1142年3月19日付〈中央通信〉
3月18日、社会主義評議会はラルク・カーネリアン動力委員長とケレロ・ツァボライト技術委員長が「職務の継続が不可能になった」ため辞職したことを明らかにした。委員長の交代は委員長自身が退任し、後任の当該委員会による指名が行われた後に発表されることが通例となっており、両委員会内に後任の指名に向けた動きが行われないまま、評議会の側から辞職が発表されることは異例である。評議会は辞職の理由について明らかにしていないが、住環境委員会のある高官は「両委員長と反体制派の間の繋がりを示唆するリークがあり、両委員長の後ろ盾になっていた台形派がかばい切れなくなったようだ」と匿名を条件に語った。両委員長は中央処理委員長の交代、前動力委員長の失脚などによって評議会内で勢力を伸ばしていた台形派に属しており、台形派の勢力伸長を良く思っていなかった体制内の他派閥の暗黙の了解のもと、同派の力を削ぐための陰謀が巡らされていたとする向きもある。
動力・技術委員長後任は派閥の地盤固め?
1143年11月5日付〈中央通信〉
昨年3月18日に前任者が辞職して以降空席となっていた動力・技術両委員長について、社会主義評議会は両委員会によるカイネ・モリオン新動力委員長とヤノン・アメシスト新技術委員長の指名をそれぞれ承認した。形式的には各委員会の指名という手続きを踏んでいるが、両委員長の指名は実質的にはユシン・トリディマイト中央処理委員長の意向によるものとみられている。新委員長の両名はともにユシン中央処理委員長の所属する正方派に属しており、2人以上の委員長が一斉に交代する際に後任がともに同一の派閥から指名されることは非常に異例である。現在の委員長9名のうち4人が正方派に属することとなり、正方派はこれで評議会内の最大勢力となった。
ユシン中央処理委員長がこの委員長の緊急交代を自派閥の利益のために「活用」することは予測されていたものの、2名の委員長の両方を自派閥で埋める選択肢を取ったことは政界でも予想の外にあったようで、特に委員長ポストの「棚ぼた」を期待していた円環派・角錐派系の委員からは不満の声が漏れ聞こえている。1130年代には中央処理委員長を擁して「主流派閥」の地位にあったにもかかわらず、いまやほとんど評議会内の意思決定から締め出されている円環派に属するある委員からは、「評議会は委員会社会主義者の相違に基づいた運営であるべきにも関わらず、今や正方派・台形派による実質的な権力の独占が図られている」とかなり強い口調での体制批判が飛び出した。
外交委員長、「経社理」設立の見送りを示唆
インクォ・アゲート外交委員長は4日に行われた記者会見で、共和国が現在FUN総会第30回通常会期に提出している、経済社会理事会の設立を目指した議案について、今回会期での決議案の提出の見送りを示唆した。同会期では現時点でトータエ社会主義人民共和国の代表による同国提出の議題の趣旨説明を除けば、セニオリス連邦、セリティヌム連邦、ロムレー湖畔共和国の代表しか発言しておらず、「経社理の設立によるFunの流通促進とフリューゲル全体を対象とした経済政策の実現」という共和国の提案した理念に対する国際的な支持が集まっているとは言えない状況にあり、これを受けて「撤退」を視野に入れた格好である。
インクォ外交委員長は経社理の理事国任期、投票プロセスについてのセニオリス連邦代表との意見の不一致について「それ自体が決議案の提出を見送るべきであると判断しつつある根拠というわけではない」と述べ、意見の不一致自体についても「十分な議論を経れば、最終的に合意点を見出すことも可能だろう」との見通しを示した。その一方で、経社理の設立を実現するための必要条件について「大規模な国際機関になる経社理の設立という議案は、ただ決議が採択されるだけではなく、幅広い国家がその理念を明示的に支持し、経社理の設立後にその活動にコミットすることが不可欠である」と説明、現時点で「経社理」というコンセプトがそれほどの支持を得られていないことを認める形となった。
なお、決議案の提出見送りは確定事項なのかという記者団の問いに対しては、「議題の提出以前から一部国家との間で協議は行っており、それらの国々をはじめとした各国から積極的な支持があれば決議案の提出を行うことも排除はしない」としたが、「実際にそのような支持が得られたとして、それを受けた後に具体的な制度設計を詰めることまでは難しいのではないか」と消極的な姿勢を強調した。既に通常会期は決議案の提出締め切りまで1年程度しか残っておらず、この時点から「挽回」することは難しいようだ。
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