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王国通信 民衆院議員選挙実施

2018/11/15 22:13:54

 民衆院議員選挙が行われ、与党保守党が第一党を保つも、愛国党が躍進し、共産党が初議席を獲得しました。
【簡単に分かる 民衆院議員選挙の仕組み】
 民衆院の議席数は300。うち250が小選挙区であり、各選挙区の有権者数がほとんど等しいように区割りされています。残りの50は半分ずつがトラハト地方と、ラシュハ地方に割り当てられています。各政党の得票数に応じ、比例方式で分配されます。比例名簿は拘束名簿方式で、小選挙区との重複立候補も認められています。

【選挙の争点1 貿易協定】
 今回の選挙の大きな争点の一つはヘルトジブリール社会主義共和国との長期にわたる貿易協定でした。
 各政党のこの問題に対する姿勢は二分しましたが、既成の有力政党が総じて賛成に回りました。協定を結んだ当事者である保守党が賛成なのはもちろん、自由貿易を謳う自由党は強く賛成しています。また、工業地帯ではないラシュハ地方の地域政党であるラシュハの声も条約に賛成の立場を取ります。
 一方で強く反発したのが愛国党でした。党首のブランク・トット議員はこう演説し、同党への支持を訴えました。
「貴重な銀がヘルトジブリールに流出し、雇用が失われる。そんな馬鹿な条約を結ぶ政府はヘルトジブリールの犬だ。それにヘルトジブリールは共産国家だ。共産主義者は嘘つきで危険だ。国を守れるのは愛国党だけだ」
 また共産党も国内の雇用を守るためとして反対の立場です。

【選挙の争点2 軍事政策】
 貿易問題と並ぶ争点が軍事政策を巡る政策の違いでした。キンスキー政権は怪獣撃退実験や軍事衛星の打ち上げを目指していました。この政策を軍事費抑制を唱える自由党、建国初期に軍によって弾圧された歴史から軍の権力増大を嫌うラシュハの声、共産党が批判しました。一方で愛国党はこれを支持し、さらなる軍事費増大を訴えました。
 また自由党の一部の議員と、共産党は動物の権利の観点からも怪獣撃退実験を激しく非難しています。

【選挙結果】
 確定した選挙結果は以下のとおりです。鍵括弧内は選挙前議席です。
保守党   106(152)
自由党    98(102)
愛国党    60 (11) 
ラシュハの声 27(26)
共産党    1 (0)
無所属 8(9)
 愛国党が躍進し、保守党は単独過半数を割りました。さらに伝統的に二大政党と連立を組むことで存在感を発揮して来たラシュハの声を足しても、二大政党のいずれも過半数を確保できないという異常事態に陥りました。
 愛国党の躍進は工業地帯である南部が中心であり、それだけ貿易協定への同地域有権者の反発が強かったことを示しています。

なお貴族院の勢力図は以下のとおりです。
保守党    110
自由党    66
ラシュハの声 52
愛国党    10
無所属    62 

【選挙後の政治情勢】
 連立交渉は難航を極めました。保守党と自由党は長年対立関係にあった上に、第三党の愛国党は保守党と自由党を激しく非難しているからです。結局、貴族院副議長の斡旋もあり、保守・自由の大連立政権が発足しました。これは王国史上はじめてのことです。なおキンスキー首相は、選挙結果の責任をとって辞任するという観測に反し、続投を表明しました。
 数の上では両院で圧倒的勢力を確保した連立政権ですが、長年の対立が解消されているとは言えず、しかも選挙では敵対した関係です。今後の政治情勢は混乱が予想されます。

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