2010/06/18 3:38:09
==【特集】世界各国首都訪問記==
この訪問記は月刊ノイエクルスファクト誌に連載されたものを転載したものである。
本紙記者の勝手に諸国歴訪
11月グランネクサス
グランネクサスは陰鬱な都市だ。空港に着いた時点からそう思えて仕方なかった。
連邦なら何処であれ、都市の玄関たる空港はガラスで飾られた現代文明の宝石として尊重されているはずである。例えばノイエクルス本国のどんな地方都市であれ、駅や空港があれば明るい光が差し込むエメラルドグリーンのガラスが使われていてしかるべきである。玄関を綺麗に飾り立てることこそが国家の威光を示すにたる行為であり、また万難を排してでも近代国家が達成せねばならない課題である。
なお本紙記者はそのままノヴィルキウス行きの便に乗り同市を後にした。
12月プハントン
この企画を立てたとき、ブリュノールの地を踏むことになるとは思っても居なかった。
かの国に首都があるとはついぞ知らなかったし、本紙の支社が置かれていたかどうか誰も確認しなかったためである。
ともあれ空港に行ってみればプハントン便が運行されており、できればそのまま引き返したかった私の心情とは裏腹に飛行機に乗せられうるわしき祖国を後にする羽目になってしまった。
なおプハントンを訪れたい市民のために忠告しておくが、プハントン便とはいうものの、サン・マティアまでジェット機に乗りそこからブリュノールへはプロペラ機でブリュノール南部へとび、そこからバスと鉄道を乗り継ぐと到達するのがプハントンである。この時代にあっては貴重なプロペラ機に乗せてもらえるあたり、ブリュノールは実に懐が深い国だといえるだろう。
我が国の旅行代理店と空港は親切にもバスと鉄道のチケットも確保してくれるため、空港でプハントン行きを買えばブリュノール国鉄の堅い寝台車も同時に約束されるようになっている。またこの堅い寝台車はどうやら1等であり、かの国に特1等はないようなので寝袋を持参されるとより快適である。
さて、気を取り直してプハントン市である。意外なことにこの都市には近代都市に必要なものは全部そろっている。能率の悪い警察から頻繁に断水する水道、マナーの悪いタクシーまでそろっているとは思いもしなかった。
またブリュノールは物価が安いため、フィッシュアンドチップショップ(我が国最高の食べ物)の店員であっても、この国であれば王侯貴族が泊まるホテルに宿泊できる。
とはいえ水の悪い国や食べ物のまずい国もこの世界には多々あるが、ブリュノールのレストランはまずまずといったところだ。小麦や魚介類は新鮮なものがそろっており価格も安く、さすが連邦に食料を卸しているだけのことはあると感心させられる。
マーケットの活気もこの国の魅力に数えることができるだろう。ただしトマトは投げるためにあり、食べるためではないので注意が必要である。
全体としてみれば思っていたほど悪くもないし、直行便がない事を不思議に思う都市だが考えてみれば穀物は船でやってくるのであって、プハントンに空港便があっても需要は無いだろう。
秘境好きにはお勧めできないがこの夏安く、人が少ない土地でのバカンスを希望している市民にはなかなかお勧めの都市だ。ホテルが小さく予約は取りづらいがチップを惜しまなければ恐らく手のひらを返してくれることは私が請合おう。なお本紙取材時のチップは自腹である。