990年5月29日付
【政治】半大統領制導入等の憲法改正が発効 議会権限強化が軸
<イグナイト・タイムズ>
第6回選挙以来議論されていた半大統領制の導入等の憲法改正は、989年11月に議会を通過し国民投票で過半の支持を得て成立した。投票率は68.5%、賛成は55.4%だった。
成立した改正憲法は、各省の長たる長官にて構成される「内閣」及びその首長たる「首相」職の設置、一部の大統領権限の首相への移管など、議会権限の強化が軸となっている。
改正に関わる議論は第6回選挙以来10年にわたり続いたが、ここにようやく決着することとなった。
本改正によって、共和国における行政府と立法府の関係は様変わりする。大統領は引き続き直接選挙により選出されるが、行政権の多くは議会が指名する首相が担うこととなる。行政各部の設置、大統領補佐団に代わる内閣の任免などは全て首相が担うこととなる。大統領による首相の任命、行政各部の設置は儀礼的な権限となる。
大統領に引き続き認められる専権事項としては、軍隊の指揮権、外交権、免責特権及び恩赦の付与、議会の解散、拒否権、大統領令の制定などがある。一方で維持された事項についてもそれぞれ議会優位の修正が見られる。議会の解散権は、従来の任期年次による制限から「首相に対する不信任決議が議会で可決された、またはそれに類する議決がなされた時」に変更された。また大統領令は、議会の過半による無効決議により失効するものと定められた。
また憲法改正についても、従来の「議会の過半による議決及び大統領の署名」に加え、議会の3分の2以上による議決のみによっても発議が出来るようになった。
この改正の議論では大統領と議会の権力バランスを巡って、議会で与党第一党の社会民主党と大統領与党の自由民主党が綱引きの様相を呈し、更に改正案を「与党間の政治的取引」と見なした議会比較第一党のセニオリス社会党の激しい反対運動もあって長期化していた。本改正が成立した背景について、政界関係者は「第7回選挙が991年に迫る中でのひとまずの手打ち」と話している。新首相には現副大統領のゴラン・リンドロート氏が指名されると見られているが、中道連立政権の主導権を巡る争いが選挙戦に波及することは不可避に見られる。
【政治】共和国初代首相にゴラン・リンドロート氏
<北方セニオリス新聞>
989年11月、第6回議会は改正憲法の規定に基づき首班指名選挙を行い、共和国の初代首相に114票を得た社会民主党のゴラン・リンドロート氏を指名した。
オリーヴィア・ヴラトコヴィチ大統領は議会の指名を受け、同氏を共和国の初代首相に任命した。
【政治】リンドロート首相、大統領補佐団人員を新内閣に引き継ぎへ
<新セニオリス通信>
ゴラン・リンドロート首相は、新内閣の人員について「ヴラトコヴィチ大統領による989年11月までの大統領補佐団の人員を全て引き継ぐ」と表明した。政権与党の4党は既に合意を行っていると見られ、これに伴いリンドロート内閣において任命される長官は14人となる見通しだ。
内閣の顔ぶれは以下の通り。
役職 | 名前 | 所属 | |
---|---|---|---|
首相 | ゴラン・リンドロート | 社会民主党 | |
外務長官 | ゴラン・バルン | 自由民主党(共和派) | 留任 |
防衛長官 | イヴァナ・マティアヴィッチ | 自由民主党(立憲派) | 留任 |
法務長官 | フラニョ・ガレシッチ | 進歩自由党 | 留任 |
財務長官 | イヴィッツァ・トゥジマン | 社会民主党 | 留任 |
内務長官 | カタリナ・マノリッチ | 自由民主党(自由派) | 留任 |
国土開発長官 | ミラ・グレグリッチ | 進歩自由党 | 留任 |
教育科学長官 | ペトラ・ミロシュ | 自由民主党(自由派) | 留任 |
経済産業長官 | イヴァナ・グルバッチ | 社会民主党 | 留任 |
資源・エネルギー長官 | イーヴォ・メシッチ | 自由民主党(共和派) | 留任 |
運輸衛生長官 | オリーヴィア・ミロシュ | 超越同盟 | 留任 |
農務環境長官 | ゴラン・ミロシュ | 進歩自由党 | 留任 |
労働長官 | グン・トピッチ | 社会民主党 | 留任 |
厚生長官 | ズラトコ・ヴラトコヴィチ | 社会民主党 | 留任 |
行政改革長官 | カタリナ・マテシャ | 超越同盟 | 留任 |
大統領補佐団から内閣の人員引き継ぎは大統領令第118号『副大統領による権限代行の承認』からの既定路線ではあったが、新たな人員の追加などを行わなかったことには次期選挙までの期間が僅かであることも影響した模様だ。
ヴラトコヴィチ大統領は「体制の改正から議会任期の終了までは僅かであり、解散を挟み込む余地はない」として既に解散権の不行使を明言している。選挙まで残り1年半の中、選挙戦はリンドロート内閣への評価というよりも、ヴラトコヴィチ大統領率いる中道連立政権への評価という意味合いを帯びそうだ。
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