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石動映画「Avalon」公開/艦艇派遣めぐり議会論戦 他

石動人監督「押井護」最新実写映画「アヴァロン」公開

「アヴァロン」
973年9月公開のSF映画。
非合法の仮想戦闘体感ゲーム「Avalon」の蔓延する、荒れ果てた近未来。かつての仲間だったスタンナからフィールド・クラスAに現れるという隠れキャラ・ゴーストの存在を知るアッシュ。ゴーストこそが、獲得できる経験値も法外なクラスSAに通じるゲートだというが、ゴーストを追った者は例外なくロストしてしまう…。

通成映画興行等、石動の会社が製作しているため石動映画に分類されるが、すべてヴェールヌイ国内で撮影されている。このため、言語はヴェールヌイ語が用いられ、出演者も総てヴェールヌイ人の役者が配役され、石動人の役者は登場していない。
作中の銃火器や軍用車輌なども一部を除いて国家人民軍地上軍が運用する本物であり、エキストラとして地上軍兵士が多数出演している。
現地スタッフや役者の斡旋、ロケ地の確保や国防省との調整等については、ヴェールヌイ公共放送が手掛けた。
押井は、戦闘ヘリコプター「Бв-1」が借りられるのを理由に、それも作品のためというよりは純粋にマニアとして本物に触りたかった為に、ヴェールヌイ撮影を選択したという。ヴェールヌイ滞在は半年に渡り、撮影はサンサルバシオンのほか、グムラク、ブイストルイで44日間実施された。

本作は、石動での公開初日で週間映画興行収入ランキング1位を達成するなど大きな反響を呼び、同国のメディアにおいても大きく報じられた。

ヴェールヌイを撮影地とする別石合作映画の完成、公開は共和国においても大きな注目をもって迎えられており、石動と同様に、公開初日には劇場に長蛇の列ができた。(ランキング等は集計が公開されていない為不明だが、週間の動員数で1位であったことはまず間違いない)
また制作に加わったヴェールヌイ公共放送を所管する労働福祉省は、本作を国際親善作品と位置付け、その鑑賞を奨励する通知を、各職場に対して出す方針だという。

本作の完成は、宮殿にも報告された。
報告の模様はメディア公開され、アヴァロンのパンフレットを手にしたザラフィアンツ首相は、終始笑顔で労働福祉省ほか関係者からの報告を受けた。

首相は写真撮影(右画像)に応じながら「共和国にとっては、優れた石動人芸術家の感性に触れることができ、石動や世界にとっては共和国を紹介できる、内外共に意義ある作品と理解しており、とても喜ばしく思います」と満面の笑みでコメントした。

石動先生作:エレーナ・ザラフィアンツ閣僚評議会議長
ヴェールヌイ人が石動画になるのもこれがはじめて!
ありがとうございました!


「アヴァロン」維同時公開記念/押井護監督インタビュー

※本記事内においてのみ、ヴェールヌイの漢字表記を、国際標準の「別」ではなく、石動での呼称に倣った「維」としている


まずはアヴァロンの完成おめでとうございます。
監督の劇場用作品としては8作品目となる今作ですが、斬新な世界観が話題です。
仮想現実とでもいいましょうか、どうしてこのようなテーマを選んだのか教えて下さい。

ありがとう。初めての海外ロケだったけど、結構うまくいったと思う。
ゲームの世界を映画にしたいと思ったんだよね。「天使たちのたまご」がコケて干されてた頃、ゲームばっかりやってた時期があって(笑)一日中下石井のゲーセンに入り浸ってたんだよね。
それで前々からゲームの映画撮りたいと思ってたんだよね。ゲーマーが主人公の映画って、石動にはかつて無くて、だからこそ撮りたいと思った。勿論普通の剣と魔法のファンタジーじゃなく、戦車や銃が出てくる軍事RPG、魔導士は魔法じゃなく対戦車ロケット使ってたり(笑)そういうところでも独自性は出たと思う。

なるほど、監督ご自身のご経験から発想が広げられたのですね。
ゲームの、それもプレイヤーを題材にした映画は、石動だけでなく、世界でも初めてではないでしょうか。
ミリタリー色の強いSFファンタジーという趣ですが、それを実写で、しかも全編海外ロケというかつてない規模で制作されたことも大きな特徴として話題を呼んでいます。

この作品のテーマは「アーサー王」の世界だから、石動でやる必要はどこにもないわけ。だからどうせやるなら海外ロケって。
ヴェールヌイにした理由はやっぱりサンサルバシオン二輪の時に、国家人民軍でヴェールヌイ製兵器を見たのがでかかった。石動製兵器には無い質実剛健な機能美と、エキセントリックなデザイン美を感じたわけ。それにヴェールヌイの映画作品とかも結構見てて、一番好きなのは「白銀の惑星」かな。そういうこともあって個人的に思い入れのあるヴェールヌイでロケしたいと思った。ダメもとで通成映画の人に頼んだけど、OKもらった時には飛び上がったね(笑)

※「白銀の惑星/Серебряная планета」
600年代、アンドレイ・ズラウスキー監督により膨大な制作費をかけて撮影されたヴェールヌイのSF映画。
新天地に選ばれた或る惑星に不時着した宇宙飛行士たちが、そこで子孫を増やし、他民族との争いを経て成長していく姿を、ドキュメンタリータッチで描いている。
フリューゲル移民を直喩的に表現し、当時の世相(大スラーヴ主義の影響)を反映した民族主義的観念や宗教色が強い内容だった為、ヴェールヌイ政府がその影響力を恐れて発禁処分にした。
958年に規制が撤廃された事で、この作品の発禁処分も解除されたが、既にフィルムの約五分の一が失われていた為、失われた映像を音声でフォローして公開された超大作である。

ISGで来維された際、監督が駐屯地を見て回られたエピソードはとても有名ですね。その時の交流もあって、軍の全面協力も実現したといえましょう。
ヴェールヌイにご滞在されてのご印象や、撮影時に思い出に残ったことはありますか?

やっぱりヴェールヌイ製兵器を生でフィルムに映せた事にあるかな。生でOБT-2やBв-1に、Сп-1.23まで撮れたんだもん。アニメーターがいくら頑張っても実写には敵わないもんね。監督冥利に尽きるってやつだよね。監督やってて良かったと思ったよ。戦車が毎日現場にあると思うと現場に行くのが楽しくて(笑)ロケ地からOБT-2が去っていくのを見ると寂しかったねえ…(笑)

スタッフにも多くのヴェールヌイ人現地スタッフが携わり、役者も全員ヴェールヌイ人ということで、全て通訳を介しての撮影には苦労も多かったのではないでしょうか。

アッシュ役のマウリョータさんは、オーディションで会ってこれだって思ったよね。キャスティングにそこまで迷う人間じゃないから、銃を持って絵になるかどうかぐらいしか考えてなかったんだけど、決め手になったのは「人柄がよさそう」ってところかな(笑)
脚本とか演出について、ガンガン聞いてくるんだよね。そういう理屈っぽい女好きだから(笑)楽しく仕事できたと思う
マーフィー役のイェドジはめんどくさい男だったなあ(笑)全てに於いてやりすぎる男だったねえ。でもああいうむちゃくちゃな男だからこそアッシュの惚れた男だったんじゃないかなと思った。
いずれにしても言葉の壁ってのはあんまりなくて、楽しく録れたと思ったわけ。

アッシュ役マウリョータ・フォレムニコヴァのコメント
「最初は言葉も通じず、戸惑うこともありましたが、すぐに解決しました。監督は、非常に詳しく、それも的確に、心理面も含めてアドバイスをしてくれました。こういう監督はヴェールヌイにはいない。最終的には、納得ができる仕事ができたと思います」

過去の石動映画としても、特に海外での評価も高く、これまでアニメなどに触れなかった層も、この作品を通して監督のことを知ることになっているようですね。
我が国では、これまで石動映画が輸入されて来なかったことから、劇場公開される石動映画は本作がはじめてとなります。そして石維両国交流や友好のシンボルとして本作が期待されている面もあります。実際、政府が本作の観賞を特別に奨励する動きもあり、外国映画にこれは異例ですが、監督はどのように受け止めていらっしゃいますか。

そういうことするよね(笑)社会主義国だから(笑)
そういう意識はまったくなかったわけ。単にヴェールヌイで撮りたいと思っただけだから。
これまでヴェールヌイで一緒に作品作って来た人たちに見てもらいたいって思いはあるけど、作った人間的には観客の生の声を聞きたい気もするわけ。
まあ、あんまりしゃちほこばらずに「映画」として楽しんでほしいなって考えてる。



艦艇派遣めぐり論戦/政権の支持率低下も

セニオリス共和国で発生したクーデターを受け、サンサルバシオン条約機構(以下SSpact)加盟国による艦艇派遣に国家人民軍国境軍が動員された事について、人民議会では、連日ヴェールヌイ労働党(政権側)と、文化自由連盟・民主農民党(野党側)が論戦を繰り広げている。
共和国は、純粋社会主義を基本とする憲法保障型の国政制度、人民民主主義体制をとり、与野党が連携して議決事項を審議する気風(これを労働党の一党優位制、更に厳しくはヘゲモニー政党制の継続として、主に野党の無力に対して皮肉ることは常となっている)とされる中、与野党対立が今回ほど鮮明になるのは異例だ。

口火を切った文化自由連盟は、宮殿が艦艇派遣を発表した同日に声明を発し、政府の対応を非難している。
その後の人民議会外交委員会においても、連盟の代議員は、艦艇派遣についての質疑を繰り返している。

人民議会外交委員会の質疑応答より一部抜粋

連盟代議員
「条約機構軍が招集されたが、その主力はヘルトジブリールと共和国である。また招集は即応体制を整えるためと勧告の中で述べられており、つまり準備にあたるが、艦艇の派遣は準備行動の範疇に収まらない武力衝突を助長する行動だと受け止めるのが自然だ。共和国は政治代表国だが、艦艇派遣はよもや政府が主導したのではないでしょうね」

外務大臣
「SSpactは2度にわたって勧告を発し、その間には国連からの勧告もある。国際社会が連携して、セニオリスにおける不法な統治状態の解消の為に、段階を追って対応している。セニオリスはSSpactを通じての同盟国であって、他人ごとではないわけです。国際社会が連携して圧力を加えながら、さらなる行動が必要なのであれば、それはSSpactが主体であるべきで、その責任があると考えています。その責任あるSSpactの政治代表国としては、加盟国間の意見調整、見解一致に努めなければならないわけであって、政府は必要な努力をしています」

連盟代議員
「回答に不足があります。艦艇派遣は共和国が発議したのか、そしてそれは現段階で性急で危険な行為ではないのか、どのように考えていますか」

外務大臣
「協議事項について詳しく開示はできない。ただし、SSpactによる全ての勧告は、加盟国の全会一致によって発せられている。艦艇派遣についても、救国評議会の現時点までの態度や、人権侵害状態が長期に及んでいることを鑑みれば、必要な即応体制を整えることに含まれるもので、段階として性急だとは思いません」

連盟代議員
「そのような砲艦外交が容認されると思われているのであれば、それは政府の思い上がりだと申し上げるほかない。国家人民軍の戦力は、共和国防衛の為に存在するのであり、外国の政治問題を解決するための道具ではない。ヴォルネスク独立戦争参戦に至る反省を踏まえていないのではないか」

外務大臣
「セニオリスは同盟国であり、同国が不法統治状態にあることは、共和国を含む全同盟国の安全保障上のリスクでもある。健全な安全保障環境の維持は、すなわち共和国防衛の為でしょう。ヴォ独立戦争を例に出されますが、経緯もなにもかも違うわけであって、ご指摘の内容にはあたりません」

連盟代議員
「はたしてそうですか?ヴォ独立戦争では、ノイエクルス連邦との交戦で、国家人民軍将兵は勿論、共和国人民の生命が少なくない数で失われておりー」

(ここで「共和国は戦勝国だぞ!何が不満だ」のヤジ)

連盟代議員
「何が戦勝国だバカバカしい!その末路はどうだったのか!労働党の武断主義が、いまなお変わっていないことの表れだ!・・・今現在の、SSpactを中心とした集団安全保障体制の中で、共和国が集団的自衛権を発動することは、それは仕方のないことでしょう。けどもですよ、進んで武力介入リスクを高める必要がありますか?なぜ最初に共和国が艦艇を送らなければならないんですか?その拙速さが国家を危機に晒すのではないですか」

外務大臣
「条約機構軍の招集や、実際の運用にいたるまで、それは軍事代表が総合的に判断して指揮をとることになっている。加盟国の現在の国情や外交能力等を総合的に勘案して、ヘルトジブリールと共和国がまずは準備をする、艦艇を出すという判断になったものだろうと・・・特に初期の段階では、普段から連携がとれている両国が主体となることは、ある意味で自然だと考えています」

連盟代議員
「まったく理解ができません。防衛参戦の義務はあっても、非戦争状態にあっては軍の指揮権は当然我が方にある。それとも条約委員会、もっと言えばヘルトジブリールの要請があれば、共和国は平時でも軍を出すんですか。そうであるならSSpact自体が共和国の安全保障上のリスクだ!」

艦艇派遣を批判する声は、連盟に留まらず、世論からも湧き出している。
ブルースター紙が行なった世論調査では「セニオリスの正常化に共和国が寄与すべき」とする意見が6割に達しているにも関わらず「艦艇派遣」への反対は7割であった。その影響か、970年1月の調査で74%と最高潮を迎えていた政権支持率は、974年1月で62%(970年比▲12%)と下落している。
これを受けてか、974年2月の宮殿の定例会見には、普段の広報官や副首相に加えて、途中ザラフィアンツ首相が自ら登壇し、艦艇派遣への反発に対する質問に答えている。

エレーナ・ザラフィアンツ閣僚評議会議長
「平和解決が最優先事項です。その為にも、考えうるあらゆる手段を講じる。我々が相手にしているのは、軍国主義的で偏狭な民族主義者達であることが明らかになりました。セニオリスの友人達を救うまで、手を緩めることは断じてありません!」

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ブルースター紙 発行:フリューゲル暦35091期 974年9月下旬

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