1228年5月19日付
【政治】第27回議会選挙・第26回大統領選挙実施 野党分裂の末ITP勝利
<イグナイト・タイムズ>

任期満了に伴う第27回議会選挙・第26回大統領選挙は1219年5月に実施された。
制度的超越党(ITP)公認の大統領候補の敗北を経て、ITP政権の是非そのものも問われた今選挙では、選挙前までにITPに対抗する野党勢力の有機的超越連合内部の路線対立が鮮明になった。背景にあるのはイーヴォ・アンチッチ大統領による、国連脱退デモへの解散命令に対する批判である。
解散命令に対しては、議会の過半を占めるITPにより即座に命令無効が決議された他、大統領の足元であるセニオリス自由党(ŠSL)からも「党の自由主義綱領に背く」として批判の声が上がる事態となった。政党連合「有機的超越連合」はこのように物議を醸す候補となった現職を避け、社会民主党(SDP)のヒルダ・ベキッチ氏を公認候補に決定した。しかしこの決定にŠSLは反発し、アンチッチ大統領と共にŠSLの立憲派からもヤコヴ・パヴロヴィッチ氏が立候補を強行し、中道系の候補者は大分裂の様相を呈した。独自の戦いを続けている中央党(SC)もゴラン・ミロシュ氏の擁立を発表したため、ITPに対する有力な野党候補は計4候補となる異例の状況になった。
他方ITPではこれまで党を主導してきた加速派ではなく、天使派のドゥブラフカ・ショラ外務長官が公認された。ノエシタの滅亡やトータエの政府機能停止等によるKPOの影響力低下を踏まえ、加速派の「親KPO路線」への疑念が高まったことが背景にあると見られ、外交・内政での安定択が望まれたことが公認に繋がったと見られている。
選挙戦は野党候補らが分裂の責任を巡り互いを非難する展開が目立ち、政策論争が深まらない状況が続いた。選挙戦終盤には党を離れ無所属として戦ったパヴロヴィッチ候補がようやく中道系の支持層を固めたが、超越系支持層を背景に盤石な戦いを繰り広げたITPのショラ候補には及ばず、結果として大統領選挙ではITPが勝利を掴むこととなった。
議会選挙でも野党は分裂の余波から苦戦を強いられ、巻き返しも及ばなかった。ITPは盤石な基盤を活かして20議席増の177議席を獲得した一方、SDPは12議席減の13議席、ŠSLは5議席減の10議席、SCは全議席を喪失する大敗を喫した。
野党勢力の分裂と大敗は、12年前に期待された政権交代という宿願を再び遠ざけた。ITPのある中堅は「”有機的超越”はその理念の誤りを自ら証明した」と冷ややかに語る。野党勢力にとって立て直しは必至であり、政界再編の噂もにわかに囁かれ始めている。
【政治】ミア・タイチェヴィチ首相が六期目に
<北方セニオリス新聞>
1219年5月、第27回議会は首班指名選挙を行い、次期首相に177票を得たミア・タイチェヴィチ首相を指名した。
イーヴォ・アンチッチ大統領は議会の指名に基づき、同氏を連邦の次期首相に任命した。
なお、同日行われた議長・副議長選挙では議長にマルコ・ヴーケリッチ前議長(制度的超越党)、副議長にはミラ・トゥジマン氏(制度的超越党)がそれぞれ選出された。
【政治】忍び寄る超越傍流の影? 第六次タイチェヴィチ政権を読み解く
<新セニオリス通信>
1219年5月選挙の結果はITPに対抗する野党にとって厳しい結果だった。1207年選挙における大統領選挙での勝利を足がかりに政権交代を実現するという夢はあっけなく打ち砕かれ、ITPの大きなアドバンテージは延長される形となった。
他方ITPの党内情勢を見ると、天使派からの大統領候補擁立など、党の主導権が次第に加速派から移行しつつある。勢力バランスでも加速派が影響力を落とす一方で色彩派を中心とした超越傍流が急拡大し、超越本流単体での議会過半数を打ち破った。なおも党では長期政権を経て「超越それ自体の看板」とさえ言われるほどになったミア・タイチェヴィチ首相の6期目に異論はなかったものの、政権運営には超越傍流への配慮が求められるものと予期され、その象徴たる長官人事にも注目が集まった。
以下に第六次タイチェヴィチ政権の顔ぶれを示す。
| 役職 | 名前 | 所属 | |
|---|---|---|---|
| 首相 | ミア・タイチェヴィチ | 制度的超越党(加速派) | |
| 外務長官 | マリナ・ウーシッチ | 制度的超越党(天使派) | |
| 防衛長官 | ブランコ・ブロズ | 制度的超越党(天使派) | 留任 |
| 法務長官 | アンドリア・モホロビチッチ | 制度的超越党(加速派) | 留任 |
| 財務長官 | ドナ・コヴァチェヴィッチ | 制度的超越党(天使派) | |
| 内務長官 | バーバラ・モホロビチッチ | 制度的超越党(至上派) | |
| 国土開発長官 | マクシム・ブラジェビッチ | 制度的超越党(天使派) | 留任 |
| 教育科学長官 | エレオノール・ヴィドヴィチ | 制度的超越党(至上派) | 留任 |
| 経済産業長官 | イバ・クラリツ | 制度的超越党(加速派) | |
| 資源・エネルギー長官 | ティホミル・オスモクロビッチ | 制度的超越党(色彩派) | |
| 運輸衛生長官 | ドナ・ポリャク | 制度的超越党(至上派) | |
| 農務環境長官 | エレナ・ウーシッチ | 制度的超越党(農本派) | |
| 労働長官 | サーニャ・レコ | 制度的超越党(加速派) | 留任 |
| 厚生長官 | エリーカ・クラリツ | 制度的超越党(加速派) | |
| 行政改革長官 | クリスタ・キタロヴィッチ | 制度的超越党(至上派) |
注目された超越傍流からの長官任命は計2名に留まったが、これまで一切顧みられることがなかった状況に比べれば前進したと言える。その他の人事でも加速派以外からの任命が目立ち、識者は党の勢力バランスの変化を如実に反映した人事として分析している。
色彩派のある重鎮は天使派の台頭について「我々は本来は超越本流に属していた」とし、「天使派による主導権奪取は、超越支持層の我々への転向に繋がる」と牽制している。加速派の影響力低下と合わせ、超越傍流の密かな台頭はITPにとって契機となると見られ、党内情勢の変動にも注目が集まっている。
【国際】瑠帝国、イスタシア地域に声明 約30年前「アイドル君主制」構想に言及
<ハルクステン・ポスト>
ルーンレシア帝国は1227年4月、イスタシア自由契約共同体に対する声明を発出し、「『アイドル君主制』と称される統治形態」について言及した。声明では「アイドル君主制」と称される統治形態について、「国家という共同体の根幹を冒涜する思想的犯罪に等しい」と断じ、「外交的・経済的、さらには軍事的なあらゆる手段をもって対処する用意がある」と宣言している。
宣言内容について、政界での反応は様々である。ITPの天使派の議員は、声明について「目立った進展のない段階で介入の用意を示した」と指摘し、「平和への意志を有しているのかの見極めが必要だ」と警戒感を隠さない。他方色彩派からは「一連の声明はルーンレシア帝国の国是としては当然の内容」と理解を示す声も上がったが、「コモンウェルスの方針や、イスタシア地域住民の利益とは合致しない」と冷静に見る向きもある。野党のSDPは「君主の権威性とは有害性とイコールだ」と強く反発し、同国について「帝国主義の拡大停止」を求めた。
亡命イスタシア人らも多く在留するハルクステン市街では、市民の受け止めは否定的な物が多い。ある市民は「イスタシア地域の至上命題はあくまで国家の再建、そして生活の再建だ」とし、「声明は地域の復興に資さず、むしろ有害ですらある」と反発。遠戚を頼り移住したという元イスタシア国籍の市民は「いつまで地域住民を置き去りにした議論を続ければ済むのか」と呆れ顔だ。
市街では騒動もあった。ルーンレシア声明を受けて「イスタシア主権協会」が”自主自立の政府再建”を求めて主催したデモでは、暴徒化した一部の市民が「声明撤回」を訴えルーンレシア帝国旗に着火し、付近の芝生に延焼するなど一時騒然となった。火は周囲の参加者らによりまもなく消し止められたが、この事件により付近の道路が封鎖され、2名が軽いやけどを負うなどの影響が生じた。警察は放火などの容疑で関連する3名を逮捕した。
デモを主催していたイスタシア主権協会は「放火に関わった人物は我々とは無関係だと確認された」としながらも、「平和的目的のため行ったデモで多大な迷惑をお掛けした」として謝罪のコメントを発表。負傷者や焼損箇所等についても「補償に全面的に協力する」とした。
イスタシア地域の再建が長期化する中で発せられた声明は、ハルクステンの街に複雑な感情を生じさせた。ある亡命イスタシア人は「我々の望みは故郷で安全に生きることだけ」と訴えるが、その願いが成就するまでにはまだ壁がありそうだ。
その他
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