ライン共和国代表の質問に対して、ライン代表の用いた「侵略戦争」という語が決議案中で用いられる「正当性なき戦争行為」と同義であるという前提でお答えします。
まず、FUNにおいて個別の戦争行為に対して正当性の有無を最終的に決定するための組織は安全保障理事会であるという点について注目すると、「正当性なき戦争行為を起こした国」が存在することが客観的に明らかな状態であるというのは、既に憲章第28条に基づく安保理決議が存在していることが条件として明らかです。したがって、「侵略戦争が行われていることが明らかであるが安保理決議が存在しない」というケースはそもそも存在しえません。
ライン代表が疑問を呈されているのは、憲章第28条にも第31条にも基づかないが、安保理がそのような決議を行っていない、つまり本決議案違反であるが安保理決議が存在しない戦争行為に対して被攻撃国の同盟国以外が参戦を認められるのか、という点についてであると思われます。これについては、自衛権の行使と見なされる範囲での参戦が認められると考えております。自衛権の範囲について明確に定める規定は存在しませんが、基本的には当該の侵略戦争を停止させることを目的とする範囲での武力行使が自衛権の範囲として認められるものと思われます。以前のラス・アノド=ミルズ戦争においてミルズ側の停戦条件が「搾取的」であったことがミルズ皇国の宣戦布告の正当性を棄却する要因の一部を構成したことに注目すると、自衛権の行使と称して際限なく敵国に対する攻撃や要求を行うような行為は戒められるべきでしょう。
また、憲章第31条に基づく自衛権の発動が認められるのはFUN加盟国あるいはその軍事同盟国に対して宣戦が布告された場合に限られることには留意すべきですが、これについて宣戦布告時点の軍事同盟国に集団的自衛権の行使主体が限られるわけではないと我が国は考えておりますことを申し添えます。
なお、本決議案は総会に提出されていることからお分かりかと思いますが、法的効力を持ちません。本決議案は(仮に本決議案が採択されたとして)、本決議案に反する行為を行った国が「正当性なき戦争行為」を行っていることへの強力な証拠にはなりますが、それ以上のものではありません。ですので、将来本決議案に反した憲章第28条及び第31条に基づかない戦争行為を行った主体に対して、「正当性なき戦争行為」を行っているとFUN加盟国の意思として示すことにはなりますが、そのような国家に対する防止措置・強制措置が実際に個別的に認められるかどうかは、その時点の安全保障理事会の判断となります。