本記事は、1006年にカルセドニー社会主義共和国議会に提出され、発議に必要となる3分の2(400)の賛成に52票足りずに否決されたカルセドニー民主社会共和国憲法の草案である。本改憲草案は当時の連合党・民主前進党の支持を得たが、人民党・革新党に加えて南の風が反対に回ったために否決された。その後、1010年の共和国議会選挙で連合党・民主前進党両党は議席数を3分の2に13議席足りないだけである387議席まで伸ばし、1014年には「早期の改憲を目指す」という立場から両党の統一候補に選出されたエルネ・モスアゲート生産搬送配給委員長が大統領に当選している。
両党は1020年の共和国議会選挙で400議席を超える議席を獲得することが確実視されており、これが選挙直前の委員会社会主義勢力によるクーデター(彼らは「政変」と呼ぶが)の直接のきっかけとなった。1158年の政変以降、反委員会社会主義勢力が大手を振って活動するようになった現在においては、カルセドニーの「民主化」の1つの目標点として一部の政治勢力(主としてサンディカリスト、議会民主派、司法民主派)に顧みられることも多い。
国号
カルセドニー民主社会共和国(Democratic Socialist Republic of Chalcedony)
国家元首
大統領(President)
任期6年、2期目は自動再選、3選禁止
→事実上任期12年再選不可と同値
儀礼的な役割と国際法上の国家元首としての地位を有するが、実務上の権限は何ら有さない。
内閣
首相(Prime Minister)
共和国議会により指名され、大統領により任命される。ただし、大統領は共和国議会による指名を拒否することはできない。閣僚の任免権、共和国議会の解散権を持つ。解散権の行使は政権自身の自由裁量により、共和国議会自体の同意は必要としない。
内閣
委員会は以下の25省に再編される。カッコ内は各省の元となる社会主義共和国の委員会である。また、各省はあくまで行政機関であり、自主管理組織の委員会に対する登録義務は無くなる。各委員会は内閣や行政府からは独立した職域自治のための枠組みとして維持される。内閣は共和国議会選挙の後に初めて共和国議会が召集された際には(再任されるとしても)総辞職する。
- 財務省(中央処理委員会)
- 法務省(中央処理委員会)
- 検察省(内務公安委員会)
- 公安省(内務公安委員会)
- 陸軍省(軍部委員会)
- 海軍省(軍部委員会)
- 空軍省(軍部委員会)
- 国土省(動力委員会)
- 動力省(動力委員会)
- 石油省(動力委員会)
- 運輸省(生産搬送配給委員会)
- 商務省(生産搬送配給委員会)
- 配給省(生産搬送配給委員会)
- 住宅省(住環境委員会)
- 教育省(住環境委員会)
- 文化省(住環境委員会)
- 体育省(住環境委員会)
- 林務省(住環境委員会)
- 科学省(研究設計委員会)
- 知財省(研究設計委員会)
- 技術省(技術委員会)
- 外交省(外交委員会)
- 通商省(外交委員会)
- 税関省(外交委員会)
共和国議会
一院制(社会主義共和国下院を引き継ぎ、社会主義共和国上院は廃止)で、任期は20年。ただし、解散によってより短いスパンで選挙が行われることもあり得る。社会主義共和国下院とは異なり、自主管理連合組織代表委員による間接選挙ではなく、市民1人1人が1票を有する直接選挙により共和国議会議員を選出する。自主管理組織はもはや委員会に所属しなくなるため、各個人が個人単位で登録した委員会において投票を行う。
共和国議会総選挙は12月最終週に行うこととされ、任期満了の場合は任期満了直前の12月最終週、解散の場合は議会が解散された後6ヶ月を経過した後最初に訪れる12月最終週に投開票が行われる。したがって、解散から総選挙までは最短で6ヶ月(6月下旬に解散された場合、その年の12月下旬に総選挙)、最長で1年6ヶ月(7月初旬に解散された場合、翌年の7月下旬に総選挙)となる。例外として、任期満了の6ヶ月前より後に解散された場合も同年の12月最終週に総選挙が行われる。つまり、この場合解散から総選挙まで6ヶ月を下回ることになるが、これは「任期満了直前に解散が行われることにより総選挙から総選挙までの間隔が任期を超える」事態を防ぐためである。
裁判所
社会主義共和国の中央処理委員会裁判局は委員会から分離され、独立した司法府となる。民主社会共和国の司法府は三審制を採用、第一審は共和国を多数の職域に分割した上で各職域に設置される労働者裁判所、第二審は委員会単位で設置される委員会裁判所、最終審は民主社会共和国全体を管轄する最高裁判所である。
最高裁判所の判事は各委員会から1名、計9名が委員長の指名、共和国議会の承認のもと大統領により任命される。委員長の指名が共和国議会によって承認されなかった場合は委員長は別の人物の指名を行わなければならない。
委員会
民主社会共和国における委員会は職域自治のための単位とされる。職域自治は、各職域に関する運営は職域自治団体たる委員会に委ね、国は職域を横断する国家全般に関わる事柄を担当するという役割分担がなされるべきとの立場によるものである。職域自治は各委員会の自治はその委員会の構成員によるべきとする「労働者自治」と、国から独立した委員会組織によって行われるべきとする「団体自治」の2つの要素からなるとされている。
全市民にはいずれか1つ(ただ1つ)の委員会への登録が義務付けられており、委員長選挙及び最高代表委員選挙への投票権を有する。また、共和国議会選挙における投票権も所属する委員会に紐づいているため、委員会への登録は「戸籍」として機能している。
委員長
委員長は委員会の長であり、大統領によって任命されていた社会主義共和国の委員長とは異なり各委員会の構成員による直接選挙によって選出される。委員長は文字通り各委員会の長としてその自治の最高責任者となり、最高代表委員会の採択した委員会規則案に対する拒否権、予算の調製と執行その他の権限を有する。
最高代表委員会
最高代表委員会は委員会内の立法機関であり、委員会規則や委員長の提出した予算を採択することができる。委員長が拒否権を行使した委員会規則案についても、委員会議会の3分の2の賛成が得られれば委員会規則となる。
自主管理組織の各レベルにおける意思決定機関も「(その自主管理組織の)代表委員会」であり、これと区別するために「最高」代表委員会と呼ばれる。
各党派の改憲案に対する態度
※この項目は途中で記録が途切れている。
人民党(保守・左派両派)、革新党(委員会主義派)
議論の余地なく反対。
革新党(国際主義派)
以下の条件で賛成。
- 国号を「カルセドニー社会主義共和国」のままとすること。
- 大統領の権限強化。特に首相の指名に対する拒否権を行使できること。
連合党(サンディカリスト)
賛成。
連合党(中道派)
態度不詳。