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人民党完勝、更なる左派伸長へ

930年12月27日付〈中央通信〉

 930年12月26日に投開票が行われた第39回共和国議会選挙(下院総選挙)は与党人民党が圧勝、下院の3分の2近い388議席を占める結果となった。人民党は今回の選挙の最大の争点をイデオロギーに位置付け、党綱領から社会主義を削除した連合党を痛烈に批判、「委員会社会主義こそが共和国の唯一の道」をスローガンに掲げて終始選挙戦を優位に進めた。イデオロギー的な立場を明確にしていない連合党、右派・自由主義勢力とみなされた南の風や民主前進党はイデオロギーを巡る議論で大衆支持を得られず、南の風が1議席を得るのみの大敗を喫することになった。また、旧来の連合党の支持基盤であったサンディカリスト層の人民党への票流れは10年前の選挙同様で、連合党は現有議席の半分以上を失って34議席にとどまり、議会への影響力のほとんどを失った。
 最大野党の革新党はイデオロギー的には人民党と大きな差異はなく、この点で人民党からの批判を受けることはなかったものの、人民党の総会軽視・加烈協調重視の対FUN政策が支持されている中で外交政策の転換を訴えたのは結果として有権者の支持を離れさせる結果となり、イデオロギー的にはむしろ(人民党同様に)有利な立場にあったにもかかわらずわずかながら議席を減らし177議席となった。外交政策が長く弱みだった人民党が外交スタンスを確立したことは「外交重視」を売りにしてきた革新党にとっては逆風だったと言えるだろう。
 一方で、昨今の政局のもう1つの焦点である大統領と議会の対立という面から見てもこの選挙の意味合いは小さくない。人民党は「勝てる」候補としてイデオロギー面を妥協してイルト・デマントイド大統領を924年大統領選挙の候補としたが、左派の影響力が拡大した中でイルト大統領が再選を果たせるのかは微妙な情勢となっている。人民党左派からは典型的な委員会社会主義者であるケシス・サードオニクス中央処理委員長を党の大統領候補に指名し、イルトの再選を回避すべきだとの声も上がり始めており、折り返し地点に達したイルト政権も必ずしも盤石だとは言い難い。

イルト大統領、フ中銀総裁にペルニーア氏任命

 外交委員会はFUN総会第8回通常会期に設置が決定され、共和国が任命権を得たフリューゲル中央銀行初代総裁にエルナンド・ロサス・ペルニーア前動力委員長を任命したと公表した。ペルニーア氏の任命はイルト・デマントイド大統領の意向が働いたものとされるが、自他共に認める右派であるペルニーア氏がこのような要職に任命されたことには政界に衝撃を与えている。
 ペルニーア氏は901年に当時のテンク・モスアゲート大統領に動力委員長に指名されたが、動力委員長と後任の対立候補である動力委員会選出上院議員4名が一斉に引退したことによる「偶然」として評価されていた。カルセドニー革命以来初めて(旧共和国時代には例がある)の非カルセドニー系民族出身委員長として注目はされていたものの、政界の主要な3政党のいずれとも距離が遠かったことで大統領候補として名前が上がることはなく、4期24年に渡って非主流派の委員長であり続け、イルト大統領が就任した925年に引退した。政治的イデオロギーは南の風の「統制派」と呼ばれる計画経済主義に近かったものの、南の風の統制派と自由派(自由経済派)の対立にも阻まれて政界で力を発揮する機会は得られなかったとされる。イルト大統領はペルニーア氏ほど右派に寄らない「中道派」に属するが、経済政策についてはかなり近い立場を取っているペルニーア氏をフリューゲル中央銀行総裁に任命した形となる。
 下院人民党はイデオロギー的に相容れない南の風に近い立場の人物がフリューゲル中央銀行総裁という国際的にも重要性の高い役職に任命されたことに強く反発しており、「上院任期固定法に対する大統領の党に対する“反撃”ではないか」(人民党下院議員)との声もある。外交政策においては南の風に近い立場を取る革新党も、ペルニーア氏が経済政策面で南の風自由派になびくのではないかと懸念を見せており、両党は社会主義イデオロギーの面からこの指名を批判する声明をそれぞれ発表した。連合党は社会主義イデオロギーからある種「離脱」していることから、むしろペルニーア氏によってフリューゲル経済の風通しが良くなることを期待しているようで、南の風と共にこの指名を歓迎すると表明した。
 なお、共和国議会選挙の直前に行われたこの指名が選挙結果に与えた影響は少なくはないであろうが、ほかのさまざまな論点の中に埋没してしまったためか出口調査で投票理由として「フリューゲル中央銀行総裁」を挙げた有権者は少なかった。

FUN総会第9回通常会期、議題提出されず

 フリューゲル国際連合総会第9回通常会期の議題提出期間は930年末をもって締め切られ、議題が提出されないため会合の開催が見送られることとなった。会合が開催されないのは第6回通常会期以来3会期ぶりとなる。第6回通常会期は当時のテンク・モスアゲート大統領と人民党・連合党連立政権がFUN総会を重視しない立場を取って議題を提出しなかった会期であるが、第9回通常会期も人民党イルト政権が同様の立場を取ったことで「会合のない総会」が再現されることとなった。
 総会は安全保障理事会理事国以外の加盟国がFUNの場で意見表明を行う数少ない機会であり、これが会合が開催されないという形で失われる損失は大きい。総会を重視する立場の革新党は既に人民党政権の消極姿勢を批判しており、機関紙〈赤光〉にはシジト・カーネリアン前大統領の手による総会への議題不提出を非難する寄稿文が掲載された。一方でイルト政権は「多数国の議論による混乱、単純多数決によって創設された制度の問題点など、総会の行為は利益よりも問題を生じさせる可能性が高い」と主張、「FUNに総会は不要」(イルト大統領)「FUN加盟国に適用されるべき規範は安全保障理事会の場で主要国合意の下形成されるべき」(大統領報道官)との立場を崩していない。人民党内からは「総会の態度が安保理と同じならそれは不要であり、総会の態度が安保理と異なるならそれは有害である」と、有名な第二院不要論のレトリックを用いて総会不要論を唱える声さえも上がっている状態であり、人民党政権が続く限りはこの傾向は維持されそうだ。

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