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【記者会見】スポットライトがスポッティングするということ イスタシア「守護者」案起草者記者会見

【記者会見】スポットライトがスポッティングするということ オノレ・ジュスタン・ロラン・ロル教授(イスタシア「守護者」案起草者)記者会見

 ロムレー政府は独立への移行期間の間、様々な手続きの複雑さのためにイスタシアから一時帰国するよう勧告し、帰国用のチャーター便を設定した。
 この便で貴国した一人であるオノレ・ジュスタン・ロラン・ロル教授は、自らがイスタシア住民投票における「守護者」案の起草者であると明かし、記者会見を開いた。

私はいわゆる「守護者」案の起草者の一人です。私がすべて書いたわけではありませんが、骨子を起こしたのは私です。
歴史的責任として、また、イスタシアの今後のために、このような場を設けることといたしました。
ご批判も多くあるかと思われますが、率直なご質問をいただけますと幸いです。

質疑応答

――なぜ守護者案を書いたのですか?(ラ・ヴォワ・デュ・プープル紙記者)

もともと、イスタシア住民、ノイエクルス本国、外国人―たとえば君主主義者など―が望むものが、すべて食い違っており、提示された多くの案は近い未来においてイスタシアに危機をもたらしうるものでした。私は、それらをすべて満たすものは充分存在することを明らかにし、その範囲を確定するという方向で議論を進めることを目指してペンを取りました。ですから、あの案が完成形として住民投票にかけられるのであれば、少なくとも一つ以上、同じような形式をとった案との競合のなかにあるべきでした。問題は、この案は問いにすぎず、出発点にすぎないものであったにも関わらず、答えだと思われてしまったことです。そして、ほかの案は、むしろ、制約条件のどれが重要でどれが重要ではないか、というモードの答え方であり、それが議論されました。

――無政府案について否定的な意見をお持ちですか?(フリー記者)

あの案は、ノイエクルス直轄領民の素朴な希望を具体化することで、ノイエクルス本国や外国の懸念をすべてすり抜けるという構造をとっていました。その技巧は、住民投票管理委員会はあの案について特に意見を付せず申請を受理したことに明らかです。私が思うに、技巧的でありながら素朴であるというのは、やはり技巧です。

――無政府案の起草者にもロムレー人がいたと言われているが、知っていますか?(トリビューン紙記者)

…名前は伏せておきますが、私は彼とは何度か面識はあります。イスタシアを去る直前に一度会う機会がありましたが、そこで彼は自分が無政府案を書いた、イスタシア自由契約共同体に帰化することにした、イスタシア国籍の取得と同時にロムレー国籍の放棄を届け出て受理された…と言っていました。

――住民投票期間に無政府案の起草者とやりとりはあったのですか?(トリビューン紙記者)

少なくとも、住民投票期間中、私と彼の間に交流はありませんでした。
私は最後に会うときまで彼が無政府案を書いたとは思いもよりませんでした。
そして、おそらく彼は私が守護者案を書いたことを今も知らないはずです。

――イスタシアの今後はどうなると思われますか?(フリー記者)

かつて見上げた舞台に、イスタシアのすべての人が上り、スポットライトを受けて輝き、高揚感の中にいる。それこそが今です。しかし、舞台から家に帰ろうとしたとき、観客席に照明は灯っていない、つまり帰る道はもはや闇に閉ざされていることにやがて気付くでしょう。それは、独立よりも大きな問いです。

――無政府イスタシアについて、悲観的な評価をされているのですか?(同フリー記者)

いえ。それを「無政府イスタシア」と呼んではなりません。イスタシア「自由」「契約」「共同体」の三語が、イスタシア人民によって正しく理解されればよいだけなのです。本当に、それだけのはずです。

オノレ・ジュスタン・ロラン・ロル
 アンゼロット記念大学で水中考古学を修め博士。しばらくはアンゼロット記念大学で研究員を務めていたが、ノイエクルス統治が再開されたことを契機にイスタシアに渡り、かつてイスタシアに烈天路ノ四ヶ国艦隊が派遣されていた時期のブイなどを調査し研究成果をあげる。イスタシアでは珍しい外国人考古学者であることから陸上の歴史考古学にも従事し、その後正式にノイエクルス直轄領内の大学から教授として招聘され、独立までイスタシア考古学会の一員として活動。
 独立直前、友人のイスタシア人学者と独立後について語るうちに、「各人・各国が独立後のイスタシアに求めているものをすべて満たす案は実現可能か?」と聞かれ、「守護者」案の原案を執筆。彼自身はこれを案として住民投票に提出するつもりは実際のところなかったが、イスタシア君主制連合の案が報じられたときにその内容に激昂した同僚たちが考古学会の名義で提出してしまった。
 住民投票でイスタシア自由契約共同体が掲げた無政府案が勝利する結果を見届けた後、大学が民営化され雇い止めとなったためロムレーに帰国。

【インタヴュー再録】古典古代の残照のなかで コルネリア芹執政官インタヴュー

イスタシア住民投票で一段と目を引いた、奇抜な「ローマ帝国案」、ラディカルな「ラテン主義共和派」の提唱…。
古代ローマのモチーフが濫用されるなか、最も古典古代に関して理解の深い、ある国から学べることはないだろうか。
本号では、1142年に実施され、国内版で出されたものの国際版には掲載されなかったユリア・アンティキア・コルネリア芹国執政官のインタヴューを国際共通語訳してお届けする。

――本日はインタヴューの機会をありがとうございます。早速ですが、インタヴューを始めさせていただければと思います。
  まず、セリティヌムは、ようやく、宿願ともいえる一般理事国への就任を果たしました(注:このインタヴューはセリティヌム一般理事国就任直後に実施された)。この支持層として芹瀬天加が推薦国となっていますが、このような突然の国際政治の変動をどのように見ていらっしゃいますか。

980年代に一般理事国を目指しながらも叶わなかった経緯がありますが、今回我が国が一般理事国に就任したことは、中立政策の評価と国際社会における責任を果たす意志が認められた結果だと考えております。
ただ、国連加盟国の減少やその他の国際情勢の影響によるところも大きいでしょうか。
推薦国である瀬・天・加から期待されている役割としては、一般理事国に相応しいイニシアチブを発揮し、国際社会に貢献することでしょうし、それが出来る国と評価していただいてるものと受け止めております。

――なるほど。実際、理事国に就任してまだそれほど時間が経っていないながらも、すでにセリティヌムは一般理事国として積極的に活動されている印象です。
  理事国として、安保理でのセリティヌムが果たすべき役割、そして安保理そのものがフリューゲルにおいて果たすべき役割をどのようにお考えでしょうか。

 理事国としてのセリティヌム連邦の責務は、まずもって国連体制と国連憲章の原則を尊重・擁護し、国際社会が直面するあらゆる課題に粛々と対応していくことであると認識しております。さらに、本邦は理事国としては比較的珍しい“非陣営的”な立場から活動しているとご評価をいただいている、と認識しており、その意味において、特定の国や陣営に過度に偏ることのないバランスの取れた見解が求められているとも考えております。私どもとしては常に中立的・客観的な観点から意見を申し上げ、安保理における議論がより豊かで多面的なものとなるよう尽力できればと願っております。 また、国連安保理がフリューゲルにおいて果たすべき役割については、やはり長年にわたって国連が維持・発展させてきた世界的な平和と安全保障を、今後もいかに確かなものとして継承・強化していくかが第一の要務であると存じます。一方で、人口減少や国家の崩壊といった深刻な事象をはじめ、多様化する国際社会の課題に対し、国連としていかなる対応を取るべきか、そして現代において現行の国連制度が最適かどうか――こうした問題意識は国際舞台でますます大きくなっているとも受け止めております。
 こうした複雑化する情勢下で、国連安保理が迅速かつ柔軟に議論を主導し、必要な改革を含めた方策を模索し続ける姿勢こそが、いま求められているといえるでしょう。国連憲章の精神に立脚しつつも、世界情勢の変化に合わせた制度や運用の見直しを促進し、国際社会全体が協力して問題解決に臨める環境を整備することが不可欠です。本邦としては、理事国としての職責を果たす中で、こうした改革や問題解決のプロセスに積極的に関与し、平和と安定を守るための知恵や知見を提供する所存です。 私どもが理事国として最も重視しておりますのは、決して特定の立場や利害にとらわれることなく、多くの国々にとって納得感のある合意点を模索し続ける姿勢です。そうした立場からこそ、安保理の議論に新たな視点を加えられる可能性があると考えています。今後も中立性を大切にしつつ、国連の理念を堅持しながら、国際社会の諸問題に貢献してまいりたいと存じます。

――国際関係という点では、セリティヌムは先日相次いでレゴリスおよびカルセドニーとの平和友好条約、事実上の不可侵条約を締結しました。これらの外交関係は今後どのような展望を迎えるでしょうか。

カルセドニー社会主義共和国やレゴリスとの平和友好条約は、両国関係の重要な転換点となりました。ナータリス政権の外交政策を評価し、継承するとともに、両国との友好関係を基盤に、国際友好と平和に尽力していきます。
今後の両国との交流や国際情勢により展望は変わりますが、平和友好条約は始まりであり、終わりではありません。これからも関係を発展させるための努力を続けていく所存です。

――路芹関係についてもみていきたいですが、長らく学術協定によって相互に大いに留学生等の相互交流がありました。ロムレーの同盟国である烈加との関係もありますが、今後の路芹関係についてどのようにお考えでしょうか。

カルセドニー社会主義共和国、レゴリス帝国の同盟国であることもそうですが、そうでなくとも、学術協定を通じて長期にわたって相互に交流してきたロムレー湖畔共和国との関係も深化させることは重要であると考えております。
私の責務は、セリティヌムのことをよりよく知っていただき、平和・友好関係を築くに値する相手なのかどうかを知っていただくことであると考えておりますし、
民間レベルでは十分な交流があるわけですから、これからは政府間の仕事となるでしょう。粘り強く取り組む所存です。

――そのように他国との関係深化を進める一方、脱退以来冷淡な関係にあるとされる貴国とのベルクマリ陣営との関係について、改善の見通しは立つでしょうか。

BCATとの関係が冷淡であるとは考えていません。もちろん、歴史的事実として、私たちはBCATから脱退し、BCATは私たちを除名した。そうした事実があることは確かです。
しかしBCAT加盟国との国交が途絶えたわけではありませんし、少なくとも個別の国との外交関係は平常にあります。厳しい冬の後には、やがて春が訪れます。長い雨の後には晴天が、そして夜は必ず明けるものです。
今必要なのは関係を途絶えさせないことで、あとは自然と時の流れが問題を解決することもあるでしょう。セリティヌムが一般理事国である限り、BCATとの協力は避けられません。
協力が必要な時には自然と協力関係が築けると信じています。

――では、カルーガ陣営はどうでしょうか。対ベルクマリ関係以上に改善には多くの課題があると考えられる一方で、今後の発展の可能性も大きいと考えられます。こちらについても貴国との関係はどのような展望となるでしょうか。

カルーガ諸国との関係も私は悲観的ではありません。レゲロ社会主義人民共和国は我が国にとって重要な貿易パートナーでもあります。
ただし、ルクスマグナ共和合衆皇国との関係は歴史的経緯からやや複雑ですし、同じ国連加盟国ですから協力の余地は否定しませんが、まずはルクスマグナ政府が芹光共同宣言を遵守する姿勢を見せるところではないでしょうか。
申し上げられることは多くありませんが、ルクスマグナ政府の姿勢とは無関係に、他のカルーガ諸国とは今後も持続可能な形での協力の可能性を探ってまいります。

――外交に関しては、お聞きしたいところは概ねご回答いただけたかと思いますので、国内に話を移したいと思います。復刻派といえば古典教養と文化復興ですが、テクノクラートとして、古典文化の役割をどのように評価されていますか。

古典文化は、我々の社会の根底に流れる知恵と価値観を象徴するものであり、それを再発見し、再評価することは、現代の問題に対する洞察と解決策を見出すための重要な鍵となります。私がテクノクラートとしての立場から申し上げたいのは、古典文化と現代技術の融合は、未来を切り拓く上で最適なアプローチであるということです。
古典の教養は、人間の本質や倫理観を深く理解する手助けをしてくれます。それに対して、現代の技術は、我々が直面する具体的な課題に対する実践的な解決策を提供します。
両者が協力し合うことで、私たち人類は、より豊かで持続可能な社会を築くことができるはずだ、と私は考えております。古典文化は、単なる過去の遺産ではなく、現代においても生き続ける知識の源泉です。
古典を継承し、次世代に伝えていくことは、我々の責務であると同時に、大いなる喜びでもあります。
したがって、私は古典教養と文化復興の取り組みを持続可能な形で支持し、現代の技術と結びつけることで、セリティヌム連邦、そしてフリューゲル全体の未来をより明るいものにしていきたいと考えております。

――古典復興の話がありましたが、議会統治の立憲政体、つまり地球史における古典的近代(訳注:PLが普通に言う意味での「近代」、フランス革命後の、19世紀あたりを中心としたヨーロッパ的近代)の政治理念は、あくまでも我々とセリティヌムの間でも共有されているものと思います。これらは古典古代にはなかったものですが、セリティヌム政体における古典復興が、これらを破棄するものではないであろうことは言うまでもありません。これらの点において、セリティヌム政体の向かうべき点をどのように構想されているでしょうか。

 古典復興の文脈においても、我々は近代立憲政体の基本的な理念を尊重しています。古典古代の知恵を現代に生かすことは、決して過去の遺物を単に再現することではなく、その中に潜む普遍的な価値や教訓を現代社会の問題解決に応用することこそが本質的な価値です。
 古代ギリシアの民主主義やローマの共和制の精神を基盤に近代民主主義は発展してきたといっても過言ではありません。すなわち市民の参加と法の支配を基盤としつつ、これを時代ごとに適応させてきた訳です。最適者生存という言葉がございますが、我々が目指すべき方向性は、単なる古典の復刻ではなく、古典の価値を保護しつつ、その時代ごとに最適な制度を構築していくことです。
 立憲主義と議会主義の原則は、決して過去のものではなく、むしろ時代とともに進化するものとして捉えていますし、これからも進化を続けるでしょう。 従って私の任期中に目指すべき方向は、三つの点に集約されます。すなわち、市民参加の拡充と、法の支配の強化、倫理と公共の福祉の追求です。
 市民参加の拡充という点では、古典的な市民の義務と権利を現代において再構築し、すべての市民が政治に関与しやすい環境を整備していくことは、ナータリス政権下において試みられてきたことです。執政官を市民が直接選出する直接民主主義の要素と、連邦議会議員を選出する代議制民主主義のバランスを取りつつ、民主主義の深化が図られました。我々はこの仕事を引き継ぎ、より市民の声を反映しやすい制度を構築することが必要であると考えております。
 また、法の支配の強化という点では、古代ローマの法や地球時代の法の理念を現代の法治国家として再解釈し、取り入れるべき点は取り入れていくことが必要です。これは国内法・国際法を問いません。フリューゲルへの旅で我々が失ってしまった法はいくつもあります。これを必要に応じて復刻することは重要なことですし、我々の仕事の一つでもあります。
 そして、最も重要な点ですが、我々復刻派は古典古代の倫理観、特にアリストテレスの「正義」の概念やプラトンの「善」の探求の価値観をベースに、セリティヌム社会の福祉と倫理の向上を目指してきました。後述しますが、公共の利益を重視しつつ、市民の権利の保護と生活の質を高める政策を推進してまいります。
 これらを実現するためには、古典文化の知恵と現代的な技術・制度を融合させることが不可欠ですし、その過程で生まれる新たな挑戦に対しても柔軟かつ前向きな姿勢で臨んでいく所存です。

――福祉の改善は、現在のセリティヌムにおいて広く支持されている理念であるものと思います。実態としても、セリティヌムの社会福祉制度は、私がこのインタヴューに臨むにあたって調べた限り、先進国の平均的な水準にあるように見受けられました。
  ”Salus populi sprema lex”、生存の保障を求める個々の市民の願いはささやかで、尊重されるべきものではありましょう。
  しかし古典古代において、それはパトロヌスとクリエンテスの関係に帰着し、長い目では腐敗を生み、最終的には帝政、すなわち一君万民に到達しました。
  あるいは、その保障は、法的形式よりもある種「国家の健康と公益」の問題を重視する傾向、「警察国家」とも結びつくリスクもあるでしょう。
  セリティヌム政体は、その市民の福利をどのようにして保障していくでしょうか。

 セリティヌムの社会福祉制度の方向性としては、古典的な倫理観と現代の福祉理論を融合させ、持続可能で公正な社会を実現するための基盤を築いていくことが必要であると考えております。
 「Salus populi suprema lex」—これは確かに市民の生存と福祉の保障を重視するという原則です。しかし、ご指摘いただいておりますが、無批判な福祉の提供が腐敗や支配的な体制の温床となる危険性もまた否定できません。 この問題に対して、我々のアプローチは明確です。
 社会福祉制度の改善と強化は、まず法の下での公正な適用を保証することから始まるものですから、すべての市民が平等にサービスを受ける権利を保証するとともに、福祉制度の透明性と監査の強化を行うことで不正を抑止します。
 また、長期的には、個々の市民が自立できる社会を目指すことが福祉の持続という観点では必要です。教育、職業訓練、社会的支援の充実を図り、連邦州単位での地域コミュニティの自助努力を支援する仕組みも整えてまいります。
 政府の役割は、市民の福祉を保障する一方で、その過程での倫理的なガバナンスを保つことですから、公共の利益と個人の権利のバランスを取ることが可能な仕組みを整えて参ります。

――実体経済はどうでしょうか。セリティヌム経済は農商国となっていますが、フリューゲルにおける農業は、工業以上に生産性の国ごとの差が激しいとされています。産業振興政策として、どのような方向性を考えられていますか。

農業は確かに、生産性の差が生産力に大きく響く産業です。我が国は、農業人口だけでいえば2600万人と、ハルィチナーに次ぐ農業大国ではありますが、生産性といった観点で見た場合
ハルィチナーはもちろん、ロムレー、セビーリャ、セニオリスといった国々とは大きく差がついております。これは、労働力不足もありますし、各産業の最適化が未だ道半ばでもあるためです。
とはいえ、食糧自給は十分に満たしており、輸出余力もある現状ですから、設備的な投資というよりも、人材育成や最先端農業技術の導入、聖樹資源の活用といったことが今後重要になる、と考えております。
官民による協業で既にそうした取り組みは始まっており、私の任期中に花開くことはないかもしれませんが、着実に種を植えることが将来の発展に繋がると確信しています。

インタヴュイー:ユリア・アンティキア・コルネリア

【経歴】
キュプルス連邦大学農学部卒業後、エピルス工科大学大学院で修士・博士(農業工学)を取得。
エピルス工科大学講師、上級講師を経て、ラエティア・インテグラル社技術担当役員に就任。
次世代農業改良センターの設計に携わった他、農業工学への著しい貢献が認められ、連邦制移行後初となる兵役経験のない人民院議員資格者となる。1134年にラエティア・インテグラル社を退職後、「フリューゲルの農法比較」を出版。
1135年選挙では無所属のまま人民院議員選挙に出馬し、農業関係者に強い支持を受け初当選。当選後、ラテン市民同盟の無謬派に所属するものとみられていたが、学術関係者の支持を受けている古典復刻会議の中で、特に凋落著しかった復刻派に強く請われる形で復刻派に所属したことは当時大きな話題となった。(主義主張は近いが、アグリノヴァテック・グループの影響が強い無謬派を嫌ったとも言われている)
1136年より人民院の社会革新審議会の一員として教育行政や科学技術振興に関連する法案成立に多く携わる。1140年に古典復刻会議の常任会員、1141年には前任者死去により空位となったナータリス政権の連邦文化保全委員会委員長に就任。
1143年に復刻派の推薦により連邦執政官選挙に出馬し、60%の得票を得て二位以下に大差をつけて当選。現在のセリティヌムでは、連邦制移行後に議員となった「新世代」政治家の代表格として見なされている。
修士論文は「東方地域の圃場整備改革」、博士論文は「現代的ラテン式農園の形成要件に関する研究」。

【簡易プロフィール】
第二代連邦執政官。セリティヌムの学界において、エリートたちが法学、古典学、情報工学、宇宙工学といった分野に”なぜか”異常なまでにこだわっていた時期があったが、彼女はそれらの分野に関心を示さず農学の道を選び頭角を現した。
エピルス工科大学の上級講師を経て、彼女の論文に着目したラエティア・インテグラル社に招聘される形で在籍することとなったが、このラエティア・インテグラル在籍時の農業分野への顕著な業績により、農業関係者を中心に強固な支持を現在も得ている。政治家らしからぬ政治家と評されることが多く、メディアへの露出は少ない。
一方、ラエティア・インテグラル社在籍時における農業分野への貢献は広く知られており、農業関係者を中心とした強固な支持基盤を持つことが大きな強み。
また、セリティヌムにおけるテクノクラートの代表格でもあり、多くの優秀なテクノクラートを側近として起用している。
彼女の連邦執政官選出の決め手は、本人の能力だけでなく、その側近たちの優秀さにも起因すると言われるほど。政策的には国内政策を重視し、対外政策には消極的な立場をとっているが、他国との文化・技術的交流には積極的。
ラテラノ派や帝政復古党などの国内の民族主義的傾向を強く警戒しており、民族主義の出現によって揺れている国内情勢を鎮静化させることに尽力している。

インタヴュアー:カロリーヌ・セリーヌ・ラヴァンディエ
 白衣派。内奥ロムレーに建国期に設立されたシャトーを構える由緒ある家系の生まれ(アズリール条約加盟時の外交局長を輩出したが、留学組の拡大と共に一家は政治の場には現れなくなっていった)であり、資本派に多い観光デベロッパー系の実業家と伍して引けを取らない資産を持つ。
 両親からは幼少時から西洋古典学の教養を教え込まされながら育ち、ヘシオドスを吟じながら実家のブドウ園を管理する傍ら、コレージュ・レピュブリックにて分子生物学を修め博士。博士論文は「遺伝学的スクリーニングにおけるニコレット限界の高速検出手法」。学術的コーデクス主義者であり、自宅に一通りの分子遺伝学研究をこなせるラボを持ち、医学、農学分野での共同研究も多い。
 古典教養と現代科学を両立させた学究的なありようは概して好感と敬意を持たれており、エメ・オーギュスティーヌ・グランジェ(インタヴュー当時の議長。純理派、SLCN加盟の立役者)よりもむしろ議長に相応しいという声も多かったが、本人はルッコラ保護主義者を自認し、グランジェに議長の地位を譲った。
 政治的には明確にセヴィニェ主義者であり、本人が人民派に参加したのもセヴィニェへの賛意のためといわれる。外国への関心は希薄で、ロムレー国外での長期滞在の経験もない。SLCN加盟に関しても積極的に反対はしないながらも困惑を示した平均的なロムレー人である。学術協定国の人間との共同研究を行ったことは数知れず、陣営の枠組みにはあまりとらわれないフラットな国際秩序観を持っている。

(その他ヘッドライン)

【政治】反君主主義デモ、カルセドニー各地でも開かれる。ある宴席派議員「拡張主義的君主主義の危険性が国際的に知られつつあることは好ましい」
【国際】イスタシア住民投票で無政府資本主義案が採択されノイエクルスより独立
【軍事】ルーンレシア帝国軍の戦時動員体制を読む 隠れた潜在的覇者の軍事的実力
【軍事】回避された「1197年戦争」 純軍事的観点から読み解く

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  • 『Politique numérique』、今月号は「可能なのか?―自由契約共同体の数理的可能性」「書評『君主主義と権威は定量化できるか』」など(ロムレー政治学会数理モデル化部会連合会)
  • ロムレーを、地上からだけでなく空から楽しむ。モーターグライダーで軽く飛んでみませんか。(クラブ・モンゴルフィエ)
  • おうちサーバーでIoT。無数にある農業システム管理マシンを仮想化で手軽にシンプル化。業務用クラスの機器もアトリエ・キクラデスへ。(アトリエ・キクラデス)

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