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ベルクマリ条約に調印、ベルクマリ包括的協力機構発足へ

983年3月【速報版】

ベルクマリ条約に調印

国連に続く共和国の国際組織への参画に専門家「英断か勇み足か」

 共和国執政府は、緊急会見を開き、ヴェールヌイ社会主義共和国、セリティヌム共和政、ベロガトーヴィチ大公国、ラ・フローリド共和国、神聖ガトーヴィチ帝国、普蘭合衆国の6カ国を原加盟国とするベルクマリ包括的協力機構設立の為、ユウェンティウス執政官が普蘭合衆国首都ベルクマリに向かい、ベルクマリ条約に調印した事を公表した。

 ベルクマリ条約について、調印後に記者団の取材に応じたユウェンティウス執政官は「決して陣営間対立が目的の組織ではなく、陣営間対立を促すために参加しているわけでもない」と述べ、先進国・新興国間の協調という観点や、ベルクマリ条約が前文に掲げる理念や、諸原則に賛同し、参加を決定したと述べた。

 フリューゲル国際連合が既にその役割を果たしているのではないかという本紙記者の指摘に対しては「フリューゲル国際連合に様々な陣営に所属する国が参加している事は承知しており、フリューゲル国際連合が先進国も新興国も分け隔てなく対等に発言出来る素晴らしい組織だと考えているが、世界にはフリューゲル国際連合に加盟していない国も一定数存在する。そういった国々との対話の場も必要であると考えており、ベルクマリ包括的協力機構はそういう場であると考えている。ベルクマリ条約に加盟した後も我が国は国連加盟国としての義務を果たし、非加盟国と加盟国の間によりよい関係をもたらせるよう努力していきたい」と述べた。

 ベルクマリ条約は今後議会での審議を経て、批准が行われる見通し。

本紙記者による解説/アウルス・コミニウス・マケリヌス記者

 加盟の発表に会見場は一時騒然となった。強い軍事力を持たない共和国の安全保障環境は脆弱なものであると以前より指摘されており、いずれ何等かの国際組織に加盟するのではないかと噂されていたが、国連加盟からそれほど間も経たないうちに加盟が決まったこと、事前まで伏せられていた事を指して「奇襲」「電撃戦」と呟く者もいた。

 加盟する組織が共和国も原加盟国となる新組織であること、普蘭合衆国やヴェールヌイ社会主義共和国といった非国連加盟国、これまで特定の陣営からは距離を置いていると思われていたガトーヴィチ帝国・ベロガトーヴィチ大公国、同じ新興国であるラ・フローリド共和国なども加盟している事も驚きの理由ではあったようで、外交に詳しい専門家らも「中々思い切った決断」と評価する声もあれば、国連一般理事国を目指す中での加盟は悪手ではないか、推薦が取り下げられるのではないかと懸念する声もあり、評価は分かれている。

 共和国を国連の一般理事国に推薦した国のうち、カルセドニー社会主義共和国はWTCOとSCLNの盟主的存在であり、国連の中心的存在である事からも、新しい組織の誕生や、国連非加盟国が多く加盟する組織の誕生は喜ばないであろうし、その組織への加盟を歓迎してくれると思うのは、やはり甘い考えであろう。カルセドニーが我が国を推薦した動機が、陣営色の薄い国に一般理事国を、というものであれば、厳しい目が向けられる事は避け難い。

 所持する票のうち二つを我が国に投じたロムレー湖畔共和国も近年は国際組織から出来るだけ距離を置きたいと考えている節があり、陣営色の薄い国として我が国を一般理事国に推薦した可能性があるが、カルセドニー同様、陣営色が濃いと判断すれば推薦を撤回する判断を示したとしても不思議はない。行動が予測し辛いと噂のルクスマグナ共和合衆皇国も、カルセドニー、ロムレーといった国の動き次第では推薦を撤回する事が考えられる。いずれにしても、国連という場では不利に働く事が予想される。

 尚、交渉に関わった外務局の職員によれば、共和国は当初、ラ・フローリド共和国といった新興国中心の組織を構想し、同国と会談を行うなど、新興国中心の組織の設立を主導する考えを持っていたが、水面下での様々な交渉の末にベルクマリ条約へ原加盟国として参加する事が決まったという。また、条約の条文交渉を巡っては、各国から様々な案が出され、「若干過激な」条文案も存在したが、それらは共和国代表の「強い」反対により撤廃され、現状の条文へ変更が行われたという噂も存在しており、加盟国によってベルクマリ包括的協力機構に求めるものに若干温度差があったのではないかとも思われるが、最終的には無事妥結しており、真偽は定かではない。

 いずれにしても、ベルクマリ包括的協力機構加盟は近々退任するユウェンティウス執政官の最後の置き土産となり、新執政官がこの組織をどう活用するか、加盟についてどう説明していくか、どう理解を求めていくか次第で、共和国の今後は大きく左右されるだろう。今後の新しい共和国外交に期待したい。

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