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【社説】エントPLC委員長の「超越」を糾弾する

1161年5月16日付〈Advance! Victory Is Within Us〉紙

※本紙は、ガーネット州モリオン市に本部を置く自由主義系の報道機関の国際版です。住環境委員会は本紙の内容に何の責任も負いません。

 先月、エント・アベンチュリン生産搬送配給委員長は「超越的社会主義共和制」(注:リンク先はアンソロジー)と称する新たな政権構想を発表した。エントPLC委員長の主張は、自らの属する円環派が自由主義者を裏切り、委員会社会主義体制のに従属した過去をもみ消し、我々体制への抵抗者が持つ力をその権力欲を満たすために用いようとする許しがたい試みである。本誌は、ガーネット州内で根付きつつある自由主義への声を代表し、エントの「超越主義」がいかなる欺瞞を持ったものであるかを明らかにする。
 エントは「超越とは社会主義である」と言う。これは、自明に欺瞞である。超越の本家たるロシジュアは社会主義国家ではないし、セニオリス連邦における超越主義も本来は「資本主義と社会主義の間の対立からの超越」という立場から、セニオリス・クーデター後のセニオリス国内で生じた政治思想である。したがって、「超越」と「社会主義」を統合で結び付けようとする試みは諸外国における本来の「超越主義」の意味を否定し、社会主義に身を売った自分自身を「超越」という耳障りのいい立場に置くための方便に過ぎないのである。
 エントは「超越とは中道主義である」と言う。これは、彼ら自身が中道を名乗る資格がないという意味で欺瞞である。委員会社会主義者を自認するエントやその下の円環派が「中道」であるわけがない。10世紀ごろの共和国では「権威主義的な右派との協力を厭わない、自らの権力確保にのみ血道をあげる思想を持たな政治家」のことを「中道」と呼ぶ文化があったが、我々は、エントの掲げる「中道」がこれと似たような虚構であることを見抜かなければならない。委員会社会主義は明らかに我々が最終的に打ち倒さなければならない極左勢力であり、円環派は「南の風」の自由主義の同輩を裏切って体制に従属した瞬間からその一員となっているのである。「超越は中道」という言葉自体は諸外国の超越主義から拝借してきたものであろうが、彼ら委員会社会主義者にそれを名乗る資格はない。
 エントは「超越とは平等主義である」と言う。これも、エントの掲げる「平等」が我々の言う「平等」とは異なるという意味で欺瞞が隠されている。エントの属する円環派は、「すべての委員会の平等」という意味で「平等」を定義している。これは、委員会社会主義の枠組みの中での形式的平等に過ぎず、委員会が市民を虐げ、経済を統制し、国家を支配するという本質的な「不平等」の排除から目を背けさせようとしているのである。委員会の解体は、真の意味で「平等」な社会の実現には不可欠なのであり、彼ら委員会社会主義者は自らの権益のために「平等」という言葉を意図的にすり替えた意味で用いていることに気づかなければならない。
 エントは「超越とは地域主義である」と言う。本誌の読者の大多数はガーネット州の市民であろう。諸君は当州の特別な状況を無視し続け、社会主義の名の下にガーネット州が当然有するべき権利を抑え込み続けた委員会に対して怒りを抱いているだろう。エントの言葉は、そのような諸君には耳障りがよく聞こえるかもしれない。しかし、これも欺瞞なのである。円環派は「南の風」時代のガーネット州内の権益を部分的に今も維持しており、この権益を確保するための方便として「地域主義」を掲げているに過ぎない。我々自由主義者は、1020年に地下に潜って以来1世紀半に渡ってこのガーネット州内で戦いを続け、最終的な勝利を目前にしていたところだったのである。反社会主義評議会を掲げる勢力の団結のために一時的に我々は銃を置いているが、我々は彼ら委員会の手先をガーネット州から追い出すことを目指しているということを忘れてはならない。エントの唱える「地域主義」は、彼ら委員会主義者たちが我々の家であるガーネット州に土足で踏み込み、支配権を取り戻すために導入されようとしているのである。
 エントの「超越主義」は、「対立からの超克」という本来の超越主義の姿を忘れ、すべて委員会主義に身を売った円環派の利益のために描かれたでたらめな絵であるということを認識しなければならない。「超越主義」と称する欺瞞に身を売ることなく、委員会を打倒し、自由が統制に対して最終的な勝利を収めるために、我々は戦い続ける必要があるのである。

トータエ国内のKPO批判報道が配信停止に

 先日、「停滞するカルーガ条約機構とその行き先」と題した記事がトータエ国内の民間報道機関である新報オンラインに公表されたが、配信からほどなくして当該記事にはアクセスできなくなった(上記のリンク先は本紙が作成したアーカイブである)。また、当該記事の分析者であるペカレフ・ミカラ二コフ氏が「ヘリでの取材中の事故」によって死亡したことが報じられている。同記事がKPO諸国に対する舌鋒鋭い批判を展開していたことを考えれば、当該記事がトータエ政府にとって都合の悪いものであったことは疑いなく、誰しもが「根拠のない想像」をしてしまうところであろう。同国も、社会主義国家の例にもれず自由な報道が許されない状況にあるようである。
 さて、我々は委員会主義者たちの妨害を乗り越えて『自由な報道』を国際ニュースネットワークに掲載するところまで漕ぎつけたことを祝し、トータエ国内で封印の憂き目にあったKPO批判記事を論評する自由を行使することにしたい。まず、当該記事は「経済発展度が過去最低」であるという政府発表を根拠にトータエの経済状況が停滞していると結論付けている。この「経済発展度」がどのように計算されたものであるかは定かではないが、同国は人口1.2億人近くに達し、共和国に次いで世界第2位の経済大国の地位を占めていることは客観的事実である。これだけ大国になれば、成長スピードは当然鈍化するものであり、その一種避けがたい「鈍化」を問題だと認識しているという点ではどうやらトータエ政府と故ペカレフ氏は立場を同じくするようである。冷静に考えて、これは危険な傾向ではないだろうか。フリューゲルの国家数は近年約30ヶ国で安定しており、鉱産資源の供給量が大幅に伸びる見込みはない。この状況を考えれば、さらなる国家規模の拡大―商業国は、商業規模が10兆Va相当拡大するごとに、燃料の需要が2億ガロン増加するとされている―の帰結は1つ、すなわち全フリューゲル的な燃料不足である。カルセドニー、トータエ、レゴリスとフリューゲルの経済大国に商業国が3ヶ国並ぶ(すぐ後ろにはルーンレシアもいる)現在においてこれ以上の商業規模拡大は誰の利益にもならないだろう。トータエ政府が、あるいは政府に対する反対勢力が、国家規模の拡大こそが全てであるという立場を取っているのであれば、これは将来的な脅威としてフリューゲル経済の前に立ちはだかってくる可能性がある。
 ノエシタについて、故ペスコフ氏は課題が「資源不足」であるとしているようであるが、これは案外的を射ているかもしれない。同国は主産業である工業こそ順調に稼働しており、資金や商品の備蓄こそ潤沢にあるが、食料や燃料といった必須物資、建材や鋼鉄といった成長に必要な資材について慢性的な不足状態にある。ただ、これらの資源が不足する原因について故ペスコフ氏はKPOの内部での資源融通が不足していることと捉えているようであるが、本質的には商品という「換金性の低い」物資の生産に注力している(そして、資金というこれまた「換金性の低い」物資を得ている)ことにその原因があるともいえ、ノエシタはその意味でトータエの経済成長の踏み台になっていると言われても仕方がないのではないだろうか。
 ルクスマグナについて、故ペスコフ氏の指摘はほとんどが的確であるようだ(ただ、同氏はかつては「共和して合衆する」「無法地帯と化していない」ルクスマグナが存在したかのような認識をしている)。しかし、同氏はルクスマグナの輸出のほとんどがWTCO宛であることを批判している。正確に言えば銀は最終的にはすべてガトーヴィチに、燃料は我が国に輸送されているのであるが、同氏は例えばトータエの国家規模拡大のために必要な燃料をルクスマグナに供給させるために我が国への輸送を停止させたり、不足する鋼鉄供給をルクスマグナにおいて行うためにガトーヴィチへの銀供給を停止させたりすることが望ましいと考えているのかもしれない。KPOの「自給経済」を志向する故ペスコフ氏の論調全体に言えることであるが、同氏はあまりにもKPO域外国家に対する配慮を欠いているように見える。トータエ政府が故ペスコフ氏の主張を支持しないようであることは我々にとって安堵の材料であるが、トータエが経済拡張主義を採用する限りにおいて、将来的にこのような行動を採用する可能性があることには留意すべきであろう。
 レゲロのレストランではまともな飯が出てこない、らしい。筆者はレゲロのレストランに行ったことはないが、食料不足の原因は察することができる。直接的なきっかけは、セリティヌム連邦がレゲロ宛の食料輸送をハチミツ国に切り替えたことであるようだが、本質的な原因はKPO内部に農業国を欠いており、セビーリャの地盤沈下など域外農業国が食料輸出を拡大する余力が無いことであろう。フリューゲルの食料供給はかなりひっ迫しつつあり、共和国にとっても他人事ではない。故ペスコフ氏が指摘するように、本来農業に適性がある産業構造をしているルクスマグナが治安不安定化によって機能していないことは、KPOだけではなくフリューゲル全体の課題である。
 ルーンレシアについては故ペスコフ氏と我が国は懸念点を共有するようである。外交委員会は先ごろルーンレシアに対して大規模な銀援助を実施した(この援助には、ラ・フローリド国内に備蓄されている銀ストックが活用された。同国の新たなビジネスである「銀倉庫業」がフリューゲル経済に貢献していることの証左である)。これは、同国の銀不足がレゲロに波及し、共和国に対する商品供給に対して悪影響を与えていることに対処するものであるとされているが、故ペスコフ氏の指摘する同国の問題点はまさにこの「銀の過剰輸出」である。ルーンレシア政府は活動が低下傾向にあり、短期的な解決は期待できないかもしれない。最悪、フリューゲルはルーンレシアの現状を前提とした独自の対応策を検討しなければならない段階にある可能性がある。
 総じて、故ペスコフ氏はKPOの現状について我々から客観的に見た問題点とかなり近い見解を表しているようであるが、同氏が「トータエのさらなる大国化」「KPOのブロック化」といった、フリューゲル全体の経済という視点から見ればリスクになりかねない立ち位置を前提としていることについては割り引いて考えなければならないだろう。

【政治】動力・技術委員長の解任は非委員会社会主義勢力がその地位を確保しなければ何の意味もない。
【国際】ルクスマグナに「自主的な軍縮」を課すだけで満足した外交は失敗している。同国は一度軍の完全な解体まで追い込まなければ「無法地帯」のままであろう。
【社会】東ジャスパー地域の「アクアオーラ」「コスモオーラ」両市の酷いネーミングセンスは即刻改められるべき

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