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非評議会勢力の議席大幅増加

1050年12月29日付〈中央通信〉

 28日に投開票が行われた共和国議会選挙は、社会主義評議会への支持を明確に表明していない「非評議会派」の候補が前回選挙の4倍以上となる113議席を獲得、大幅に勢力を伸ばす結果となった。「評議会派」の議席数は引き続き圧倒的多数(3分の2)を確保しているが、ジャクソン・ウェッジウッド社会主義評議会議長代理(中央処理委員長)を擁立し、評議会内で主導権を確保している台形派・円環派の両勢力が目指している現体制の恒久化のための改憲(大統領制の正式な廃止などを含む)は正方派や角錐派が反対していることを考慮すると困難になった情勢である。
 今回の選挙においても委員会社会主義への忠誠を表明していることが出馬の条件とされたためにサンディカリストや自由主義を明示的にに標榜する候補はおらず、「非評議会派」の候補も社会主義評議会体制そのものに対して明示的な敵対姿勢を示すものはほとんどいなかったものの、1040年次選挙とは異なり評議会を構成する委員長に対する批判を大っぴらに展開する候補が数多く現れたことは注目に値する。持ち回りのために1020年以前の大統領ほど印象が強いわけではないにせよ、国家元首格として遇されていた現職の社会主義評議会議長の暗殺は世論にかなりの衝撃を与えたことがうかがえる。
 社会主義評議会は体制自体に対する攻撃ではないとして個々の委員長の政策に対する批判的な主張が展開されることを事実上容認したが、これは住環境委員会の幹部によれば評議会内の少数派閥が現体制への批判をすべて抑え込むことに消極的な姿勢を取ったことで評議会内で立場の一本化ができなかったことが背景にあるとされる。現在の政治制度を明示的に盛り込んだ内容の改憲を訴えることを「逆説的に現状が憲法に整合的でないと認めているに等しい」として否定する正方派、大統領制の維持復活と大統領の委員会へのある程度の影響力が必要だとする角錐派は台形派・円環派のもくろむ大統領制を廃止する改憲に前向きとは言えず、これらの派閥は非評議会派の議席が伸びることをむしろ望んでいたとも見られている。結果として非評議会派は大幅に議席数を伸ばし、評議会の多数派閥は何らかの対応を取ることを迫られる結果になった。

社会主義評議会、生産搬送配給と外交の両委員長を更迭

1051年1月4日付〈中央通信〉

 社会主義評議会は新年の談話に合わせて、コルト・アゲート生産搬送配給委員長とケレト・サードオニクス外交委員長の両名が前年限りで引退したことを発表した。昨年末の共和国議会選挙の結果を受けた、評議会首脳部による事実上の更迭と見られている。これを継いで、アマドル・テジェス・アントリーン氏が生産搬送配給委員長に、ユオル・クリストバライト氏が外交委員長に就任する。
 コルト生産搬送配給委員長は台形派で、現体制内の主流派の一員であったが昨年末の議会選挙における非評議会派の躍進とこれに伴う委員長批判の矢面に立つことになり、台形派内で「重要性が低い」とみなされた結果詰め腹を切る形になった。ケレト外交委員長はレタス・モスアゲート前内務公安委員長の死去とケレネ・カーネリアン前中央処理委員長の引退に伴い評議会内の少数派に転落した正方派の委員長で、もともと「ケレネ中央処理委員長の腹心」として見られていたことから、ケレネが引退した時点で遠からず退任することは察せられていた。社会主義評議会体制成立後の外交再開期から一貫して外交委員長を務め、BCATの同盟理事国派遣組織としての指定を「四大陣営のパワーバランスの均衡のために必要」として事実上推進するなど、外交委員会内ではかなり「親BCAT的」とみなされていたが、セリティヌム共和政のBCAT脱退を契機に社会主義評議会の内部でもこの外交姿勢が批判のやり玉にあがるようになっており、この度「すべくして」失脚したことになった。
 後任の生産搬送配給委員長となるアントリーン氏は円環派で、ユオル新外交委員長は台形派である。ジャクソン・ウェッジウッド中央処理委員長は当初両方とも自身の所属派閥である円環派で占めようとしたものの、他の各派閥の支持を受けられなかったことから断念、比較的重要性の高い生産搬送配給委員長を自派閥で埋め、「評議会内での影響力が薄い」と見られている外交委員長のポストを協力関係にある台形派に渡すことを決めたと伝えられている。円環派と台形派がこの人事で合意し、これを受けて正方派・角錐派も同意した模様だ。アントリーン新生産搬送配給委員長はガーネット州出身のセビーリャ系で、アイサ系出身者として初めてカルセドニーの国家元首の地位を得たウェッジウッド中央処理委員長に続いて、非カルセドニー系の政界での影響量が高まっていることを示す人事となった。ユオル新外交委員長は代々革新党系の外交委員を務めてきた伝統的な「外交閥」の人物であり、「偏らない」外交を掲げている。ケレト前外交委員長の外交政策について「(BCATに)過剰に肩入れしているとは思わない」と語るなど、明示的に批判的な姿勢を取っているわけではない(そもそも、ケレト前外交委員長自身「特定の陣営に偏った外交」には批判的であった)が、「そう(BCATに肩入れしていると)思われるならばそれは問題」として、より「不偏外交」を国際社会に明示的に知らしめる必要があるとしている。
 この一連の人事の結果、台形派と円環派が評議会の主導権を握る状況は変化ないものの、「両派の力関係はより拮抗したものになった(住環境委員会幹部の談)」とされる。以前は台形派が単独で主導権を押さえており、円環派ウェッジウッド中央処理委員長は台形派の「傀儡に近い」とすら言われていたが、今後はそうではないようだ。台形派と円環派の意見が対立した場合は、「台形派は円環派の主張を無視はできない(同じ住環境委員会幹部)」ことになり、派閥間の力関係は微妙に変化したようである。

【社会】内務公安委員会、レタス前内務公安委員長暗殺の容疑者を未だ特定できず。
【国際】FUN200周年記念式典開催へ。「200年前の先達の願いは未だに息づいている」外交委員長
【国際】セリティヌム共和政から食料輸入開始。「食料輸入先の多角化は安全保障上の要件」コルトPLC委員長(輸入開始当時)

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