860年12月27日付〈中央通信〉
●労働党 ●連合党(枠線付が改選議席)
12月26日に投開票が行われた第32回共和国議会選挙の結果は、前回選挙と同じく労働党が178議席を獲得、非改選を合わせた356議席を得て20年ぶりに議会第1党を奪還した。今回の選挙は労連両党により「改憲選挙」と位置付けられており、803年以来半世紀ぶりの改憲が次の10年の間に行われる見通しである。両党はすでに「委員会の過大な権限の抑制」のために行政府全体を統括するための組織を設けることについては同意しているが、その具体策については選挙の争点となっていた。労働党が議会の多数党となったことで、改憲については労働党が主導権を握ることとなるが、改憲発議に必要な議会3分の2の賛成を得るためには連合党の協力が不可欠となっており、連合党側も「無条件で譲るわけにはいかない」(某党幹部)との立場である。
一方、9つある委員長ポストは生産搬送配給、住環境、動力以外の6ポストを労働党が占めた。労働党内は今回選挙において派閥対立を一時棚上げにし、前回選挙で<孤立主義派>が行ったような「刺客候補」の擁立は行われなかったことが勢力拡大につながった(前回は派閥抗争のために技術委員長を連合党に奪われている)と言える。その中で、<国際主義派>は外交委員会のみならず技術委員会にも委員長を送り込むことに成功し、労働党の内部構造にも変化が生じ始めている。
改憲の見通しは
労働党は選挙結果が判明すると直ちに改憲に向けた方針表明を行っている。党が議会の過半数を占めていることを理由に「労働党改憲案の基本方針は全て受け入れられるべき」とし、 大統領制を採用することについては「党改憲案の骨子であり、これについては連合党側に承認を求める」としながらも、連合党が要求している首相制度や地方選挙区の設立についてもある程度理解を示すとしている。一方で、<国際主義派>に属する議員からは「地方選挙区の大規模な設立は外交委員会を勢力基盤にしている同派の勢力の縮小につながりかねない」などとして、党中枢が安易な妥協を行うことは好ましくないとの声も聞かれる。