1043年6月27日付
【政治】第11回大統領・議会選挙実施 超越同盟が大勝
<イグナイト・タイムズ>
議会・大統領の任期満了に伴う第11回選挙は1039年5月に実施された。
社会党の半数割れという結果となった第10回選挙より、各党は社会党の優勢を完全に覆すべく選挙戦に臨んだ。
大統領選挙は、現職のイワン・プロシネチキ大統領が3選禁止の規定に掛かるために出馬出来ないことから、新人同士の争いとなった。そうした選挙戦を前にして、野党の一部ではそれまでの協力関係を見直す流れも生じた。自由民主党では保守党との協力関係を巡って党内に緊張関係が生じていたが、党首選挙には「保守党との関係断絶」を掲げた共和派内でも左派に属する候補が勝利し、右派連合は不成立となった。また、これまでに共産党との選挙協力を行い大統領選に関与してきたサンディカリスト連盟においても、同党内で急速に勢力を伸ばしたアナルコ・サンディカリスム勢力が結党以来の国家サンディカリスム勢力を追放し、共産党との連携を否定したことで極左連合も不成立となった。
そうした折から、大統領選の構図は社会党より現職の後継候補を自認するドゥブラフカ・ロビッチ、超越同盟より「超越至上主義」を掲げるヒルダ・キタロヴィッチ、社会民主党から出馬し進歩自由党の推薦も取り付け中道左派を糾合するイーヴォ・ヴライサヴリェヴィッチ、自由民主党より自由主義を強調するグン・グレグリッチ、そして保守党より反共を掲げるミラ・メシッチの5名の争いとなった。
今回の選挙において、社会党は単独野党への復帰を目指し従来と同じ組織戦の構えに出た。ロビッチ候補は社会共和国の運営に自党が欠かせないことを強調したが、そうした手法はむしろ、主に中道左派によって主張されてきた「社会党は共和国を膠着させる政党である」との印象を強める結果となった。一方の中道左派についても、社会党候補との相違点を打ち出すことが出来ずに埋没。代わって注目を集めたのは、社会党への評価からはやや距離を置いていた超越同盟の候補者だった。
選挙戦が進むとともにヒルダ・キタロヴィッチの優勢は確固たるものとなっていき、それと共に議会選でも社会党が失速、超越同盟が優勢という構図が確定した。
そして最終的な選挙結果としては、大統領選は超越同盟のヒルダ・キタロヴィッチ候補が勝利し、議会選挙でも超越同盟は26議席増の72議席を得る大躍進を遂げた。社会党は今選挙で42議席を失う33議席という結果に終わり、長らく共和国の政情を象徴していた「社会党優勢体制」との言葉は完全に過去のものとなった。
新しい議会の構図は超越同盟が政権与党となることは確実と見られてるが、同党の議席は単独で過半を得るものとはなっていない。党幹部は「あらゆる等との連立の可能性を排除しない」とし交渉も粛々と進められているとした。しかし同党内には「超越至上主義」に基づいて他党との連立政権の有効性を疑問視する声があり、超越同盟による連立交渉の行方が注目されている。
【政治】ゾラン・シューケル氏が第4代首相に
<北方セニオリス新聞>
1039年5月、第11回議会は首班指名選挙を行い、新首相に72票を得たゾラン・シューケル氏を指名した。
ヒルダ・キタロヴィッチ大統領は議会の指名に基づき、同氏を共和国の次期首相に任命した。
なお、同日行われた議会・副議長選挙では議長にトミスラヴ・シカティッチ前副議長(超越同盟)、副議長にはセナ・コニュ氏(セニオリス社会党)がそれぞれ選出された。
【政治】超越同盟の少数与党政権へ シューケル政権を読み解く
<新セニオリス通信>
1039年の第11回選挙により、これまで48年にわたって政権を担い続けてきた社会党はついに下野し、代わって超越同盟が議会の第一党に躍り出た。
超越同盟の議席は過半に及ぶものではなかったが、同党は「超越至上主義」に基づいて他党との連立の道を選択せず、少数与党政権の発足を決定した。
以下にシューケル政権の顔ぶれを示す。
役職 | 名前 | 所属 | |
---|---|---|---|
首相 | ゾラン・シューケル | 超越同盟 | |
外務長官 | キャロリーナ・ファブリス | 超越同盟 | |
防衛長官 | ミルコ・ベキッチ | 超越同盟 | |
法務長官 | マリナ・レコ | 超越同盟 | |
財務長官 | エレオノール・ヴィドヴィチ | 超越同盟 | |
内務長官 | ヤドランカ・ブラシッチ | 超越同盟 | |
国土開発長官 | ミルコ・ミラノヴィッチ | 超越同盟 | |
教育科学長官 | マリン・アンチッチ | 超越同盟 | |
経済産業長官 | ヤコヴ・ヴィドヴィチ | 超越同盟 | |
資源・エネルギー長官 | ベルナルダ・ブロズ | 超越同盟 | |
運輸衛生長官 | マリン・ブラシッチ | 超越同盟 | |
農務環境長官 | エレオノール・フリードリーン | 超越同盟 | |
労働長官 | イーヴォ・ペルコビッチ | 超越同盟 | |
厚生長官 | サンドラ・クトゥラ | 超越同盟 | |
行政改革長官 | マーヤ・ミラノヴィッチ | 超越同盟 |
シューケル首相は政権発足とともに、「共和国の省庁機能は前時代的だ」と発言し話題を呼んだ。超越同盟が党是に掲げる超越理念について、首相は「行政機構の刷新は必須である」としその実現に意欲を示している。マーヤ・ミラノヴィッチ行政改革長官は「超越理念の実現について、他国の例を模倣しそれが実現されるとは全く考えていない」とし、「共和国にとって最適なやり方を模索する」としている。
しかしながら、少数与党での発足ということもあってか、この政権に対する政界の風当たりは決して良好とはいえないようだ。野党に転落した社会党は「彼らの言うところの”超越”は二項対立を乗り越える高尚な代物ではなく、その場ごとに聞こえのいい言葉を口にする単なる処世術と言うべきものだ」と激しく非難し、「彼らが真剣に国政に取り組むよう厳しく見つめる」と批判的だ。また中道政党においても、進歩自由党は「彼らは理念に固執するあまり、他者との調整能力を捨て去っている」と評価し、自由民主党も「彼らが何を考えているのか、どこまで協力できるのかが全くわからない」と懸念している。超越同盟側は「超越理念に向けて協力を得られるのであれば、いかなる政党の協力も受け付ける」としたが、社会民主党は「より具体性を伴った方策が提示される必要がある」と指摘している。
本政権は、連立の一角に過ぎなかったリンドロート政権を除くならば、共和国史上初の超越政権とも呼べるものである。しかしながらその門出は少数与党からの始まりであり、その実現にあたっては同盟が具体的な方策を提案できるかにかかっている。「超越至上主義」より誕生した政権は、その理念と現実の間を結びつけることが出来るのか。シューケル首相の手腕が問われている。
その他
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