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フ歴960年1月14日
大石動帝国征夷大将軍足利輝子公来秋。
洛安京御所へ参内、鳥羽高麿関白同席のもと実仁皇王陛下に謁見された後、幕府政庁の天照院へ訪問。
上洛殿において、大秋津国上将軍、細川経政公と会談を行った。細川経政
輝っ、征夷大将軍殿下。ようこそ秋津へ。久しぶりですな。
皇王陛下との謁見の様子は関白の鳥羽殿から伺いましたが、主上も石動の女傑と会見出来たことお喜びのようでした。
今日は、殿下の好きな洛安の特選茶と茶菓子を多く用意したので、秋津と石動の今後や世界のことについてゆっくりお話ししていきましょう。足利輝子
父う、上将軍殿下！お久しぶりでございます！
この度は秋津へお招きいただき誠にありがとうございます！初めて秋津の地を踏み、皇王陛下に謁見が叶いましたこと嬉しく存じます！
洛安の特選茶！再び頂けることを楽しみにしておりました！私からも一つ、殿下にお持ちしたものがございます。これへ。
（上将軍殿下に一升瓶を差し出す祐筆）
石動産日本酒の中でも最高峰と言われる旭光酒造の「大祭」。その中でも選りすぐりの物をお持ち致しました。会談の後はこちらで是非殿下と一献共にしたく存じます。
さて、この度我が石動と秋津の間で商品交易が始まったことは誠に、二朝の経済面での結びつきを強固とする佳例でございました。商品定期取引をご快諾いただいたこと、石動を代表してお礼申し上げます。細川経政
よし、早速淹れるとしますかな。
（さっと二人分の茶を点てる経政）
さぁ、輝っ輝子殿下。石動の酒は初めてですじゃ。
殿下は酒が強い方で？
会談の後が楽しみですな。さて、経隆公以来商業を重視して再興を遂げてきた秋津にとって安定した商品の供給は何より重要な課題。
石動と言えば、第二帝政期の工業が有名。
石動工業が再興へ歩む中、我が秋津が買い支えることが出来るのは今の良好な両国関係を象徴しているようです。
今の秋津には情勢の読めない愚昧な文官は居ないのでご心配なく。足利輝子
殿下てずからお点ていただくとは…謹んで頂きます！
ズゾォーッ…おいしい！やはり洛安のお茶は格別です！ことに殿下にお点ていただいたものは格別おいしゅう感じます！
お心強いお言葉痛みいる次第です。今後は両国の交易関係を足掛かりに、より一層両国の結びつきを強固なものとし、今後とも経済にとどまらぬあらゆる連携を模索していければと存じます。
ところで、本朝は国連中心主義を再建以来の外交基本方針として掲げ、国際協調路線をとっております。それ故、本朝としては、先進国でありまごうことなき「平和愛好国」である貴朝にも国連に加盟いただくことで、より一層の両朝の外交面での連帯を実現できるかと思っております。これについては如何でしょうか？細川経政
喜んで頂けて経政は嬉しいですよ。
（怪訝な目で輝子殿下を見やる武家や高僧）実のところ、宮中も公卿の御歴々も悠久の歴史を誇る秋津の天朝として気位が高く、国連については「招かれれれば考慮するが、自ら請うて加盟はしない」という暗黙があって、武家だけで話を進める訳にはいかないのですよ。
私としては別に加盟しても吝かでないところですが、友好国である貴朝から紹介という形であれば面目が立つでしょうな。足利輝子
（秋津側の怪訝な目線を感じ取り、茶碗を置いてよそよそと口元をハンカチで拭う輝子将軍）
左様でございましたか！そういう事情であれば、改めて本朝から正式に貴朝への加盟推奨を行います！
本朝の治部省は公家の門閥として有名ですから、貴朝の朝廷とも話が通じやすいでしょう。
歴史ある貴朝の国連加盟は本朝としても心強い限りです！是非加盟に向けてご尽力いただけますよう、この輝子からもお願い申し上げます。細川経政
それは有り難いですな。
本朝の公卿も貴朝の公卿の皆様とは祖を同じくするでしょうから話やすいことでしょう。
鳥羽関白も開明的なお方故、朝廷が加盟に向けてまとまれば一挙に国論を統一出来るでしょう。足利輝子
お心強いお言葉痛みいる次第でございます！
貴朝の国連加盟によって、愈々両朝の外交面に於ける、東方と世界の安定化の為の連帯が実現できるものと期待しております。
それでは、両朝の国際社会に対する展望と諸政策について、具体的な意見交換を行ってまいりましょう！
あ、その前に…もう一杯頂いてもよろしいでしょうか？（笑）
（茶碗を差し出す輝子将軍）細川経政
500年出来なかったことも、今の秋津と石動ならば可能でしょう。
香麗国も同じ気持ちでしょう。勿論、構いませんぞ。
（茶碗を受け取り、茶を点てる経政
嫡子、経治、怪訝な顔の御徒衆を咳払いで遠ざける。）
（茶碗を差し出す仕草に萌える御徒衆も何人か居たのであった。）微笑ましい親娘の如き二人の会談は終始和やかに進み、一方、世界情勢に話題が及ぶと武士らしく白熱し、二人の武家の棟梁は意気投合したのであった。
〇両国通商関係の発展
・両国首脳は、今後の通商関係の発展と、それにとどまらぬ経済・文化両面での二国のより一層の結び付きを強化することに合意した。
〇両国の国際情勢展望に関する意見交換
・足利輝子征夷大将軍は、国際社会から信任を得ていない閉鎖的一部列強国による諸外国に対する侵略的策動・対立扇動策動・武力恫喝の横行は国際社会の平和維持の観点から容認できるものではなく、そうした行為を行う主体は国際社会の平和を維持するためにも速やかに解体されるべきであるという見解を述べた。
・細川経政上将軍は輝子将軍の見解を支持し全面的に同意した。
・秋津は伝統的に鎖国傾向が強い意識があったものの、経政将軍は「先進国に名を連ねた以上、相応の国際的責務を果たさねばならない。またこれは、鎖国志向の公家衆へ意識改革が広がるきっかけとなる」という見解を示した。〇大秋津国の国連政策について
・両国首脳は石動から秋津に対し正式に国連加盟に関する推奨を書面で行い、秋津側はこれを受けて国連加盟に向けて前向きに検討することで合意した。そして、国際社会においてより一層の協力関係構築の為に「石秋友好協力・相互安全保障条約」の締結に合意した。
大石動帝国と大秋津国は此度愈々友諠深厚なるを以て、今般一層相互の邦交を固くし、両国の安寧と東方地域の安定、並びに国際平和に利さんと欲し、本条約を締結せんと企画せり。これがため両国は左の全権委員を指名せり。
大石動帝国
征夷大将軍
足利輝子
大秋津国
上将軍
細川経政
右全権委員は各々が示したる全権委任状が妥当なる事を相互に確認し、上諭の旨に遵い議論を尽くし本友好協力・相互安全保障条約を議定し、以て双方信守し未来永劫此れに悖らざる事を期す。其の議定せし各条左の如し。
第一条 両国は東方及び全世界の平和並びに両国国民の安全を守らんが為、経済・文化・政治・軍事各面に於いて有り得る限りの協力関係を構築せんが為努力す。
第二条 両国は各々が関係する所の国際問題及び紛争に関して、其れら全てを可能な限りの平和的手段により解決し武力又は武力による威嚇に訴えるべからざる事を確認す。
第三条 両国は共同で有り得る限りの措置を執り何れの一方の締約国に対す如何なる国の侵略をも防止す。何れか一方の締約国が何れかの国又は同盟国家群から武力攻撃を受け、其れによりて戦争状態に陥れる際は他方の締約国は直ちに全力を以て兵力の使用を含む軍事上その他の援助を与う。
第四条 両国は両国が共に関係する所の全ての重大なる国際問題について互いに協議し情報を交換することを約す。
第五条 両国は、主権の相互の尊重、内政の相互不干渉及び平等互恵の原則並びに友好の精神に基づき、可能な限りの経済上及び技術上、文化上の協力を引き続き強化発展す。
第六条 両国は相互の軍事上の一層の連携・協力を実現・強化せんが為、両国軍隊による技術支援・兵器提供・情報交換・合同演習を含む有り得る限りの相互協力・交流を強化する事を約す。
第七条 両国議定せし本条約は両国の友好協力を約し相互安寧を期すものなり。因つて両国全権は是が証拠の為本条約に連署し、両国憲法ないし不文憲法に定められたる手続きを経て此れを批准の上、御名御璽を拝したる批准書の相互に交換せし後初めて此れ効力を発す。
第八条 本条約が十年間効力を継続せし後は何れの締約国も他方の締約国に対し本条約を終了せる意思を通告する事を可ならしむ。其の場合に於いては本条約は、斯かる通告が行なわれし後満一年で失効する。
景雲四年一月十四日
正明二十六年一月十四日大石動帝国は「石秋友好協力・相互安全保障条約」に調印します。
大石動帝国の為に
正二位征夷大将軍源朝臣（花押）この度は貴重なお時間を頂きありがとうごあいました！
今後の石秋の外交方針を固める有意義な会談となったと思います。
この後はお酒の席でまたじっくりお話ししましょう（笑）
父う…上将軍殿下！
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