メニュー 閉じる

国連特別総会終了ほか

【国際】維国安保理決議疑義に赫俄が同調。治部卿「SSPactによる総会の私物化」

(信成九年(981年)3月20日:旭日新聞

治部省庁舎


 978年4月より開催されていた、安全保障理事会による秋赫維三国に対する対塞禁輸処置違反に対する処分勧告を決議する為の、国連特別総会は、人々の期待を悪い意味で裏切り、異様な波乱に満ちた総会として、約3年にわたる不毛な議論の末に幕を閉じた。


 そもそも今般の国連特別総会は、安保理が決議した大秋津国天照院幕府・ヘルトジブリール社会主義共和国・ヴェールヌイ社会主義共和国三国に対する、安保理32号決議(対セニオリス禁輸処置決議)違反に関する処分の勧告を受け、この可否を決議するために開催されたものである。安保理決議に対し特段異を唱える国連加盟国は存在しないように思われていたのも束の間、開催劈頭、ヴェールヌイ社会主義共和国は、ヴェールヌイに対する処分決議が「普巴秋赫などヴェールヌイ以外の決議違反国に説明の機会が与えられていたにもかかわらず、ヴェールヌイに対し決議違反に関する説明機会があたえられていないまま、安保理による処分勧告決議が採択されたこと」を問題視し、特に同じ国連加盟国である大秋津国に対し「憂慮声明」(安保理32号決議)があったにも関わらず、維国に同様の勧告が無かったことを「維国から説明の機会が奪われているまま安保理が処分決議を採択した」と称し、総会に対し対維制裁を勧告する安保理37号決議を「不当な執行手順によって採択された決議」であると指弾し、安保理に対し当該決議に維国に対する謝罪を求めたのである。

 これについて総会に於いてカルセドニー社会主義共和国が答弁した通り、維国の主張は事実関係に対していささかの齟齬を孕んでいる。

 ヴェールヌイ社会主義共和国は、安保理は大秋津国に対し同国に対する憂慮決議(安保理第35号決議)を以て安保理決議違反に対する周知が行われていたと主張しているが、これは誤りで、大秋津国は憂慮決議が採択される以前に、同国太政官布告を以て安保理決議違反に対する釈明を行っているのである。よって安保理による同決議は単なる「安保理としての意思表示」であり、維国が主張するが如き「決議違反に対する周知」「決議違反国に対する説明機会を与える処置」と企図して発出された決議ではないのである。

 また同国が特別総会の場に於いて引き合いに出した普蘭合衆国・民族自治軍管区ハルィチナー両国に対し「遺憾の意」を表明する安保理決議(安保理第33号決議)については、そもそも両国が国連非加盟国であった点をに於いて、そもそも秋赫維三国に対する決議違反とその前提要素を隔する。言うまでもなく、普巴両国は国連非加盟国である以上、対塞禁輸処置を定める安保理決議(安保理第32号決議)違反に対する法的拘束力を何ら有していないのである。

 抑々当該決議案の提案国は我が大石動帝国であったが、治部省筋によると、「安保理に於いて禁輸決議が採択された直後の塞国への送金行為は、国連及び安保理に対する挑発行動とすら採ることが出来た。両国に対し説明を求める決議案を本朝が提案したのは、当該国に説明を求めることで、安保理としての面目を保ち、尚且つ非加盟国たる決議違反国に対し、いささかの懲罰的意味合いを孕んで、議論に参画させることがその目的であった」とのこと。即ち両国に対する説明要求の提起は、「安保理決議違反に対する説明機会を与えることを目的として」発出されたわけではないのである。

 以上のことからも維国による、安保理決議違反に対する処分勧告が「不当な執行手順によって採択された決議」であるという主張はまったっくの事実誤認であり、そもそも加盟国の処分に際し「説明機会を与える」規定が存在しないことからも、本決議が「不当な執行手順」を踏んでいるというような事実は一切存在しないのである。

 そもそも我が国治部省筋としては、SSPactが同盟理事国たるヘルトジブリール社会主義共和国を安保理に派遣している以上、赫国は逐一安保理に於ける協議内容をSSPact内で共有し、SSPact内での調整を経て安保理に於ける審議を進めていると理解する方が妥当であり(治部省筋によると、WTCO及びSLCNではこの原則に則った同盟内でのコンセサンスの形成が徹底されているという)、SSPact加盟国たるヴェールヌイからこの様な疑義が出来すること自体が驚きを以て迎えられた。特別総会に於いては、我が国及びリブル民主主義人民共和国がかかる不合理を指弾し、SSPact同盟理事国たる赫国及び、一般理事国かつSSPact外交代表国たるロシュジアが、安保理審議に於ける同盟内での調整を全く行っていなかったことから、今般の安保理決議に対する疑義が出来したと理解した。

 SSPact加盟国たる同盟理事国が協議に参加し決議が採択されていたにもかかわらず、肝心のSSPact加盟国から安保智決議に対する疑義がさしはさまれるという事は、同盟理事国たる赫国が同盟内での調整を怠った結果としか言いようがないのである。

 然るに赫俄二国は特別総会に於いて、自同盟の無統制から安保理決議に疑義が発出した責任を安保理に帰さんとして、安保理に謝罪を求める維国疑義を全面的に支持したのである。特に特別総会議場に於いてロシジュア代表が「同盟理事国の地位を規定する国連憲章第12条第一項の『軍事・経済同盟あるいは相互安全保障関係を代表する理事国』の『代表』は『単なる輩出』であり、同盟の立場を代弁すると採ることはできない」とする、字義解釈を逸脱した(同国風に言うと「超越」とでも表現するのだろうか)答弁を行い、赫国同盟理事国懈怠を特別総会の場に於いて指弾していた石利両国代表を閉口させた。この答弁はロシジュア代表がヘルトジブリールの同盟理事国としての役割を否定しているかのようにとることが出来、リブル報道に於いて同国のドンデン外相は「これは大変なことやと思う

よ」と評した。
 極めつけは、事態当事国でありSSPact加盟国でもあるセニオリス共和国による3決議案への堰を着るような投票要求である。この時点で維国代表の安保理決議に対する疑義が解消されていないことは明らかであり、特別総会開会以来のSSPact加盟国による各々の統一性なき行動は、もはやSSPactに同盟としての統制と、コンセサンス形成の為のプロセスが存在しないことの証左と言えよう。

 緩やかな経済協定や地域連合であれば、こうした加盟国間のコンセサンスが不十分である事は往々にしてあり得るであろう。しかしながら、SSPactは「軍事同盟」である。世界に存在する軍事同盟の中でも最多の加盟国を誇り、フリューゲル有数の経済・軍事力を有するヘルトジブリールを筆頭とし、さらにはレゴリス・ロムレーら列強のオブザーバー参加による後見を受ける同同盟がこのような無統制ぶりを衆目に晒したことは、世界全体の平和に対し多いな不安の影を落としたことは言うまでもなく、また同同盟の無統制が原因となり、かかる特別総会の振興の著しい遅延、ひいては安保理勧告の承認遅延による、国連への著しい不利益と時間の浪費は、もはやSSPatが国連に与えた「損害」と言うべきではなかろうか。

 一連の特別総会に於ける波乱を受け、九条房子権宮内卿兼治部卿は「もはやSSPactは何枚岩かわからない。かかる無統制な同盟が世界のすう勢を握るほどのパワーバランスを有していることは、最早世界平和への危機ともいえる状況である。また、こうしたSSPactの無統制が要因として発出した特別総会に於ける著しい審議の停滞は、最早SSPactに於ける国連の私物化と言っても差し支えない。SSPactの国連政策に対する反省と組織体制の刷新が無い限り、この様な事態は幾度となく出来するであろう。手始めにSSPactが善後策として始められることと申せば、同盟理事国の交代であろうかの」と語った。

 また、特別総会終了後、維国より国連脱退通達が提示された。国連による加盟国に対する決議違反処分自体が今回が初のケースである上に、当該被処分国が国連脱退を表明するのは、最早前代未聞の事態である。これについて九条治部卿は「維国が自国の誤った認識から成る安保理に対する無用の敵意を改めず、国連脱退という野蛮な手段を用いて自国に対する正当な処分そのものを空文化させようとしているのは、極めて遺憾な事態である。同国は今一度、自国が安保理決違反を犯したという事実を深く受け止め、事実関係を真摯に見つめなおし、冷静な判断を下すべきではなかろうか」と嘆息しつつ語られた。

 維国の脱退通達を受け、安保理では同国の加盟国資格の無期限停止を総会に勧告する安保理44合号決議を可決。既に特別総会に於ける協議が開始され、維国の国連脱退は時間の問題と見られている。


【社会】菜良島再開発開始。

(信成七年(979年)3月29日:山王新聞)

 公方府は、本州東部に位置する菜良島の再開発を発表した。同島が政府管理のもとに開発されるのは、483年年の菜良島メルトダウン事件以来、実に約5世紀ぶりとなる。
 そもそも菜良島は第二帝政期に政府が置かれた島であるが、第二帝政の玉島原発メルトダウン事件以降、石動政府は当時の龍鮮王国へ亡命、同地は事実上の無主地となっていた。しかし昨今の調査の結果、同地を汚染していたセシウム等の放射性物質が半減期を超え完全に消失していた事が確認され、同島の再開発が実現した。第一次計画では同党への80万人の移住が計画されており、建国以来顕著となっている国内産業の就労人口不足を補う事が期待されている。

 一方でかつての汚染区域である奈良島への移住計画については一部国民の反発を招いており、本州h菓子海岸の菜良島に隣接する地域では未だ危険域の放射性物質が確認されているなどの情報も飛び交っているが、公方府はこれらをフェイクニュースであると断じ、菜良島にの安全性を強調している。

 これについて泉退次郎防災担当副管領別儀預寄人は、「国土再開発はもっとセクシーに取り組まなければなりません。菜良島の放射性物質が焼失したのは政府機関の調査により判明した事実であり、こうした問題でフェイクニュースを信用するのは、フェイクニュースを信用するという事です」との要領を得ない答弁を行った。

其の他のニュース

【経済】山名ロジテクス、完全AI制御のバッテリーフォークリフトを発表。
【広告】石波文庫、新版『源氏物語』の刊行が完結。 出版期間九年に及ぶ大事業に幕。

関連投稿