下ろし、インターリ大公女殿下を戴こうとする「インターリ派過激派」が実行した可能性が考えられる。