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ダブル選挙、「ねじれた」結果に

990年12月27日付〈中央通信〉

 25日・26日に投開票が行われた共和国議会選挙(下院総選挙)・大統領選挙は、議会選挙で大敗した革新党の公認候補であるロシェニ・ツァボライト内務公安委員長が上院投票を経て大統領に選出される結果となった。革新党の議席数は選挙前から35議席を減らして55議席となり、大統領与党の議会勢力としては歴史的に見ても最低クラスとなる。このため、ロシェニ内務公安委員長に安定した政権運営が可能であるかは極めて不透明な状況となった。
 25日に議会選挙と合わせて実施された大統領選挙一般投票は30.2%の得票を得た連合党の公認するタント・スティショバイト外交委員長が一般投票で首位となり、24.6%を獲得したロシェニ内務公安委員長とともに上院投票に進出、それぞれ23.3%、21.8%を得票したケネト・カーネリアン中央処理委員長(人民党)、アドリアン・ビニェス・ガルドス動力委員長(南の風)は一般投票で落選となった。翌26日に投票された上院投票ではロシェニ内務公安委員長が32票を獲得、12票にとどまったタント外交委員長に大差をつけて大統領に選出された(外交委員会所属の上院議員1名が棄権)。ロシェニ内務公安委員長は革新党系の大統領としては936年に当選し948年に退任したクルト・ムトロライト元大統領以来半世紀ぶりとなる。革新党自体の党勢が振るわない中、政界の左右の足の引っ張り合いに乗じて個人的な人気の高さを利用して大統領の席を射止めた形だ。一方、連合党は1票差でチジノ・ジャスパー生産搬送配給委員長(当時)が落選した978年に続いて2回連続党公認の大統領候補が上院投票で敗れることとなり、党内左派からは自由主義者を大統領候補に擁立する戦略自体が間違っているとの指摘もなされている。
 一方、共和国議会選挙はこれとは対照的な結果となり、連合党は960年以来維持してきた下院の単独過半数を失ったものの第2党以下に大差をつけての第1党を維持し、革新党は結党以来最低の55議席に落ち込んだ。革新党は議席を倍増させて71議席を獲得した南の風に議会第3党の地位を明け渡し、議席を3倍以上に増やした民主前進党とほとんど横並びと、かつて事実上の二大政党の一翼を担った面影はなく中小政党に飲み込まれかけている構図だ。大統領与党というカードも議会の11分の1を占めるに過ぎない事実の前では力を持ちそうにない。

民主前進党躍進も改憲は困難か

 共和国議会選挙で民主前進党は37議席増やして50議席を獲得した。同党は980年次の選挙後に公表した改憲草案の実現を公約に掲げて選挙戦を戦っており、現在の委員会社会主義体制に対する批判票を集めることに成功したと言える。経済的自由化を強く求め事実上現体制に反対し続けている南の風も議席を増やし、両党を合わせた議席数が議会の5分の1を超える議席数を獲得したのは史上初めてとなる。
 一方で、委員会社会主義を党是として掲げ改憲に一貫して反対している人民党・革新党は改憲発議をブロックできる200議席を維持しており、現在の共和国議会が改憲を発議することは不可能な状況である。第1党を維持している連合党は委員会社会主義体制を支持してはいないもののサンディカリストと自由主義者の対立から改憲に対する明確な態度を示せないでおり、少なくとも採択される見込みがない民主前進党改憲案を支持することはなさそうだ。民主前進党は今回の勝利を国民の改革への意思と主張しているが、改憲は少なくとも次回の議会選挙以降に持ち越されることは確実であると言えよう。

【国際】FUN総会第14回通常会期、3本の決議を採択して閉会。第15回通常会期は開催されない見通し。
【社会】社会・経済面での自由化と社会主義体制の両立を求める世論、現実味はあるのか。
【文化】国内で麻雀ブーム。1000点1兆Vaの超高レートも。

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