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共和国憲法の停止が宣言 他

971年5月29日付

【社会】970年憲法、国民投票にて僅差で否決 大統領は修正に意欲

<新セニオリス通信>

議会・大統領が承認し発議された970年憲法は同年11月、国民投票において否決された。ミラ・イェリッチ大統領が大統領令第120号『970年憲法改正草案の発議』として署名したこの新憲法は大統領自身によって「社会主義の根幹理念の導入」が主眼であったが、否決により社会主義体制導入に待ったが掛かる形となった。

新憲法では財産権の弱体化と963年憲法にて盛り込まれたいわゆる”国有企業”条項の慣用化が主題となっていた。しかし国民投票にあたり、中小企業経営者らを中心に「経済崩壊」を懸念する声が上がり、反対の動きが急速に高まっていた。最終的な投票結果は賛成49.8%となり、過半の賛成を得られず970年憲法は発効に至らなかった。投票率は64.9%だった。

この結果を受け大統領は「我々の新憲法は現状を見据えきれていなかった」として謝罪し、「現状により即した形に修正する」と修正を表明した。併せて「967年選挙での民意を早急に実現させる」と任期中での社会主義体制導入を強調した。

一方で保守勢力はこの表明に反発を強めている。保守党のある幹部は「国民は社会主義にNOを突きつけた」と評価し、大統領に対し「潔く退場すべき」と主張した。大統領は「私の任期は979年までだ」と牽制したが、同党軍制派のある議員はこれに「社会主義の狂気を一刻も早く取り除かねばならない」とし、溝はますます深まっている。

この日開かれた大統領府前でのデモでは、複数の軍関係者が参加したと報じられた。軍はこれまで政治と無縁の存在と認識されており、異例の事態だと言える。ミレンコ・メシッチ防衛長官は「適切に対処する」としたが、ある軍関係者は週刊誌に「この国を守るための議論をして何が悪い」とコメントを寄せており、政府と軍にすれ違いが生じている。社会民主党左派のある議員は「シビリアン・コントロールが急速に失われている」と強い懸念を示しており、大統領の掲げた「平和裏の革命」は再挑戦を前にして余談を許さぬ状況となっている。

【政治】軍が大統領府・議会を占拠 共和国憲法の停止を宣言

<イグナイト・タイムズ>

アンドリア・コソル陸軍大将

971年4月15日、大統領府・議会に突如として軍部が突入し、またたく間に行政府、立法府を占拠した。ミラ・イェリッチ大統領を始めとした政府高官や多数の議会議員が拘束され、軍用車両で移送されたことが確認された。拘束は100名超に上り、現在はそれぞれ軍関連施設での収用や自宅軟禁の状態にあると見られる。

突入を指揮した少佐はその場で「社会主義の魔の手からこの国を解放した」と強調した。さらに「社会主義に汚された法秩序を払拭する」として「共和国憲法の停止」を宣言。915年7月の建国以来続いた憲法秩序はここに途絶えることとなった。

その後大統領府にはアンドリア・コソル陸軍大将ら軍の幹部が到着し、コソル大将は「共和国憲法の停止」を改めて宣言した。「行政府と立法府の機能は当面の間然るべき組織へと移管される」とし、「救国評議会(Nacionalna fronta spasa)」発足と事実上の軍政への意向を表明。また「共和国から社会主義の脅威が取り除かれるまでの当面の間」国家元首の役割を務めることも明らかにした。

ある軍幹部は「社会主義の排除という命題はあらゆる法的整合性よりも優先される」と語る。軍は残る人民戦線の関係者らについても拘束を目指すと報じられている。秩序が軍によって破壊された今、市民らは権力の脅威に晒された。数ヶ月前まで半ば冗談交じりであった「亡命」は一挙に現実的なものとして扱われ始めている。

【社会】ŠKS会長代理、ゼネスト突入を宣言 「クーデターに断固抗議」

<北方セニオリス新聞>

セニオリス労働総同盟(ŠKS)の会長代理は971年4月20日、クーデターの報を受けて緊急会合を開き、記者会見の代替として報道各社にメッセージを公開した。会合では「クーデターに対する抗議で満場一致の結論を得られた」とし、加盟する各組合に対し「無期限のゼネラル・ストライキ」に突入するよう呼びかけた。ŠKSは971年3月中に会長や事務局長など幹部らが軍部に拘束されており、臨時の代理体制に移行していた。
15日には共産党系のセニオリス労働組合評議会(VSŠ)もメッセージの形でゼネストへの突入を呼びかけた。VSŠは「強権に対する対抗には手段を選んでる暇はない」として抗争を呼びかけた。同じメッセージでは軍が情報提供を呼びかけるズヴォニミル・クラニチャール内務長官の姿もあり、秩序崩壊の予感を伺わせた。

各社が公開したメッセージを受けて、21日の市街は大混乱に陥った。首都イグナイトの鉄道・バスの各公共交通は完全なる麻痺状態になり、駅前には行き場を失った市民らがごった返した。また市街では「流通網も停止する」との噂が流布し、この日開いていた日用品店も大混雑となった。エンデルヴァルト県ではストライキ中の店舗の窓が割られ略奪されるという事件も発生し、セニオリス全土を混沌が襲っている。

この混乱を受けて「救国評議会」のアンドリア・コソル陸軍大将は「社会主義の暴徒を徹底的に取り締まる」と言明。またストライキについても「共和国経済を破壊しようとの反社会的意図は明確だ」として、参加者に対して「自らの経済的役割を思い出し、職責に今すぐ戻るよう求める」と警告した。
混乱やまぬ22日には「救国評議会」は「反資本主義活動防止法」と「経済正常化法」を公表した。「反資本主義活動防止法」ではゼネラル・ストライキ突入を呼びかけた2組織とその加盟組合は”直ちに遅滞なく”非合法となる旨宣言し、活動が確認された際には強制執行も辞さないとした。また「経済正常化法」では今般の経済混乱に乗じた暴動らの厳罰を定めた他、今回のゼネストに参加した企業や労働者らを「地域経済を破壊線とする反社会的思想の持ち主」と断じ、ストライキ権を”反社会的活動に利用される限り”停止するとした。

しかしこうした「救国評議会」の行動に、ストライキに参加する鉄道のある機関士は「何があろうと屈しない」と継続の意思を示した。労働者ネット1000の調査では、21日時点での参加組合のうち22日の表明で離脱した組合はわずか1%であるとされており、経済混乱の終わりは見通せない。クーデターに対する労働者の怒りは、「救国評議会」の想定を遥かに超えて高かったようだ。

その他

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