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労働党、次回改憲後の解党を発表

874年12月7日付〈中央通信〉

 労働党は機関紙である〈赤光〉を通じて声明を発表、党内で合意した改憲方針、876年大統領選挙の党推薦候補のレテン・ウェストカーネリアン前中央処理委員長への決定と合わせて、改憲が成立したならば新憲法下で行われる共和国議会選挙までに労働党を解党することを発表した。旧連邦時代にルーツを持つ共産党をその前身とし、695年の党名変更以来で数えても2世紀近い歴史を持つ政党が、その歴史を閉じることになる。
 解党に至る経緯として、改憲方針の議論において、労働党が「党」としての一体性を有し続けてきたのは官僚機構を中心とする安定した経済体制と、国内の安定のための国際社会における平和と正義の実現という根本的な価値観を有していたためであったこと、その根本的な価値観を共有しない党派との妥協によって形成された現在の連邦共和国憲法に対する疑念を相互に認識していたことであることが特に<孤立主義派>と<国際主義派>によって了解されたことが指摘された。労働党単独改憲によりこれらの根本理念が真に実現された国家制度が成り立ったのであれば、もはや労働党という1つの政党が存続する必要性はなく、「根本理念」を基盤としたもとでそれぞれの主張を行うためには解党が望ましいとされた。
 ただ、この解党はすんなり決まったわけではなく、関係筋からの証言によれば、この過程には両派の激しい対立があったとされる。<孤立主義派>は自らを労働党の主流派と位置付けており、<国際主義派>が別方針を取るならば彼らが離党すべきであると当初は主張していた。しかし、前回大統領選挙で最終的に<国際主義派>候補が労働党から擁立されたことを踏まえると、<孤立主義派>の基盤は必ずしも盤石ではなかく、このため、<国際主義派>がレテン氏の推薦で一本化することに同意することと引き換えに改憲後の解党を承諾したとされる。

労働党改憲草案要綱

 労働党が発表した改憲草案によれば、共和国は連邦制を廃止し、委員会を中心とした「委員会社会主義」とでも呼ぶべき国家制度をさらに洗練させていくとしている。連邦制の廃止に関しては、国名は「カルセドニー社会主義共和国」へと変更され、州は地理的概念としてこそ存続するが、戸籍制度なども委員会に統合され政府機構としての役割は完全に失われるとされる。議会制度にも委員会社会主義の姿は明確化される。共和国議会は二院制を採用、下院は現在の共和国議会の委員会選挙区を引き継ぎ、自主管理連合組織代表委員による選挙が行われる。なお、地方選挙区が委員会選挙区と著しく異なる選挙結果を生み、大統領選挙にも影響を及ぼして共和国の864年以降の政治的混乱を招いたとの反省から地方選挙区は廃止される。
 また、大統領の選出について州を単位とした選挙人選挙の方式を取ったのは誤りであったとされ、国民の直接選挙で候補を2名に絞り、この2名から最終的な大統領を選出するための機関として、上院が設けられる。上院は条約の批准など立法機関としての機能も限定的に有するが、下院に明確に優越する権限があるのは大統領の選出に限られる。上院は各委員会の局長5名、計45名が議席を有し、直接選挙で絞られた2名から大統領の最終的な選出を行う。局長の任命権は各委員会の委員長にあることから、上院は事実上行政府の上位機関であると言え、行政府の長たる大統領の選出に主要な責任を負うことが適切であるとされた。
 議会と大統領の所属党派が異なることから対立が生じ政府機能の停滞を招いた862年憲法の反省から、大統領及び各委員長、上院議員は党派から独立し、自らの意志のみにより判断を行うこととされる。これにより立法府と行政府の分立は担保され、また一方で条約の締結から批准への流れは行政府から上院への流れを形成することにより、条約の締結を行う大統領と批准を行う上院の間の関係性も担保されるとしている。

イスタシア騒動について、外交委員会公式発表無し

  873年9月24日にイスタシア王国に対し烈天瓦路4ヶ国が非難声明を発表、鎖国政策の解除及び国際貿易体制への参入を求めた事件に対して外交委員会は現時点で何の反応も示していない。この無関心の背景には外交委員会内部の意思統一不足があるとみられる。労働党<国際主義派>の急進派からは「国際の正義」に照らして4ヶ国声明は全く適切とは言えない内政干渉行為であり、安全保障理事会の議場で4ヶ国に真意を問いただすべきといった声が上がる一方、労働党内の穏健派からは安保理理事国4ヶ国の参加する今回の声明に批判的な立場を取ることは共和国の国益を損ねるのみであるとの反論、連合党の一部からはWTCOの盟友たるガトーヴィチに歩調を合わせてイスタシアに対してより積極的な圧力を加えるべきであるとの意見も見られ、現時点に至っても外交委員会としての方針は決定していない。
 チシヤ・モスアゲート外交委員長は記者団に対して無言を貫き、本件については何も語ることはなかった。共和国が判断を示さないこの1年余りの間にイスタシア王国は開国とウラン鉱山の外資導入を表明したものの、その実際の手続は遅々として進んでおらず、レゴリス帝国の外相が「近日中に督促」と表明したと報じられるなど、次第にイスタシア騒動はきな臭い雰囲気になっているが、外交委員会がこの体たらくである限り共和国が何らかの反応を示すことはできないだろう。

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