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革新党過半数割る

910年12月27日付〈中央通信〉

政党議席数増減
革新党297-23
人民党169+35
連合党100-22
南の風33+10
民主前進党1±0
地方党0
910年共和国議会下院総選挙結果

 26日に投開票が行われた共和国議会下院総選挙は、テンク大統領をめぐって政界の主導権を争っていた革新党・連合党がともに勢力を失い、政界中央からやや距離を置いていた人民党・南の風に利する結果となった。革新党は現憲法制定以降一貫して勢力を伸ばし続けていたが今回初めて議席を減らし、前回総選挙で獲得していた単独過半数を確保できなかった。一方、連合党も議席を減らし、前回総選挙以前は連立を組んでいた人民党と合わせても過半数を確保できず、キャスティング・ボートを握った形となった南の風も明確に人民党との政策協力を拒んでいるため政権奪還とはならなかった。
 革新党は今後、内政政策では人民党、対外政策では南の風と協力する部分連合を模索するとしているが、人民党・南の風双方ともに「革新党にとって都合のいい部分のみの協力」に対して否定的であり、政局の不安定さは行政府にとどまらず立法府にも波及しそうだ。

912年大統領選挙、人革一騎打ち確定

 4選を禁止する憲法の規定から912年末での引退が決定しているテンク・モスアゲート大統領の後継者を定める912年大統領選挙の構図は、今回の共和国議会選挙の結果を受けてほぼ固まった。革新党が前回選挙に引き続いてシジト・カーネリアン技術委員長の擁立を決定したのに対し、主要3党で唯一総選挙で議席を伸ばした人民党はレテン・ウェストカーネリアン前大統領の引退以来失っていた大統領の椅子の18年ぶりの奪還を目指してハルシ・サードオニクス住環境委員長を擁立する方針を固めた。連合党は唯一独自候補足り得るタイク・コーサイト外交委員長が世論調査でほとんど支持を受けていないことから擁立を断念、自由投票の方針で臨む。
 両候補の政策スタンスはそれぞれの支持政党の政策に極めて近く、「中間派」のテンク大統領が上院をひっかきまわしていたここしばらくの選挙とは一線を画することになる。主要各党ともに世論が政界に不信感を抱いていることを認識しており、世論へのアピールのために「明瞭な選挙」を志向したことがこの両候補の対決という結果に結び付いたようだ。
 シジト技術委員長は905年の「燃料危機」の際に急速に支持を伸ばし、906年大統領選挙一般投票ではテンク大統領を押さえて首位を取ったという実績があり、革新党自体の「大衆人気」をバックとしている。ただ、革新党が下院の単独過半数を押さえていた906年当時とは異なり、革新党の勢いが若干弱まっていることは逆風と言えよう。一方のハルシ住環境委員長は906年に住環境委員長の座を得たばかりの若手であり、その「若さ」と総選挙での人民党の勢力拡大を背景に支持拡大を目指す。政策的には典型的人民党系の完全な極左であり、保守的な社会主義者層にとっては「共和国の不安定化」を食い止めるための存在として支持されている。
 この両候補が上院投票に進むことはほぼ確実と見られているが、上院においてキャスティング・ボートを握る連合党系や無派閥の上院議員はほとんどが立場を明確にしていない。政界関係者からはこれまでの大統領選挙で最も「読めない」上院であると評されており、ふたを開けるまで結果は分からない。

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