948年11月30日付
【政治】セニオリス自由党が改称へ 32年の歴史に幕
<新セニオリス通信>
947年7月、セニオリス自由党は最後となる党大会を開催し、党の名称を”進歩自由党”(Progresivna stranka liberalizma / 略称:PSL)とすることを全会一致で採択した。
自由党は915年7月の建国時から活動する政党であったが、940年10月に当時の進歩派のみを残し自由民主党との2党に分裂した。層が薄さと第3回選挙での支持離れが指摘される中での改称には、「自由主義の総合商社」の地位を失ったことで名称に限界を感じる党員が少なくなかった様子が伺える。
ある中堅議員は「ようやく名が体を表す状態になった」と胸をなでおろした。新党名の選考過程では「国民政党に返り咲く希望を捨てるのか」との批判もあったが、層の薄さは如何ともし難く中規模政党としての再編と再スタートが優先された格好だ。
セニオリス自由党の終幕を告げた党大会はそのまま進歩自由党として初めての党大会へと移行した。大会では「社会自由主義、進歩主義」を党是に位置づける新たな党綱領が承認され、不透明な第3回議会中間選挙への備えと来る第4回選挙に向けて「政権奪還」方針の確認、「自由主義社会を守る」という目標も定められた。
ある自由民主党幹部は「ヤコヴ・ファーランから始まった一つの時代の終わりだ」と評した。進歩自由党の門出には「自由主義社会を守ろうという一つの目標を共有している」と評価したが、「政策協定締結はその点でも悪手だった」と釘を差すのも忘れなかった。
左右にまたがり穏健派を糾合していたかつての自由党の如き政党は今や無い。今回の進歩自由党の誕生は、中道左派の”層の薄さ”を補うものとなり得るのかが注目される。
【社会】セニオリス労働総同盟が結成 穏健派労組結集へ
<イグナイト・タイムズ>
948年4月、主要な穏健派労働組合の各代表者は合同で会見を開き、新たな労働組合のナショナルセンターとして「セニオリス労働総同盟」(Šenioridska konfederacija sindikata / 略称:ŠKS)を立ち上げたことを公表した。国内では共産党系労働組合が形成した「セニオリス労働組合評議会」(Vijeće sindikata Šenioridska / 略称:VSŠ)に次ぎ第二のものとなる。
5月1日に開催されたŠKSの中央大会では「健全な労使交渉」の方向性が確認された。穏健的な交渉によって環境改善などを実現させ、革命路線に傾くVSŠ参加の労組を孤立させる事が主眼とされており、第3回選挙で社会民主党が主張した「革命家の孤立」がいよいよ実行に移されていくこととなる。
VSŠからの離反の動きは既に出始めている。ヤドラスコ鉄道の労働組合は「労働組合評議会の歴史的役割は終わった」として一番乗りにŠKSに参加することを表明。私鉄系の労働組合に追従の動きが相次いでいる。VSŠ幹部は「焦ることなど無い」としているが、離反したある組合員は「VSŠにはもう未来はない」と突き放した。
専門家は「社会民主党の主導により、革命路線の危険性と労使交渉の重要性が注目されるようになった」と影響力の効果を指摘。そのうえで「労組のVSŠ離れは留まるどころか加速しているように見える」と分析し、「『革命家の孤立』は急速な勢いで果たされるだろう」としている。
かねてより協議が続いた穏健派労働組合のナショナルセンター形成の動きはついに結実することとなった。上述のŠKSの中央大会では「5月1日を労働者が統一し要求を行う『メーデー』とする」との方針も定められた。定例行事とすることで組織の意欲高揚を図るもので、労働運動が更に活気づくことが予想される。
【政治】労働大臣任命を議会が承認 労働省本格始動へ
<労働者ネットワークニュース>
948年10月、マリオ・バルバリッチ大統領は大統領令第69号『労働省の設置』に署名した。労働省は労働や雇用の行政を管轄する省とされ、担当長官を労働長官とし新たな大統領補佐団の人事を公表した。
これに先立って行われていた協議に基づいて、社会民主党、セニオリス共産党、進歩自由党は無任所のイーヴォ・グルバッチ長官を新たな労働長官に任命することで合意。人事は議会で賛成多数で承認され、長きに渡り構想段階であった労働省はついに本格的に始動することとなった。
就任にあたってイーヴォ・グルバッチ労働長官は948年5月のセニオリス労働総同盟形成にも触れ、「労働・雇用の行政への需要は格段に上がっており、早急に仕事に取り掛かる」と意欲を示した。差し当たっては無任所時代の労働長官下で細々と進められていた労働組合組織の把握が課題となっており、省規模に拡大することで急ピッチで作業が進むことが期待される。
バルバリッチ大統領は「自由党が24年掛けても出来なかったことを我々は5年余りで成し遂げた」と皮肉しながらも、人事を承認した議会への感謝の言葉を述べた。
中間選挙実施の選択に踏み切らず任期6年目に突入したバルバリッチ政権にとって、与党と協力政党で過半に届かない議会情勢はアキレス腱だとも言える。議会との良好な関係を維持し、労働者の生活に資する政治を継続することが求められている。
その他
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