「ソシアート体制は皇帝陛下の望むものへと変革されます―」フリューゲル暦922年9月28日、イネッサ中務ソシアート代表の会見はこの言葉で始まった。イネッサ代表は就任時、災害復興のめどがついた時点で政治改革を行うという公約を掲げていた。今回の会見で発表された「第三次ソシアート改革」は、その公約に沿うものになりそうだ。最重要視すべき改革内容は、何といっても帝国民会(Central Ecclesia of Imperial Nation)の設置だ。帝国民会は定数1000名の議会で、中央ソシアートが提出した行政案を監査する任務を担う。また、出席議員の過半数の賛成を得れば、逆に中央ソシアートに行政案を提出することも可能であるという。かつて、地方自治体である帝国民ソシアートは中央帝庁の構成員の選出を行えた。しかし、帝庁は単なる行政実務機関に過ぎず、それを民営化したところで地方の声が中央政治に反映されるとは言いがたい現状があった。本改革では帝国民ソシアートがそれぞれ1名の帝国民会議員の選出権を持つことで、中央政治の根本の民営化を図ったようである。
改革内容は帝国民会だけではない。まず地方行政を監査する統括ソシアートおよび統括帝庁は廃止される。これは中央による地方監視であるという批判意見があったことに加え、帝国民会議員の選出に中央政府が間接的に関与できる状態になることを嫌ったための改革だと思われる。そして帝国民ソシアートが従来保持していた中央帝庁の構成員選出権を失う代わりに、叩き上げ人材の登用強化などの帝庁改革を進めるとした。つまり、帝国民ソシアートに選出されなくとも実力ある人材が自らの力で帝庁のキャリアを這い上がれるようになったのだ。
イネッサ代表の発表によれば、帝国民会の議員選挙および招集の実施日を帝国民ソシアートと検討中であり、今後すぐに第三次ソシアート改革施行の日が来るという。ロシジュア初めての中央民選議会がどのような様相を呈するのか、注視する必要がありそうだ。