971年11月24日付
【国際】国連安保理第31号決議が採択 「救国評議会」の下野求める
<イグナイト・タイムズ>
971年9月下旬、フリューゲル国際連合安全保障理事会は第31号決議を採択した。971年4月15日におけるクーデター及び移行の「救国評議会」による人権侵害を非難する内容であり、「救国評議会」に対し以下の要求を突きつけた。
- (a) セニオリス市民に対して行っているあらゆる暴力的な行為や人権侵害行為を即時停止すること
- (b) ミラ・イェリッチ大統領以下閣僚の身柄拘束を解除すること
- (c) ミラ・イェリッチ大統領以下閣僚を現職に復帰させること
- (d) セニオリス共和国憲法の停止宣言を撤回し、共和国憲法に定められた人民の権利を回復すること
- (e) 上記の条項が満たされていることを監視するため、また、民主的な選挙が行われることを担保するため、フリューゲル国際連合から派遣されることになる監視団を受け入れること
この決議に関わる議論にオブザーバーとして招致を受けたラヴォスラフ・アシュネル国連常駐代表は、「本決議はクーデターに対する国際社会の非難を表すものであり、『救国評議会』が真摯に受け止めることを願う」と語った。また「救国評議会」に対し、「共和国を代表する私から言うとすれば、早急に回答するのが望ましいだろう」とも付け加えた。
これに対し「救国評議会」は記者会見を開き、本決議に対する回答となる声明を発出した。以下に掲載する。
今般のフリューゲル安全保障理事会の決議は我が国の国益を盗み取ろうとする行いであり、強く抗議する。
我々は社会主義者により貶められるこの国家を窮地から救ったのみなのであり、アカ共の行いを全面的に肯定し我々のやむにやまれずの行動を否定するその態度は理解に苦しむ。
そもそもかかる決議は国連憲章が第1条第1項で定める「国際の平和及び安全を維持すること」、同第3項の「諸国間の友好関係を発展させること」並びに「世界平和を強化するために他の適当な措置をとること」、第2条第1項の「この機構は、その全ての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている」、同第2項の「国家主権は不可侵の権利であって、全ての国家はその尊重の義務を負う」との整合性が見て取らず、安全保障理事会が国連憲章を自ら貶める行動に出たことには開いた口が塞がらない。
「国際の平和及び安全を維持する」という目的の元で、なぜ社会主義の陰謀からこの国の安全を防衛した立場である我々を否認し、あまつさえ社会主義の立場を全肯定するのであろうか?一国の政権交代を一方的に罵り、前政権の再擁立までをも要求することは、「諸国間の友好関係を発展させること」に繋がるのであろうか?「世界平和を強化するために他の適当な措置をとること」とは、いずれの国との戦争状態に突入したわけでもない国家に一方的な干渉することなのだろうか?「この機構は、その全ての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている」のにも関わらず、なぜ我が国は国連大使の派遣という権利を一方的に否定されているのだろうか?「国家主権は不可侵の権利であって、全ての国家はその尊重の義務を負う」のにも関わらず、今般の安保理決議は我が国の主権に干渉し、あまつさえ思い通りの体制にすげ替えようとしているのである。
そして、安保理が完全なる悪意によって作成したのだろう”要求”に関しても意味不明な点がある。我々が「セニオリス市民に対して行っているあらゆる暴力的な行為や人権侵害行為」とは、一体何なのであろうか?我々は現在までに、社会主義者による暴挙に対し適切に警察権を行使しているのみに過ぎない。暴力や人権侵害に及ぶ行為は一切裁可しておらず、またそれらは軍規にも反するものである。このように市民に対するあらゆる暴力的行為や人権侵害行為など最初から行っていないのだから、この要求は最初から意味をなさないものである。もし社会主義者に対する我々の適切な警察権行使を「人権侵害行為」と一方的に認定しているのであれば、その停止という要求は到底受け入れられるものではない。当然にこれを拒絶する。
また安保理が要求2つ分にも渡って執着するイェリッチ他の旧政府幹部らには、我々の厳正なる捜査により、汚職や不正収入などの疑惑が次々に明らかと出ている。もし彼女らがあらゆる手を尽くし我が国の権威を貶めたのならばそれは到底許されるものではなく、我々としても捜査を徹底するのは当たり前のことだ。このような疑惑がかかる中での解放を一方的に求めるのみならず、あまつさえ復職させよとまで通告するとは、我々の理解の範疇を遥かに超える。かかる2つの要求は我が国の警察権、そして主権を冒涜する行いであり、全くもって受け入れられるものではない。
そして、我々は971年までのセニオリス共和国憲法について、社会主義者による国家に対する冒涜を許した不十分な憲法であったと指摘せざるを得ない。イェリッチ旧政府は、革命の企てによって国家や献身的な国民に対する最大の冒涜を試みた。このような冒涜を野放しにしていては国家は成り立たないのであるが、当時の憲法はそれに歯止めをかけるどころか、むしろ助長させる効果を成していたのである。かの如き不十分な憲法を停止することは我が国を想うのであれば当然のことなのであり、停止の撤回についても受け入れられない。かの憲法は国家と国民を十分に守るものではなく、そうした紙切れが記す「人民の権利」にいかなる価値があったというのだろうか。
最後には「上記の条項が満たされていることを監視するため」監視団を受け入れよと言うが、そもそも安保理の他の要求はあろうことか”旧政府を復職させよ”というものである。したがって安保理が言うところの監視団は旧政府を監視することを予定しているわけであるが、その時点で「上記の条項が満たされていること」は明白なはずであり、それ以上何を”監視”しようというだろうか。おおよそ、旧政府を通じ我が国の主権を脅かそうとする意思というのが真意なのであろう。この条項は我が国に対する露骨な内政干渉の意思を示していると見ざるを得ず、当然受け入れられるはずがない。
今般の5項目の”要求”は全て到底受け入れられるものではなく、我々は断としてこれを拒絶する。我が国はあらゆる主権侵害に反対する。
―――救国評議会議長 アンドリア・コソル
第31号決議における要求を拒絶したことで、共和国の国際的地位はますます混迷することが予想される。一部の専門家は「戦争勃発の可能性」をも指摘しており、共和国市民の新たな不安となっている。
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