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リブル核武装研究室の華麗なる日々(2)

「核兵器が見つかった」

 リブル国軍核兵器研究科長、藤村は、厳かに課員村山に言った。

「もしや、今朝ニュースで出ていた、セビーリャの地盤沈下ですか。核実験によるものとの見解が、うちからの情報として報道に出ておりましたが」

「うむ、吾輩がそう記者に話したからな」

 藤村は髭を撫でながら得意気である。

「どこからこの情報を」

「どこって、見ればそうに決まってるじゃないか」

「見ればそう、とは」

「そらそうよ、わかってるやんか、ええ?」

 雲行きが怪しい。

「村山よ、根拠をこれから探すのが我々の仕事じゃないか」

 根拠もなしに結論が湧き上がるのを捏造と呼ぶべきか、はたまた妄想かと村山が考えているのとは関係なしに、藤村は続ける。

「というわけで、今夜一席設けることとする。本作戦を、モテモテウテウテカテカテ作戦と呼称する」

「もてもて……で、ありますか」

「そうだ、我が国伝統のオモテナシだ。セビーリャの駐在武官も男だ。虚心坦懐に腹を割って話せば、きっと打ち明けてくれるハズだろう」

 夜、セビーリャ駐リブル武官の鼻先には、超ミニスカートからむき出しの尻と女性器があった。

「我が国の伝統料理、ノーパンしゃぶしゃぶです。どうかご遠慮なく」

「いや、困りますよ、こんなこと」

 セビーリャ武官が顔をしかめると、藤村はこの反応を予期していたようで、如才ない愛想笑いを浮かべる。

「いやなになに、どうか御心配なく、我が国ではコンプラなんてものは、衣をつけて揚げて食べるものですからな。なんなら、次の皿でお出ししましょうか」

「なるほど、そういうことでしたら……」

 セビーリャ武官も嫌いな方ではないので、すぐさま相好を崩し、ズボンのベルトをはずした。

 このあと、乱痴気騒ぎを演じたり、モテモテウテウテカテカテ作戦が失敗に終わったり、接待費が経費で落ちず、藤村の自ハラキリと相なったりしたが、あまりにも見苦しいので、詳細は省く。

 藤村が生きている間に核武装が実現した場合、実験場に選ばれる地が決まった事件として、ここに記録する。

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