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ウェールリズセ宇宙船が帰還、ウェールリズセ連邦を再結成ほか

【国際】ウェールリズセ宇宙船が帰還、ウェールリズセ連邦を再結成

 685年1月に宇宙へと移民したウェールリズセであるが、847年11月、フリューゲルの地に再び復帰し、ウェールリズセ連邦を建国した。共和国政府もこれを受けて旧ウェールリズセの継承国としての地位と国交の再開を承認、かつての関係が回復された。なお、セビーリャ地域に関する権限についてはウェールリズセ側のフリューゲル出発時点で放棄している権利に含まれているため、継承していないとのこと。
 かつて、7世紀にはENEC・PDECを率いてアルドラド=エルツ帝国やFuCoSTOといった陣営と対峙し、最終的には覇権的地位を獲得したウェールリズセであるが、末期には統治が混乱、宇宙移民プログラムを実施し宇宙へと旅立っていった。
 しかしながら、彼らの宇宙への入植はあまり奏功せず、今回のフリューゲルへの帰還に至ったものと思われる。
 このウェールリズセ連邦再結成に際しては、レゴリス帝国と安全保障条約を、烈加両国からの開発支援協定を結んでおり、とりわけ開発支援協定へのカルセドニーの参画は、かつてカルセドニーがウェールリズセと対立したFuCoSTOの一員であったと安全保障上協調する関係にあったことを考えると、新しい加ヱ関係をうかがわせる。
 現在のウェールリズセの政情は革新派の社会民主同盟と中道派のウェールリズセ・キリスト教社会同盟による連立政権であり、野党に国家ファシスト連合と人民社会党が存在する。現時点ではファシストは閣外におかれていることから、8世紀に反民族主義的傾向を強めたロムレー政界との交流も円滑に進むものと思われる。
 なお、ノイエクルス自由国領海内に落下した質量物について、ウェールリズセ宇宙船の一部であるという情報もあるが、詳細は不明。

(8/6:上記の記事について、内容に一部誤り(取り消し線部分)がありました。訂正し、おわびします。)

【国際】普蘭問題、普蘭合衆国の鎖国によって棚上げ

 ミルズ内戦中、ライン共和国が「反乱軍討伐」を行ったことでミルズ王党派に派遣されていた普蘭人軍事顧問団に死傷者が出たことを口実として普蘭がラインに宣戦布告(のち和平)したことをきっかけとして、カルセドニーを中心とする諸国と普蘭との外交的軋轢が深刻化している。カルセドニー労働党機関紙<赤光>とベルクマリ・タイムズ紙の間で宣戦の正当性に関する論戦が繰り広げられることと並行して、カルセドニー政府を中心とした諸国による対普貿易停止が行われ、その報復措置として普蘭側はこの貿易停止を行った国に対する断交・加普平和友好条約更新停止・平和原則委員会からの脱退など、外交的な対立が続いた。両国間では断続的に協議が持たれているが、互いの不信感を払拭することはできておらず、現在まで和解や合意には成功していない。
 一方、これをうけての共和国外交局の対応は極めて消極的であった。セニオリス併合危機が去って以来、烈加協調による国際的安定を希求してきた外交局は、先のカルセドニー選挙の連合党圧勝以降は烈加の対立の可能性については検討を重ねていたが、平和友好条約を結んでいる加普の対立についてはあまり念頭になく、むしろ烈加対立のリスクに対する緩衝材としての普蘭の役割に期待を持っていたため、加普対立に対する備えをあまり持っていなかったのである。一方、中央議会外交部会ではこの問題について激しい議論が交わされたが、「路普相互安保はどこまでの連携を要求しているか」「普蘭の外交的リスクをどう評価するべきか」「路普相互安保はどこまでの連携を要求しているか」「普蘭の外交的リスクをどう評価するべきか」という論点を巡ってカルヴァン主義共和派や自由思想派内部の足並みが揃わないなかで、サンディカリストやアナーキストが「併合危機で既に明らかになっているように、路烈普相互安保は外交問題に対する解決策なのではなく、むしろ路烈普相互安保こそがロムレーにとっての全ての外交問題の原因なのである。このような外交を指揮してきたカルヴァン主義共和派や自由思想派の責任は重い」として政府の無策を激しく非難し、中央議会外交部会は空転した。結局、レゴリスとの協議の結果「加普戦争になった場合は宣戦された側に立つ」「加普の協議を促す」という二点により、カルセドニー陣営と普蘭(ひいては共和国も含めたレゴリス陣営)との間の大戦を回避するスタンスで方向性が一致するまでの間、共和国は加普のアプローチに対し場当たり的に消極的な態度をとりつづけることとなった。
 最終的にはこの問題は普蘭が鎖国することで一時棚上げとなったが、今後の見通しは不透明であり、再開国後の情勢が懸念される。

【社説】ロムレー政体はもう200年持続できるか

 610年代後半に確立されたロムレー共和政は、その後200年にわたって存続し、政変も革命もない安定を維持してきた。現在までロムレー憲法は611年の建国の誓約の際に制定されたものが維持されており、政治を動かす党派の図式も630年以降大きな変化をみていない。
 しかし、先のセニオリス併合危機以来急速に台頭したサンディカリスト・アナーキスト諸派は、この長い安定を「欺瞞」「腐敗」「停滞」としか見ない。ジャンベールの理念は彼らにとって価値あるものではない。彼らにおいての正典(カノン)はレゴリス帝国の民主制や地球時代のジュネーヴやニューイングランドといった、読者諸氏にはおなじみの事柄(訳注:本記事はロムレー国内版の国際共通語訳記事であるため、国際版ではおなじみではないかもしれない)ではなく、カルセドニーのサンディカリスム・ヴェニスの無政府資本主義・地球時代のイベリアアナーキスト連合やマフノフシチナといった読者諸氏は名前は知っていてもその詳細に立ち入ったことがないようなところにある。彼らは大学や事務所の片隅でそれらに関して延々と議論を重ね、そこからロムレーが学ぶに値するものを導き出そうとしている。その試みの可能性についてはここでは検討しないが、間違いないのは彼らと議論を試みる平均的ロムレー人はきっと困惑することになるだろうということである。
 ロムレー史においては、レゴリスなどへの留学者が帰国し活動を開始するようになり、「ジャンベール党」と「ポワンクール党」という二つの党派対立が生まれた時を以て、「古き良き国制」は終わりを迎えたとされている。なぜこの時代がそれほど重要なのかといえば、それまで存在しなかった党派対立がこの時代に始まったからであり、現在までこの党派対立の図式に(コーデクス主義の政治的地位の確立やサンディカリスムの進展などの変化はありつつも)大きな変化がないからである。
 これを踏まえ、本紙としては近年の新しい状況を軽視する諸氏に注意を促したい。なるほど、彼らは我々の知らないことを知っているかもしれない。そしてその知見は共和国にとって有益であるかもしれない。しかし、彼らが今以上に力を持つようになれば、それは共和国そのものを破壊する危険をはらんでいるのではないだろうか。なぜなら、彼らが政権の座に就くということは、単にこの体制が書き換えられるというだけでなく、この体制に対してそもそも価値を見出さない勢力に共和国の主導権を与えることを意味するのであるのだから。

(その他ヘッドライン)
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【情報通信】解説 843年障害を受けて行われた国際通信規格の改良 新規格の技術的特徴とは?
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【国際】会期中のカルセドニー議会に隕石が直撃、議員の半数以上が不明に。共和国も物資支援等を実施。なお情勢は安定を維持。
【国際】ミルズ皇国、内戦に関して報告書を発表。「信用に足る」(統一日報/トルキー)との意見の一方でレゴリス外務省からは事実誤認に抗議も。

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