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【特集】フリューゲル工業情景

1148年3月18日付〈中央通信〉

フリューゲルの商品生産を支える6ヶ国

 1148年初頭の時点のフリューゲルにおいて、本格的な工業国(先端工業政策を採用し、商品の輸出を行っている国家)は、表1に上げられる6ヶ国である。フリューゲルの商品生産はこれらの国々にかかっているということになる。このうち、ガトーヴィチ、ロシジュア、ヘルトジブリールの3ヶ国は数世紀にわたる工業国としての歴史を有する長期工業国であり、近年成長著しいレゲロがそれに次ぐ地位を獲得するに至っている。これらの4ヶ国を合計すると、フリューゲルにおける商品定期輸出の95%近くを占めることになる(図1)(注1)。
(注1)セニオリス連邦がレゴリス帝国に対して実施している商品定期貿易18兆Va相当は計算に含められていない。これは輸入された商品の再輸出であり、商品生産と直接関係しないため除外した。

国名特化率発電所規模商品/銀1万トン銀供給商品生産額商品輸出額
神聖ガトーヴィチ帝国627%48万kw43.04兆Va相当8.0万トン344.32兆Va相当294.5兆Va相当
ロシジュア帝聖平和ドミニウム514%80万kw+44.20兆Va相当6.6万トン291.72兆Va相当298兆Va相当
ヘルトジブリール社会主義共和国609%80万kw51.05兆Va相当5.6万トン285.88兆Va相当257.5兆Va相当
レゲロ社会主義人民共和国512%80万kw44.06兆Va相当4.9万トン215.89兆Va相当186兆Va相当
ハチミツ国472%80万kw41.18兆Va相当2.1万トン86.48兆Va相当30兆Va相当
ノエシタ社会主義共和国連邦598%4万kw29.04兆Va相当2.1万トン60.98兆Va相当30兆Va相当
表1:先端工業国の一覧
図1:商品輸出額

 これらの中において、世界最高の工業特化率を有するのは神聖ガトーヴィチ帝国であるが、近年損壊した発電所が再建途上にあるため商品の生産効率はこれらの4ヶ国の中で最も低くなっている。発電所が完全に再建された場合の銀1万トン当たりの商品生産量は銀1万トン当たり52.34兆Va相当であり、フリューゲル最大の工業国の面目躍如といったところである。特化率ではヘルトジブリール社会主義共和国がガトーヴィチに次ぐ。一時の政情不安によって我が国をはじめとする一部の国との定期貿易関係が解消された経緯があるため、定期輸出額は可能枠(注2)をほぼすべて使い切っているガトーヴィチ、ロシジュアよりやや少ないが、かつて超巨大工業国として長らくフリューゲルに君臨した時代の威光は衰えてはいない。
(注2)商品は最大備蓄が300兆Va相当であるので、定期貿易枠を利用した2ヶ月(6期)ごとの輸出は基本的に300兆Va相当が限度となる。かつてのヘルトジブリールは定期輸送期ではない期に商品を輸送する、「手動定期輸出」を実施することでこの水準を超える定期輸出を実現していた。
 この両国に比べると、ロシジュア、レゲロの特化率はやや低く、銀1万トン当たりの商品生産量でヘルトジブリールに対して7兆Va相当程度の差を付けられている。とはいえ、両国は大量の銀を消費できる貴重な大規模工業国であり、レゲロは商品輸出額にまだ余裕があるので、今後の商品需要の拡大に対応できるという点でも、今後のフリューゲル経済に対して重要な役割を有していると言えるであろう。
 最後の2ヶ国、ハチミツ国とノエシタ社会主義共和国連邦はごく最近に先端工業政策に移行した国家であり、前者は特化率に、後者は発電所規模に不安を抱えているために現時点での生産性はあまり高くない。両国の定期輸出量も今の時点ではわずかであり、今後の成長が期待されるところである。しかし、ノエシタの工業特化率は既に600%近く、発電所の整備さえ済めば先の工業大国群に対しても効率性という意味では引けを取らなくなるであろう。
 なお、これらの6ヶ国の後に、タンファ王国とリブル民主共和国の両国が工業化を志向して経済開発を推進している。タンファ王国の工業化は既に最終段階に差し掛かっており、工業特化率は540%に達している。これはロシジュア、レゲロ、ハチミツを超えて世界第4位の水準であり、発電所の整備が完了し次第先端工業国としておよそ100兆Va相当の商品を6期ごとにフリューゲルに対して供給可能になると見込まれている。リブルの工業化はタンファに比べると発展途上であるが、同国はタンファに比べて大規模な国土を活用したより大型の工業化を志向しており、中長期的には自国の銀鉱山だけではなく他国から輸入した銀の加工も可能な中規模工業国に成長することが期待されている。

銀のフロー:中継貿易の中にもブロック化の傾向

 現在のフリューゲルには銀鉱山が15ヶ国16ヶ所(注3)存在している。これらの銀鉱山から生産される銀の期待値は理論上33.6万トン/6期である(注4)が、これに対して実際に工業国に供給されている銀の総量は29.3万トンである。銀供給のロスは大半が一部の銀鉱山所有国が保有する銀を全量輸出ないし消費に回していないことに由来しており、特にノイエクルス連邦南瓜共和国は銀鉱山を所有しながら銀輸出を一切行っておらず、同国由来の銀損失はフリューゲル全体の銀損失のおよそ半分を占めている。同国はかつてノ連の工業地域であったが、度重なる情勢不安の末に国内の工業が完全に破綻したという歴史的経緯があり、現在もノイエクルス自由国に対して2ヶ月ごとに空のコンテナが自動化された輸送システムに従って送られ続けているようである。なお、本誌編集部は外交委員会に対して同国の銀の活用について検討を進めているか照会したが、「外交委員会はノイエクルス連邦に対して南瓜共和国で産出する銀を購入することを打診したが、現時点で返答が得られていない」との回答があった。
(注3)新州府共和国は1ヶ国で銀鉱山を2ヶ所所有している。
(注4)銀鉱山1基は(手動採掘を実施しなければ)6期ごとに平均2.1万トンの銀を産出することが知られている。

図2:フリューゲルの銀定期輸出フロー

 フリューゲルにおける銀の定期輸出フローをまとめたのが上記の図2である。カルセドニー、トータエ、ルーンレシアの3ヶ国が銀の中継貿易を行っているためフローが複雑であるが、フリューゲルの銀供給はおおむね2つのグループに分割されていることが分かる。すなわち、超天連邦に対して銀を供給するレゴリス、昭栄、新州府のグループと、ガトーヴィチ、レゲロに対して銀を供給するWTCO及びKPO諸国のグループである。このグループをまたいで行われている銀貿易はわずか1万トンであり、現在のフリューゲル経済は銀貿易という観点から見ると2つのブロックに分かれていることが明らかである。
 このような目線から見ると、カルセドニー、トータエ、ルーンレシアの銀中継貿易は実はそれほど期待された役割を果たすことができない可能性が指摘される。これらの商業国による銀中継貿易は、銀生産国の唐突な消滅や港の損壊による貿易停止による銀供給の停止が工業国に即時に波及することを防ぎ、あるいは特定銀生産国の貿易停止の影響が特定の工業国に全面的に降りかからないようにすることにその意義がある。このうち、前者の目的は(銀生産国からの供給が止まってから工業国に輸送される銀が減少するまでの期間を中継国内の銀備蓄によって延長できることで)達成されていると考えられるが、特定銀生産国の影響は結局WTCO及びKPO全体に対するショックとして伝わるため、後者の目的はこのような貿易ネットワークの下では達成されないものと考えられる。要するに、WTCO=KPO内の特定の銀生産国が停止すれば、結局最終的にガトーヴィチかレゲロのいずれかがその衝撃を受け止めなければならず、ショックを「分散」することが達成されているとは言い難いのである。
 このような観点からも、工業国が多角化し、特定工業国に依存しない経済体制が形成されることは必要であると結論付けることができるのではないだろうか。

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