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北海連邦は我らラス・アノドの外交使節に対し黙殺を貫き、督促をも無視した。
しかしながら、担当者不在というわけではなく、国政は進行し、裏ではヘルトジブリール社会主義共和国とラティハヴ条約を締結しつつある。
これは明らかなる外交的非礼であり、差別的取り扱いであり、人間の尊厳すら脅かす最大限の侮辱である。
かのような「話し合いの通じない」「何を考えているか解らない」国家の伸長は、国際社会の安定に対する不安要因であり、我が国に対する脅威ですらある。
しかしながら、北海連邦が真に反省し、諸国との平和的・友好的関係を希求するというのであれば、30兆Vaの援助で見逃してやろう。ラスアノドへの通達書
我が国北海連邦はラスアノド海賊連合の要求を全面的に拒否する。
我々は全資金を経済発展・国民に費やす覚悟がある。交易や他国の災害援助、発展途上国等以外に費やす資金などないことを断言しておく。
また、ラスアノドは海賊であることを連邦内では把握している。我が国はラスアノドを国家としてではなく海賊集団として認識しており、それに準じた対応を行ったに過ぎない。通り魔的に資金を要求する海賊集団とは「話し合いは無意味」「何か考えを伝える必要性がない」という結論に至り、今日まで返答を控えた次第である。海賊連合に資金を渡すなどもってのほかである。これからも、資金援助はないと理解すべし。
以上なんと！ 我が国はラスアノドを国家としてではなく海賊集団として認識していると！
これは驚いた。我々は国家では無かったのか。
国家が国家たる要件とは。
（a）永続的住民
（b）明確な領域
（c）政府
（d）他国と関係を取り結ぶ能力
の四項目が必要と聞いている。ラス・アノドはヴォルネスク系民族を主として約344万2千人が定住している。この中には流民や難民も多数含まれているが、旅行者等では無い。永続的住民と呼んで差し支えないだろう。
ラス・アノド諸島はハンス島を含め8.3万平方キロの国土を持つ。貴国と同じく諸島国家であり、領域は明確だ。
ラス・アノド海賊連合は暴力によって領域を支配している。その支配は絶対的であり、どこかの帝国のように住民が逃亡したり、叛乱が頻発することもない。
ラス・アノドは外交能力を有している。我々は国家の代表としてここに出席しており、かつてミルズ皇国とは友好条約を締結し、「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展」させた。これはラス・アノドが国家として存在していなければ為し得ないと考える。ラス・アノドを国家として見なさない北海連邦には、どうやら我々とは異なる国家の要件をお持ちのようだ。
貴国及び諸国との平和友好的な関係を望む我々としては、是非貴国においての国家の要件をお伺いしたい。貴国の見解について、いまだお聞かせ頂けていない。
我々を国家ではないと発言しつつ、国家の定義を答えられないということに、我々は困惑している。先の発言については取り下げた方が良いのではなかろうか。
我々は国家であり、そして発展途上国である。援助を必要とする貧困国なのである。
貴国は建国初期に数多くの国家から莫大な援助を得、それをもとに現在の栄光ある地位を築いたのであるから、貧困に喘ぐ人民にパンや毛布を配ってしかるべきではないだろうか。
我々は貴国との友好的関係を望んでおり、現在に於ける対立関係の解消と、未来に渡り平和的で友好的な隣人関係を構築するために、30兆Vaの経済援助を重ねて要請する。ラスアノドへの通達書
海賊集団に理解できるか定かではないが、折角ご質問を頂いたので回答する。また、我々は国政で多忙であり、海賊集団に割く時間はごく僅かである。それでも返答してくれることに感謝したらどうか。
仮にラスアノドを国家とした場合、現在に至るまで我が国を含む複数の国家に対して、武力による威嚇や脅迫、誘拐を行っており、これは明確な内政不干渉義務違反である。また、国家承認もしくは国交がある国家はごく僅かであり、旧ミルズ皇国との友好条約を根拠としても客観的に国家と判断できる材料とはなりえない。また、組織名称に「海賊連合」が含まれる。
そういったことから、国家ではなく海賊集団と判断した次第である。我が国や諸国との平和友好的な関係を望むのであれば、まずは国際社会に広く国家として認められる組織となることを理解すべきである。
我が国は建国間もなく、内政や諸国との外交に多忙を極めている。なんども言うようだが、我々はいかなる要求も受け付けない。海賊集団なら要求を呑むことは永久にないだろう。これにて失礼する。
ラス・アノドは北海連邦総督府よりの返答に感謝し、最大限の賛辞を表明する。
平和と友好は常に対話から始まるのだ。
貴国の発言は貴国に、国際社会に相応しい地位を約束するだろう。さて、貴連邦の回答について、我々は余すところなくその意味を理解していると存じている。
しかしながら、我々も無謬ではないため、誤った理解があれば訂正されたい。・北海連邦総督府の国家の要件について
我々は「住民」「領域」「政府」「外交能力」の四項目について述べたが、北海連邦における国家の要件はこれについて触れられていない。
これらは貴国においては国家の要件に関連しないという理解で良いだろうか。そして貴国の言を要約すると、
(a)自国が国家であることを証明することは不可能。３ヶ国以上からの国家承認が必要。
(b)国名に海賊とついていたらダメ。
という理解で良いだろうか。独特の国家の要件にいささか驚きもするが、なるほど、筋は通っていると思われる。
この定義でいえば、「建国したそのターンの北海連邦」や、
現在の「ンババ・ンバンバ共和国（外交関係無し）」「ンボベベ土侯国（２国と関係）」は国家ではないということになる。
国名が重要なのであれば、我々は今この瞬間から【ラス・アノド善良市民連合】に改名しよう。
また、我々は貴国に対し、国交の開設を提案したい。
さすれば、ラス・アノドは昭栄国、ミルズ皇国に加え北海連邦の国家承認を受けることになり、貴国規準においても国家と見なすことができよう。
30兆Vaの経済援助を重ねて要請する。・内政不干渉義務違反について
我々はそのような義務を負った記憶はない。
ラス・アノドはフリューゲル国際連合に加入していないので、同組織の義務を負わない。
念のため確認してみたが、フリューゲル国際連合憲章には内政不干渉義務の文言は見受けられなかった。内政干渉とはヘルトジブリール社会主義共和国がフェネグリーク帝国の内乱に介入していたようなことを指すと認識している。
義務の有無にかかわらず、我々はそのような内政干渉を行ったという心当たりが全く無い。海賊行為については仰る通りである。我々の主要産業は略奪であり、海賊行為である。
しかしながら、貴国に対して海賊行為を働いたという実績は存在しない。であれば、我々の友好を阻む問題は何も無いはずだ。
また、我々は極貧の生活を維持するためにやむを得ず略奪を行っているのであり、貴国より30兆Vaほどの経済援助を頂ければ、そのような行動は不要となるだろう。海賊連合通告
海賊連合は「住民」「領域」「政府」「外交能力」を国家要素としてあげているが、北海連邦は「住民」「領域」「政府」「外交能力」「人権」の五つを国家の第五要素としている。国家と仮定しても海賊連合は住民から略奪を行い、それを仕方なく行っているのでは「政府」による適切な「統治」が成り立っておらず、住民の「人権」があるとは言えない。
また、新興国についても我々は正式に国家として認めてない。国交を開設するのは上の五大要素がしっかりと成り立っていることを確認した上で必要に応じて結ぶことにしている。
我が国はラスアノドの国家承認、国交開設を重ねて拒否する。経済援助も重ねて拒否する。
これは最終通告である。以後の返答は『永久に』ないと思うがいい。以上
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