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自由主義・司法民主6議員、「統一戦線」を結成

1184年6月23日付〈中央通信〉

 22日、超越連盟の自由主義派・司法民主派に属する共和国議会議員6人は共同で記者会見を開き、超越連盟から離脱して「自由民主統一戦線」を結成することを発表した。エント・アベンチュリン生産搬送配給委員長に始まる「表裏一体派」に近いカルラ・クリソプレーズ共和国議会議員(外交委員会選出、五胞派)が超越連盟の議会代表に選出されて以降、角錐派が五胞派に合流することによって五胞派がさらに勢力を拡大したこともあり、超越連盟は五胞派による指導体制が固まっていた。この結果として同派とイデオロギー的な相違点の多い自由主義・司法民主派は連盟の意思決定から遠ざけられていたが、この軋轢が両者間の完全な決裂として現れた形である。
 記者会見に先立ち、司法民主派に属するフェリシアノ・オロスコ・サナブリア共和国議会議員(動力委員会選出)が自由民主統一戦線の代表に就任することが公表された。同議員はガーネット州出身のセビーリャ系議員であり、自由主義者の中で影響力を増しつつあるセビーリャ民族主義者やいわゆる「大ラテン主義者」―フリューゲルの「ラテン系」民族全体による大同団結を提唱し、ガーネット州を「セビーリャ系の地域」としてその団結に含めるべきとされる主張―に対する配慮と同時に、それらの勢力の歯止めとして機能することを期待されたものとみられている。サナブリア議員は記者会見で記者団に対して「我々はあくまでカルセドニー諸島全体の利益のために最善を尽くす」と明言したが、これはいわゆるガーネット州の「分離運動」から距離を置くことを強調する意図であることは明らかである。
 超越連盟よりもはるかに「非社会主義色」の強い自由民主統一戦線の成立に対しては既存のいずれの政治勢力も批判的な立場で臨んでいる。カーン・ジャスパー中央処理委員長(正方派)は記者団に対して「彼らは明らかに反社会主義勢力であり、同時に、そうではないように見せかけようとしているとしても、分離主義的な民族主義者である」と反感を隠さず、サンディカリスト連合タラン・コーサイト代表も「彼らの活動が我々労働者の利益になることはない」と断言した。6議員が超越連盟に属していたこともあって超越連盟の幹部は本件についての言及を避けたが、一部の議員からは「あれらが出て行ったことで我々はようやく”超越主義”を実践することができる」(円環派系議員)といった形での遠回しな嫌悪感を示している。

議会民主派、地域主義を放棄

 22日に議会民主派に属する共和国議会議員82人によって開催された議員総会は、議会民主派の究極的な目標から「地域に基づいた選挙制度」を削除し、「選挙権の下方への拡大」と「各委員会の議会に対する責任の担保」に修正することを決議した。議会民主派は長らく現在の「委員会に基づく選挙制度」を批判し、地域単位の選挙区から議員を選出すべきであるという立場を取っていたが、この方針を放棄したことになる。
 この修正が採用された背景には、地域単位の選挙区制度への要求が1135年憲法や社会主義評議会体制の定めてきた「反社会主義勢力」としての認定の最も本質的な理由であったことがある。議会民主派は1160年の選挙で大きく勢力を伸ばし、特に生産搬送配給委員会においては全議席の5割近い65議席を獲得しているが、この「反社会主義認定」のために委員会上層部へのアクセスを拒否されており、エント・アベンチュリン生産搬送配給委員長を支える「柱」の一本としての扱いに甘んじざるをえなかった。一方で、現在の支持層は社会主義体制の急速な解体よりも、「行政府であるところの委員会に対する議会の影響力確保」を支持する声が大きく、地域主義に自らの政治的影響力を損なってまで固執する理由が失われつつあったということが今回の決定の最大の要因となったようだ。また、サンディカリストが「反社会主義勢力」としての認定を解かれ、自由主義・司法民主両派が超越連盟の枠外に去った今、議会の7分の1近い勢力を持つ議会民主派が主要政治勢力で唯一現時点でも「反社会主義勢力」として認定されていることはかなりいびつな状況であり、これも今回の判断を後押しすることになった。
 議会民主派は今後社会主義評議会に対して「反社会主義勢力」としての認定を解除することを求める方針であると見られている。社会主義評議会内においても、議会民主派の属する超越連盟系の委員長4名に加え、正方派からもこの「解除」が現実的であるとして支持する動きがあると見られており、同派がサンディカリスト連合同様の「合法野党」としての立場を確保する見込みはかなり大きい。

角錐派、五胞派へ合流

1184年5月17日付〈中央通信〉

 16日、テジン・ムトロライト技術委員長以下、角錐派の主要組織全体が五胞派に合流したことが明らかになった。角錐派は超越連盟内の第4勢力であったが、先の超越連盟議会代表の選出で同派として推したトイン・デンドリティックアゲート共和国議会議員(技術委員会選出)が「表裏一体思想」を支持するカルラ・クリソプレーズ共和国議会議員(外交委員会選出)に敗れ、カルラ新議会代表が中央集権的な連盟運営を志向したことで影響力を失いつつあった。同派は一時は超越連盟からの離脱を決定したとまで報じられたが、テジン技術委員長をはじめとした主要ポストについて超越連盟の支持がなくては維持できないと判断したことにより、最終的には五胞派の軍門に下ることを決定したものとみられている。
 五胞派側の中ではテジン技術委員長やそれに近い複数の共和国議会議員を「排除」し、五胞派の政治的立ち位置―「強い」超越主義、大統領制の放棄、親KPO的な外交路線―を受け入れる素地のある議員だけを受け入れるべきであるという声があったようで、これについても検討が重ねられたが、最終的には技術委員長ポストを獲得することから得られる実利と、「不寛容さを示すことは望ましい態度ではない」(某五胞派共和国議員)という判断によって角錐派全体を受け入れることを決定したとされている。

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