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右派躍進、人民党過半数割れ

 940年12月26日付〈中央通信〉

 人民党の内部分裂は高くつくこととなった。第40回共和国議会選挙(下院総選挙)は25日に投開票が行われ、議会の過半数を確保していた人民党が議席の3分の1以上を失う大敗、これに代わって連合党が現行憲法成立後の選挙では最高となる151議席を獲得した。241議席を得た人民党は下院の第1党は維持したものの、現有の177議席を守った革新党と連合党を合わせれば半数を超えるためクルト政権に対する影響力の大部分を失ったと言ってよく、人民党幹部は「最悪の夜」だとコメントした。一方で単独過半数を目指していた革新党も議席を伸ばせなかったため「勝利」を誇れるような結果ではなく、今回の選挙は連合党や選挙前の1議席から31議席にジャンプアップした南の風ら右派の「二人勝ち」となった。
 936年の大統領選挙における人民党の分裂がこの結果を招いたことは疑いない。大統領選挙後に党を離れてその独自のイデオロギーを主張し続けたイルト・デマントイド前大統領、国内世論の過度な左傾化を警戒して連合党との協力色を見せ始めた革新党はそれぞれ国内の右派に追い風を送ることとなった。結果、大統領選挙に際しての人民党の混乱に嫌気がさした政府批判の声は右派政党に投票すると言う形で結実、連合党や南の風の大幅な躍進につながった。
 クルト政権は内政面では今後も引き続き人民党の支持を得ながら進めていくことになるが、外交面については人民党への「配慮」が不要になったことから方針転換が起こるとみられている。既に外交委員会がFUN総会第10回通常会期に提出している「一般理事国推薦の代行」制度はWTCO各国のFUN体制内における協力を円滑化するためのものとされていることから連合党は歓迎すると表明しており、結果的に連合党内の穏健派が掲げる「FUN体制内での同盟国優先主義」という理念がクルト政権の下で前に進められる可能性が高い。8年後の大統領選挙までは共和国において国政選挙はないことも踏まえ、クルト大統領のリーダーシップを発揮する機会が与えられたと言えそうである。

クルト政権、FUN総会に議題提出

 アンク・モスアゲート外交委員長はFUN総会第10回通常会期に「一般理事国推薦の代行」を可能にする議案を議題として提出したと発表した。937年にクルト・ムトロライト大統領に任命されて就任したアンク外交委員長にとっては初めての国際社会における大きな仕事で、総会への議題提出を見送ったイルト・デマントイド前大統領と現政権の立場の違いをアピールした形だ。サンシャ独立国も非公式に議題提出の意向を示しているため、第10回通常会期は会合の開催されなかった第9回通常会期とはうってかわって2つの議題が議論されることになる見通しである。
 アンク外交委員長は南の風とのパイプを持つ革新党系の委員で、上院議員を1期務めただけでクルト大統領に外交委員長に任命された。これはかなり異例の速さで、3期~4期、上院任期固定法を考慮すると30年程度共和国の外交を担うことが予想されている。政策的にタイク・コーサイト前外交委員長の方針と大きく異なっているとの声は聞かれないが、ガトーヴィチにおいて政変が起き新体制が発足した中で「これまで通り」の態度を取ることは結果的に親瓦的な態度であると(瓦国極右政権を批判する人民党左派などから)指摘されている。

【国際】ミルズ地域最高執行官、941年以降再び「空位」に。任命急がれる。
【社会】インフラ指数一時90を割り込む。クルト政権は緊急の公共投資を指示。

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