897年5月7日付〈中央通信〉
8日、シンナ・アメシスト外交委員長は外交面の政策目標として、900年をめどに実施するとされるWTCO制度改革案を発表した。FUN総会第5回通常会期で現在投票中である、我が国の提出した「フリューゲル中央銀行」に関する決議案が採択され、フリューゲル中央銀行が成立し次第、WTCOの経済協力体制をこの機関の発行する貨幣であるFunを前提にしたものに改革していくとする。また、WTCO加盟国会議の議場を現在の新国際会議場(掲示板)から国際談議場(Slack)へ移行、FUN安全保障理事会同様の手続規則を採用することとする。これらの制度改革は898年末にフリューゲル中央銀行の設立決議が採択され次第召集される第11回加盟国会議において提出される。
シンナ外交委員長が公表した具体案では、現在契約ごとに個別管理されているWTCOの債権をFun建てに統一、1Fun=100兆Vaを基準レートとして統一的な管理体制を可能にするとしている。WTCOに対して債務を有する各国は、資金による返済のみならずFunによる返済も選択可能となり、一方で新興国支援基金や経済開発基金に算入される資産をFunで保有することで、WTCOからのより柔軟な支援も可能となる。現在WTCOは「支援決定→債権償還→債務者から支援先へ送金」という形態をとっているが、Funの形態でWTCOが常時保有している資産を支援に充てることで債務者を介さずに支援を実施できることになり、この面からも柔軟性が確保されることになる。
WTCO改革そのものの必要性については人革連主要3党が合意するところであり、FUN中心主義を掲げる革新党も「フリューゲル中央銀行制度の実効性確保のためには国際組織や国家によるFun取引導入は不可欠」などと支持する立場をとっているが、一方でテンク政権が総会の投票を終えてからFUNに対して非常に消極的な態度に終始していることに対しては批判的であり、「サンシャにおけるミルズ人移民問題、未発効の都市型演習場禁止条約を除いて議論の俎上にすら上がらない国際立法など、FUNがその役割を十分には果たしていない部分を無視してWTCOに傾倒することは世論が認めないだろう」(革新党幹部)と3年後に迫る共和国議会選挙をちらつかせながらくぎを刺している。
地方党、ロンク新代表就任
890年の共和国議会選挙で全候補が落選して以降、内部の派閥対立からほぼ動きを見せていなかった地方党において、ペンタ・ジャスパー元代表から数えて5代目の新代表としてロンク氏が就任することが明らかになった。ロンク氏は旧共和党系の流れを引き継ぎ、南の風に近い自由主義的な経済政策を掲げる一方、同党が掲げる多民族主義に対しては警戒感を示している。
ロンク新代表は出身地域等により設定されるセクター名を持たず(ロンクがフルネームである)、南の風初代代表であるロニアとその点で共通している。ロンク新代表の下にはいわゆる「ルナ教」系右派がついているとみられており、究極的には旧連邦時代の5大氏族の権威を復興する「王政復古」を目指しているという風説も広まっている。一方、「5大氏族」直系は革命時に絶えて久しく、旧連邦時代に既に傍系であった「薄い」氏族が残っているに過ぎないことから、この「王政復古」は「王なき王政」にならざるを得ない。これを指して、ロンク新代表の思想を「超越主義」と呼ぶ向きもあるが、なにがどう「超越」しているのかについて合理的な説明はなされていないためこの呼称は広まっているとは言い難い。
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